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【A.T. カーニー調査】 2018年海外直接投資信頼度ランキング、米国が6年連続首位。2位にはカナダが浮上、日本は引き続き6位



2018年調査結果のポイント
・A.T. カーニー「2018年海外直接投資信頼度指数(The Foreign Direct Investment Confidence Index(R):FDICI)」調査の結果によると、今年も米国が首位の座を維持し、2位にはカナダが浮上、ドイツは3位に順位を落とした。英国は引き続き4位、中国が5位に入り、日本は昨年同様の6位だった。

・北米自由貿易協定(NAFTA)をめぐる状況の変化により、北米の海外直接投資 の流れ はかなり大きな変化を見せると思われる。投資家の多くは、もしNAFTAが終了したら彼らの会社の営業コストは上昇するだろうと語っている。

・投資家の多くは、規制の動き及び市場の状況により、海外での活動を特定地域に局地化する動きを見せている。これにより求められる海外直接投資(FDI)の水準は高くなっている。

概要
本調査によれば、投資家の79%は、今後3年間に海外直接投資の増額を計画している。この割合は昨年より4%増え、地政学的な不安定さ、経済の拡大という動きの中で投資家が楽観的な見方を崩していないことが分かる。事実、投資家はグローバル経済にさらに大きな信頼を寄せており、66%がグローバル経済の見通しは昨年より明るくなったと考えている。

このような楽観的な見方にもかかわらず、「Investing in a Localized World (現地化する世界における投資)」と題された今年のFDICIレポートによれば、投資家は事業への保護主義の影響を小さなものに留めるための戦略を採用し、経済の混乱に対する備えをますます強めている。投資家の89%が投資の現地化を進めている、あるいは考慮していると回答した。このような決定の重要な要因となっているのが、政府による規制策である。投資家の3分の1以上が、市場に対するアクセスの規制が現地化の決断を促したと述べ、27%が保護主義的な貿易政策が現地化の決断を促したと述べている。現地化戦略により、投資家らは特定の地域においてサプライチェーンを作り、製品を生産し、労働力を求めるようになり、これに伴い投資家の海外直接投資額は増大している。

本調査の創始者でA.T. カーニーのグローバル・ビジネス・ポリシー・カウンシル会長でもあるポール・ラウディシナは次のように述べている。「投資家は向こう見ずにグローバリゼーションを推し進められる時代は過ぎたと認識したようだ。島国化する世界の中で、グローバル企業は局地的なつながりを構築し、市場へのアクセスを確保維持することの重要性を認識している」。

とはいえ、現地化にはコストがかかる。例えば、投資家の60%は、もしNAFTA が終了したら彼らの会社の営業コストは上昇するだろうと述べている。

現地化するこの世界において、投資先としては先進国市場が優勢であり、今年のランキングでも上位25カ国のうち先進国が84%を占めた。ランキング首位は6年連続で米国。アジアのほぼ全ての先進国の市場はランキングでの順位を上げた。欧州先進国の市場も力強い動きを見せており、ランキング上位25カ国の半数以上が欧州先進国であった。

グローバル・ビジネス・ポリシー・カウンシルのマネージング・ディレクターで、本調査レポートの共著者エリック・ピーターソンはこう述べている。「今年の調査結果で欧州諸国が強かったのは、 世界経済危機の発生から10年を経て、 欧州経済がついに危機を脱し、より大きな成長の準備が整ったからである」。

中国、インドなど新興国市場は今年のランキングでは順位を落としたが、全体的に見れば投資先として高い順位を維持している。これは、マーケットの規模の大きさ、早い経済成長によるものである。順位が落ちた理由は、投資家が経済のファンダメンタルズ全般の変化より、規制の不透明性、政治の不安定性に重きを置き、この点に大きな懸念を抱いているからだと思われる。

投資家はまた、今年は去年よりも新興国で政情が不安定になる可能性が高いと見ている。投資家は4年続けて、地政学的緊張の高まりがその年一番の不確定要素であり、しかもその発生の可能性は高いと判断している。

地域別概要
■アメリカ地域:
アメリカ地域を魅力的な投資先とみなすかどうかについて投資家の意見は割れている。米国 (1位) 、カナダ (2位) 、メキシコ (17位) など北米市場は上位を維持あるいは順位を上げたが、ブラジルは昨年の16位から25位に転落した。世界の投資家はアメリカ地域の経済見通しについては非常に楽観的である。投資家の40%以上がこの地域の経済見通しについて昨年より楽観的な見方を示している。

■欧州地域:
欧州は国外投資家にとって特に魅力の高い投資先であり、ランキング上位25カ国のうち14カ国が欧州諸国である。ドイツは3位に順位を落としたが、英国は4位の座を維持した。フランスは7位を維持、スイスは9位、イタリアは10位にそれぞれ順位を上げた。オランダ(13位)、スウェーデン(14位)、アイルランド(19位) はそれぞれ1つずつ順位を上げたが、スペインは15位にランクを落とした。ベルギーは21位、オーストリアは24位で昨年と同じだった。今年25位以内に初めて入った国はデンマーク(20位)、ポルトガル(22位)、ノルウェイ(23位)で、全て欧州の国であった。

■アジア太平洋地域:
投資家が最も強気の見通しを持っているのがアジア太平洋地域である。この地域については43%の投資家が昨年より楽観的な見方をしている。しかし、この地域の投資先としての魅力は少し下がっているようだ。今年のランキングに入っているのは7カ国のみ。中国(5位)、インド(11位)、シンガポール(12位) は全て順位を下げた。オーストラリアは8位に上がり、ニュージーランドは16位と、ランキング入り2年目にして大きく順位を上げた。日本と韓国はそれぞれ6位と18位で昨年と変わらなかった。



【画像 http://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000173271&id=bodyimage1

【調査概要】
A.T.カーニー海外直接投資信頼度指数(Foreign Direct Investment(FDI)Confidence Index)調査は、グローバル企業経営者層を対象とした年次調査で、今後3年間に大きな投資を呼び込むと予想される市場を順位付けしている。海外直接投資の流れを振り返る他のデータとは異なり、この海外直接投資信頼度指数は今後数年間に投資家がどの市場をターゲットとして海外直接投資を行うかについての独自の予測的分析を提示するものである。1998年の調査開始以来、海外直接投資信頼度指数調査でランクインした国々と、その後数年間の実際の海外直接投資フローにおける上位投資先との間には密接な相関が見られる。

2018年海外直接投資信頼度指数は、世界の大手企業の500人以上の上級役員を対象とした独自調査から得た一次データを使用して作成された。調査は2018年1月に実施された。回答者の役職はCXOレベルの役員や地域統括責任者など。全調査対象企業の年間売上高は5億ドル以上。調査対象企業の本社所在地は世界29カ国にまたがり、業種は全産業セクターにわたる。調査対象国は国際連合貿易開発会議
(UNCTAD)のデータに基づき選定した。海外直接投資信頼度指数を求めた29カ国で、近年の全世界におけるFDIフローの90%超を占めている。回答企業のうち、サービスセクター企業が約46%、工業系企業が35%、IT企業が17%を占めている。

本指数は今後3年間の対市場直接投資見込みに関する質問に対する高、中、低の回答の加重平均で計算されている。指標数値は、当該国から見て外国の市場に拠点を置く企業のみの回答に基づいて計算されている。例えば米国の指標数値は米国に本拠地を置く投資家の回答を除いて計算されている。指標数値が大きいほど投資先としての魅力度が高いことを示している。

本レポートのFDIフロー額はUNCTADの最新統計で、2017年の数値は全て推定値である。特記のない限り、特定のFDI取引価格に関するデータはDealogicから得た。二次ソースとして、投資促進機関、中央銀行、財務省、産業省、関連ニュースメディア、その他の主要データソースを活用した。

*最新版レポート全文(英語)や過去のFDICIはこちらをご覧ください
https://www.atkearney.com/foreign-direct-investment-confidence-index

*本リリースは、5月2日に配信された英語版プレスリリースの翻訳です。


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