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カナダ嗜好用大麻合法化の背景ー先行するアメリカの合法化事例の調査レポートの和訳を一般公開



日本臨床カンナビノイド学会(理事長:新垣実、新美会新垣形成外科)は、我が国の医療従事者に対して大麻草に関する科学的根拠(エビデンス)に基づく情報を提供するため、海外の学術団体などのレポートの翻訳を会員有志で実施しています。今回は、10月17日のカナダの嗜好用大麻の合法化を受けて、アメリカの合法化事例の調査レポートを10月11日に一般公開します。

2012年11月6日、コロラド州とワシントン州は、成人のマリファナ合法化した世界初の地域です。2年後にアラスカ州、オレゴン州、ワシントンD.Cが続きました。2016年にカリフォルニア州、マサチューセッツ州、メイン州、ネバダ州の4州の有権者は、マリファナを合法化法案に住民投票し、承認されています。

本レポートでは、これらの合法化州の4年間のデータを分析した『禁止から進歩へ、マリファナ合法化の現状報告』2018年2月発行を一部の付録を除いてすべて和訳しました。

本レポートの分析結果の要約は次の通りです。
(1) マリファナ逮捕件数は減少している。
(2) 青少年のマリファナ使用率は安定化している。
(3) マリファナ合法化は、オピオイド関連の害の発生率の低下につながる。
(4) 中毒事故管理センターへの電話や、マリファナ曝露のための救急来院は比較的まれである。
(5) 合法化は、交通安全性の低下を招かない。
(6) マリファナ税収は当初の予測を上回っている。
(7) 各州は社会的利益にマリファナ税収を配分している。
(8) マリファナ産業は雇用を創出している。

WHO/ECDD(依存性薬物専門家委員会)における大麻植物及び大麻関連物質の国際的な議論が活発になるつれて良質なレポートが多数発行されています。すべてのレポートを翻訳することはできませんが、少しでも多くの医療従事者等の目に触れるよう取り組んでいきます。



【画像 http://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000182728&id=bodyimage1

『禁止から進歩へ、マリファナ合法化の現状報告』

著者:ドラッグ・ポリシー・アライアンス(Drug policy Alliance)
発行:2018年2月

概要
I.序論

II.社会的公正への影響
マリファナ逮捕と裁判所提出書類件数の激減
社会的利益のために配分された収益
地域社会と青少年への再投資

III.公衆衛生
青少年のマリファナ使用
全米の傾向
マリファナ合法化州における青少年の使用
中毒事故管理センター及び救急来院の電話件数

IV.交通安全
DUI(飲酒・薬物運転)による逮捕
衝突事故の比率
衝突事故のリスク

V.マリファナと経済
税金と収入
税率
雇用

VI.今後:影響評価のための他の指標
マリファナの合法化とオピオイド関連被害との関係
医療用大麻への影響
屋内吸引スペース
合法マリファナ市場における公平性
コミュニティにおける有罪判決被害の修復
環境被害の修復

VII.今後:成長分野
人種格差の存続
事例:ワシントンDCでの逮捕
警察改革
青少年とヤングアダルトのマリファナ逮捕
青少年とヤングアダルトのマリファナの非犯罪化と減刑

VIII.結論
付録
参照・引用


日本の大麻取締法(1948年制定):
大麻取締法による規制によって、製薬会社がつくるカンナビノイド医薬品及びハーブ(薬草)利用としての医療用大麻のどちらも違法であり、臨床試験の研究目的ですら認められていない。
日本政府の公式見解は、平成28年の第190回国会(常会)質問主意書及び答弁書に詳しい(下記参照)。
https://www.nippon-yakushokuken.com/diet_190/

ドラッグ・ポリシー・アライアンス(Drug policy Alliance):
調査レポートを発行したこちらの組織については、greenzonejapanによる日本語インタビューがあるのでぜひご参照下さい。
パートI
http://www.greenzonejapan.com/2018/04/30/1206/
パートII
http://ur2.link/MqnK


日本臨床カンナビノイド学会:
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノイドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会;International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2018年7月段階で、正会員(医療従事者、研究者)67名、賛助法人会員11名、 賛助個人会員22名、合計100名を有する。
http://cannabis.kenkyuukai.jp/


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