- ネットゼロ到達に向けた業界の活動の一環として、世界をリードするセメント企業の支援を受ける最初の6社の新興企業を発表
- 世界のセメント業界の支援を受ける持続可能な新興企業による低炭素コンクリートや炭素回収・利用・貯留
ロンドン--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- グローバルセメント・コンクリート協会(GCCA)は本日、2050年までの「ネットゼロ」達成に向けた競争における初のイノバンディ「オープン・チャレンジ」の一環として、会員企業が支援する最初の6社の新興企業を発表しました。
オープン・チャレンジへの参加企業100社以上から選ばれた6社の新興企業は、米国、カナダ、英国、イタリア、オランダの企業です。これらの新興企業が現在、業界のさらなる革新の推進をサポートするために世界をリードするセメント企業と力を合わせており、それぞれが正式なコンソーシアムの一部を成して、画期的な技術を試験、開発、展開していきます。
業界の主要な焦点の1つは、業界が支援する新興企業に含まれるCarbonOrO、MOFテクノロジーズ、サイペムと共に、炭素回収・利用・貯留(CCUS)のための技術と実装を開発することです。GCCAの会員は、2021年10月に発表された画期的なネットゼロ・ロードマップの一環として、すでに進行中の数十件の試行プロジェクトおよび発表から、2030年までに10基の産業規模の炭素回収プラントの設置へと移行することを約束しています。CCUSには、産業用発電などの大規模な排出源からCO2を「回収する」幅広い技術と方法が含まれます。CO2はその後、現地で使用されるか、圧縮されて輸送され、他の場所で使用または貯蔵されます。
カーボン・アップサイクリング・テクノロジーズとフォーテラは共に、回収されたCO2を使用して、低炭素のセメントとセメント系材料を製造します。もう1社の確定した新興企業は、管理された空気乱流が生み出す運動エネルギーを使用する低コストの乾燥技術を開発した英国の会社クームテックです。
新たに設立された6社のコンソーシアムは、セメントとコンクリートのバリューチェーン全体で炭素を削減または排除する技術の開発の加速に貢献します。各コンソーシアムは、それぞれの先駆的な技術を持つ新興企業から成り、3~8社のセメント企業が含まれ、6社の革新的コンソーシアム全体で16社のGCCA会員企業が関与しています。
GCCA最高責任者のトマス・ギヨーは、次のように述べています。「業界が団結し、このような革新的な新興企業の歩みをサポートするところを目にすることは、誇らしい瞬間です。当協会の会員企業は、気候ソリューションの主要な一部になるというこれらの新興企業の野心に非常に感銘を受けました。このプログラムは、私たちがネットゼロ目標を達成する助けとなる革新を解き放つための新たな大きな前進です。」
「増加する世界人口を支える強靭で持続可能なコミュニティーの必要性が差し迫るにつれて、セメントとコンクリートは、社会が必要とするインフラストラクチャーや建物を提供する上で不可欠となります。ネットゼロ・コンクリートの実現は、それぞれの役割を果たすさまざまなグループにかかっており、業界として私たちは内側だけでなく外側にも目を向け、このような新興企業が私たちの目標をいかにサポートできるかを確かめようとしています。」
「2050年までに世界規模でネットゼロを達成するためには、業界に革新的なアイデアとエネルギーをもたらす未来の世代を巻き込み、サポートすることも必要です。GCCAでは、大きな可能性を持つ研究開発を特定して招集し、指導や効果的な協働を通じてサポートを提供しています。」
これらの若い新興企業は、業界の進歩の加速を助ける未来の世代であり、GCCAは国際連合(国連)レース・トゥ・ゼロ・キャンペーンの促進者として、ネットゼロ・コンクリートを世界規模で実現するための革新的な開発の支援を続けています。
各コンソーシアムのメンバーは、2022年後半に予定されているデモンストレーションの日に向けて、技術を開発するために協力しています。GCCAは、起業家の成功を支援する世界的なネットワークであるテックスターズと協力して、このチャレンジのための新興企業を特定しました。イノバンディ・プログラムの詳細については、https://gccassociation.org/innovandi/をご覧ください。
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イノバンディ・オープン・チャレンジについて
2021年に開始されたオープン・チャレンジは、ネットゼロを達成するための業界の取組みの主要な一部です。この第1回目の開催では、新興企業がセメントおよびコンクリート・セクターで革新を推進するためのプラットフォームを提供します。オープン・チャレンジは、炭素回収および煆焼技術の開発と、建設サプライチェーンとコンクリートのリサイクル・プロセスにおける炭素利用の向上に焦点を当てています。新興企業と提携することにより、会員企業は、新興企業が製品を開発して改良するために必要とする世界的なリソースとサポートを提供します。
まだ正式なコンソーシアムを形成していない最終選考に残った新興企業は、GCCAから技術開発を支援する指導を受けています。今後数週間のうちに、さらなるコンソーシアムが発表される予定です。
正式なコンソーシアムに加え、オープン・チャレンジにより、2社のGCCA会員(セメントス・アルゴスとホルシム)が、米国エネルギー省の300万ドルのARPA-E助成金の業界パートナーとして、マイナス・マテリアルズをサポートすることになりました。
最終選考に残った6社の新興企業は以下のとおりです。
- CarbonOrO(オランダ)
- 独自の二相性アミンを使用し、回収コストを削減する炭素回収技術。
- セメックス、ホルシム、SCG、タイタン・セメント、ウルトラテック・セメント、ボトランティム・シメントスのサポートを受けています。
- カーボン・アップサイクリング・テクノロジーズ(カナダ)
- カーボン・アップサイクリング・テクノロジーズは、特許を取得した低エネルギー・プロセスを使用して、固体廃棄物内のCO2を化学的に活性化して回収し、さまざまな補助的なセメント系材料を生成して、低炭素のセメントとコンクリートを作り出します。
- セメントス・アルゴス、セメックス、CRH、ホルシム、シュリー・セメント、太平洋セメントのサポートを受けています。
- クームテック(英国)
- クームテックは、管理された空気乱流を利用して運動エネルギーを生成し、水分を除去する低エネルギーで低コストの乾燥技術を開発しました。
- 100年前から用いられているプロセスに革命的な変化をもたらし、クームテック活用プラントは、1基で年間60万本以上の成木に相当するCO2排出量を削減でき、運用コストは75%削減されます。
- ブッツィ・ウニチェム、CRH、JSWセメント、ウルトラテック・セメントのサポートを受けています。
- フォーテラ(米国)
- フォーテラの技術は、セメント工場から排出されるCO2を回収し、カルシウムと組み合わせて反応性炭酸カルシウムを生成します。乾燥粉末の形状で安定しており、濡れるとセメント特性が活性化されます。
- セメントス・アルゴス、CRH、ホルシム、JSWセメント、太平洋セメント、ウルトラテック・セメントのサポートを受けています。
- MOFテクノロジーズ(英国)
- ヌアダ炭素回収技術は、金属有機構造体(MOF)を使用して、従来のアミンのコストの数分の1のコストで、エネルギー効率の高いCO2除去を実現します。
- ブッツィ・ウニチェム、チェメンティル・ホールディング、ハイデルベルクセメントのサポートを受けています。
- サイペム(イタリア)
- サイペムは、酵素によって触媒される不揮発性の炭素塩水溶液を使用する革新的な炭素回収技術を開発しました。これは、有毒な生成物を必要とすることも、発生させることもありません。このプロセスでは、低位余熱を使用してプロセスを進め、煙突などの産業排出源から直接、燃焼後の排出を回収できます。
- ブッツィ・ウニチェム、チェメンティル・ホールディング、セメントス・モリンス、セメックス、GCC、ホルシム、タイタン・セメント、ボトランティム・シメントスのサポートを受けています。
関連する引用
新興企業
ヤン・ホッペンブラワース、CarbonOrO共同所有者および販売・マーケティング責任者
「CCUSについては多くの議論がされていますが、世界中で、これまでに準備が整えられた進行中の試験プロジェクトの数は限られています。残された時間がほとんどないために、この状況には疑問が湧きます。GCCA会員とそのコンソーシアムの共同の努力は、この状況を変えるための特徴のすべてを備えています。それについてお礼を申し上げます。」
ナタリー・ジグリオ、カーボン・アップサイクリング・テクノロジーズ、シニア事業開発アソシエート
「カーボン・アップサイクリングでは、CO2をセメント産業の廃棄物ではなく資源として利用する新しい技術を開発しました。豊富な地域の廃棄物と、セメント・キルンから直接得られるCO2を使用することで、地域のサプライチェーン内の循環を実現します。イノバンディ・オープン・チャレンジへの参加により、すぐに展開できる技術を採用し、世界的な商業化への道を加速するためのプラットフォームが当社にもたらされました。」
クリス・エブリー、クームテック最高商務責任者、創立者
「急進的な新技術を確立しようとしている若い企業には、通常、ターゲットとしている業界や、情報を提供して能力を実証しようとする相手の顧客への近道はありません。それぞれの可能性を個々に開拓し、育てる必要があります。イノバンディ・オープン・チャレンジは、厳格な審査プロセスと、セメント市場最大の世界的プレーヤーの統合された力へのアクセスを組み合わせたものです。このチャレンジは、途中の評価のハードルを通過することに成功した私たちに、有望な市場や技術ユーザーへの比類のない、非常に貴重な直接のアクセスをもたらします。イノバンディ・オープン・チャレンジでコンソーシアム・パートナーに選ばれたことに喜びと誇りを感じており、実行段階を開始して、よりクリーンで費用対効果の高いセメント業界にクームテックの貢献をもたらすことを楽しみにしています。」
ライアン・ギリアム、フォーテラ最高経営責任者(CEO)
「当社の技術がイノバンディ・オープン・チャレンジにより、業界の協働のために選ばれたことを非常にうれしく思います。フォーテラは、ネットゼロ・ソリューションが緊急に必要とされている時に、コスト競争力の高い低炭素セメントを製造するためのプロセスを開発しました。構築環境内の炭素を隔離しながら、ポルトランド・セメントのコストと性能を提供する気候に配慮した代替案を推進する上で、GCCAパートナーと協力することを楽しみにしています。」
コナー・ハミル博士、MOFテクノロジーズ共同CEO
「当社はエネルギーとコストの従来の採用障壁を克服する炭素回収システムを開発しており、GCCAの会員と協力して当社の技術を現場にもたらすことに心を躍らせています。当社のヌアダ炭素回収技術は、これらの障壁を克服するために必要とされる超効率的なCO2分離を実現するように設計されており、パートナーがネットゼロ目標を達成できるようにします。それゆえに当社は、イノバンディ・オープン・チャレンジに参加し、コンクリートのバリューチェーンの脱炭素化に貢献できることをうれしく思います。」
サイペム
「サイペムは、独自の酵素による炭素回収技術にGCCA会員の関心を引き付けていることを誇りに思います。GCCAのオープン・イノベーション・プログラムは、炭素回収技術の採用を加速することに積極的に貢献しています。サイペムは、GCCAコンソーシアムのメンバーと協力して、従来の炭素回収技術の環境およびエネルギー・フットプリントを改善し、セメント・セクターが競争力を持って事業を脱炭素化すると同時に、他の多数のCO2削減が困難な産業セクターにプラスの影響を与えられるようサポートします。今回の評価は、CCUSセクターにおけるサイペムの先導的役割をさらに裏付けるものであり、サイペムは、バリューチェーン全体に対応するための能力、スキル、資産、技術を備えています。」
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