コンピューターが使用するエネルギーは増える一方です。EUが助成してフィンランドのタンペレ大学が統括する国際プロジェクトのAPROPOSは、データ正確度の低下により世界のデータ使用のエネルギー効率を最大50倍改善することを目指しています。世界各国の若手研究者がプロジェクトに参加し、フィンランド、スウェーデン、オランダ、オーストリア、イタリア、スペイン、スイス、フランス、英国で研究活動を行っています。
フィンランド・タンペレ--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- コンピューターが必要とする電力量は2040年までに、世界のエネルギー資源が生成可能な量を超えると推測されています。電力・エネルギー最適化のための近似コンピューティング(APROPOS)プロジェクトは、現状を打破する方法論の採用により、将来組み込み高性能コンピューティングのエネルギー効率化の課題に取り組むための指導を欧州各国の若手研究者15人に行います。
モバイル・ブロードバンド・ネットワークのエネルギー消費は、データセンターに匹敵します。モノのインターネット(IoT)システムは間もなく、ワイヤレス・ネットワークを通じて、最大で500億台の機器を接続するようになります。APROPOSプロジェクトは、分散コンピューティング・システム、およびクラウドベースのサイバー・フィジカル・システムでの通信の両方におけるエネルギー消費の削減を目指します。
タンペレ大学電気工学部のヤリ・ヌルミ教授は、次のように述べています。「幸いなことに、世界のデータ取得、転送、計算、保存システムの多くの部分で、正確度を低下させてエネルギーと時間の消費を削減することが可能です。設計の最適化に正確度を採用することで、エネルギー効率は最大50倍も改善できます。」
ヌルミ教授は一例として、無数のセンサーがノイズのある不正確な入力データを測定する場合を挙げています。取得した信号を処理するアルゴリズムは確率的である可能性があり、自然環境を測定するセンサー群はノイズのある不正確なデータを大量に生成しますが、観測された現象の本質的な傾向を損なうことなく、それを正確度の低い状態で転送して処理することが可能だと指摘します。
「データを使用するアプリケーションは完全に正確な結果を必要とせず、許容範囲内の正確度で十分な場合もあります。これは、そのシステムがランダムなエラーに対応可能であることを意味します。たとえば、データマイニング・システムでは分類が厳密でなくても構わないという事例などです。」
増え続けるエネルギー消費に対処するための新しいソリューションが必要
近年の半導体技術とエネルギーを意識したシステム設計の進化にもかかわらず、コンピューティングと通信システム全体のエネルギー消費は急速に増加しています。APROPOSプロジェクトは、製品とエネルギーを意識したシステム設計における機能強化の基礎を作れるよう、多分野にわたる国際的な環境の研究者15人を指導します。
「APROPOSの若手研究者は、起業家としての指導、および研究者としての指導の両方を受けます。そのため、自身の研究の商業的な可能性を発展させ、革新的な製品とサービスのアイデアを考案することができるでしょう」とヌルミ教授は語ります。
APROPOSは、欧州連合のホライズン2020マリー・スクウォドフスカ・キュリー・イノベーティブ・トレーニング・ネットワークの助成を受けた4年間のプロジェクトで、フィンランドのタンペレ大学が統括しています。EU外の若手研究者多数が参加し、フィンランド、スウェーデン、オランダ、オーストリア、イタリア、スペイン、スイス、フランス、英国で研究活動を行っています。
詳細については、http://www.apropos-itn.euをご覧ください。
タンペレ大学
学際的なタンペレ大学は、フィンランドで2番目に大きな大学です。その研究と学習の最先端分野は、テクノロジー、健康、社会です。本学は、私たちの社会が直面する最大の課題に対処し、新しい機会を創り出すことに取り組んでいます。国際的に認められた研究分野のほぼすべてを、本学は擁しています。タンペレ大学とタンペレ応用科学大学により、3万人以上の学生と5000人近い従業員から成るタンペレ大学コミュニティーが構成されています。www.tuni.fi/en
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