東京--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) --信越化学工業株式会社(本社:東京、社長:斉藤恭彦、以下信越化学)は、GaN専用の成長基板であるQSTTM基板の300mm(12インチ)化を実現し、このほどサンプル供給を開始しました。
信越化学は、これまで150mm(6インチ)、200mm(8インチ)のQSTTM基板、および各口径のGaN on QSTTMエピタキシャル基板の販売を行ってまいりましたが、顧客からの強い要望により更なる大口径化に取り組み、QSTTM基板の300mm(12インチ)化に成功いたしました。GaNは、従来のSi生産ラインが使用可能であることから、大口径化による生産コスト低減が期待されていました。しかしながら、GaN成長に適した基板がないことから、大口径化による反り等の課題により生産歩留まりが低く、そのメリットが生かされていない現状がありました。今回の300mmQSTTM基板の開発により、Si基板上では不可能であった反りやクラックのない厚膜の300mm GaNエピタキシャル成長が可能となり、デバイスコストを大幅に削減することが可能となります。信越化学はこれまで150mm、200mmのQSTTM基板の設備増強を進めてきましたが今後、QSTTM基板の300mm量産化にも取り組みます。
QSTTM基板はGaNと熱膨張係数が同等であるため、標準的なSi基板と同等の基板厚でエピタキシャル層の反りやクラックの抑制が可能であり、大口径で高品質な厚膜GaNエピタキシャル成長を可能とする基板材料です。この特長を生かし、パワーデバイス、高周波デバイス、LED向けそれぞれに、国内外の多数の顧客にQSTTM基板およびGaN on QSTTMエピタキシャル基板の評価とそれらを用いたデバイス開発が続けられています。顧客のビジネス環境の逆風もありましたが、最近のデータセンター向け電源を始めとするパワーデバイスへの関心の高まりに対し、実用化に向けたエンジニアリング面での開発フェイズに入っております。
150mm、200mmに加えて、300mm QSTTM基板のラインアップにより、GaNデバイスの普及を大きく加速することができます。信越化学は今後の社会に不可欠な特性を兼ね備えたGaNデバイスのさらなる社会実装を進展させることにより、エネルギーを効率的に利用できる持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
なお、2024年9月4~6日に台湾台北で開催される「SEMICON TAIWAN」にて、本300mm QSTTM基板の展示を予定しております。
※1:QSTTM基板は、Qromis社(米国カリフォルニア州、CEO Cem Visceri)により開発されたGaN成長専用の複合材料基板であり、2019年に信越化学がライセンス取得。なおQSTTMはQromis社が保有する米国商標です(登録番号5277631)。
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