東京--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- ひびき・パース・アドバイザーズ(以下、「ひびき」)はシンガポールを拠点とする資産運用会社であり、日本国内外の資金を長期の視点で運用しております。ひびきは、顧客資産の運用を通じ、2021年2月末時点で、株式会社ココカラファイン(以下、「ココカラファイン」)の発行済み株式の約1%の議決権を有しております。
ココカラファインと株式会社マツモトキヨシホールディングス(以下、「マツモトキヨシ」)は、2021年2月26日、両社の連名による「株式会社マツモトキヨシホールディングスと株式会社ココカラファインとの経営統合に関する経営統合契約の締結のお知らせ」(以下、「本件プレスリリース」)において、2021年10月1日を効力発生日とする経営統合(以下、「本経営統合」)に向けて、両社の間で経営統合契約等を締結したことを発表しました。本経営統合は国内のドラッグストア業界において、業界・業種の垣根を越えて競争が激化する中、ヘルス&ビューティ分野に共に注力する大手2社が手を取り合い「美と健康の分野でアジアNo.1」になることを企図しています。未曾有のコロナウイルスの拡散、健康保健制度の制度疲労及び病院の疲弊、少子高齢化、地域医療連携のニーズの高まり等のメガトレンドの中、国民の健康及びウエルネスのインターフェイスとして「点ではなく面で社会に浸透している」ドラッグストア事業の重要性がますます高まることに間違いありません。このような環境の下、業界再編を通じて、国民に、より高付加価値のサービスを提供していくための試金石となろう、本経営統合の根底のビジョンについて、私共は心より賛同致します。
一方で、私共としては、本経営統合は、両社の資本関係及び統合会社のガバナンスデザインの状況からすると、2019年8月16日に両社が当初発表した「対等の精神」から離れ、実質的にはマツモトキヨシによるココカラファインの買収であると考えます。以下がその理由です。
2020年3月の資本業務提携の発効によって、既にマツモトキヨシはココカラファイン株式を議決権比率にして20.02%保有する筆頭株主であり、ココカラファインはマツモトキヨシの持分法適用会社に該当しているため、そもそも、ココカラファインは、マツモトキヨシと対等に交渉を行うことができる体制が担保されているとは言い難いこと
当初、共同株式移転で検討されていた統合案が、マツモトキヨシを完全親会社、ココカラファインを完全子会社とする株式交換(以下、「本株式交換」)に変更され、ココカラファインが完全にマツモトキヨシの傘下に入るスキームであること
両社統合後のホールディングカンパニーであるマツキヨココカラ&カンパニーの経営体制においては、3名の代表取締役のうち、代表取締役会長と代表取締役社長には現マツモトキヨシの代表取締役会長と代表取締役社長がそのまま就任する予定であり、ココカラファインの代表取締役社長は、マツキヨココカラ&カンパニーの代表取締役副社長に就任する予定であること
取締役15名(予定人数)のうち、10名の取締役がマツモトキヨシから、5名のみがココカラファインから就任する予定であることが現段階で決定しており、2/3の構成をマツモトキヨシ側が占めること
統合会社の所在地はマツモトキヨシが保有する土地と建物となっていること
以上のことから、少なくとも、両社の資本関係及び統合会社のガバナンスデザインの視点からすると、本経営統合は実質、マツモトキヨシによるココカラファインの買収であると評価せざるを得ません。他方、本件プレスリリースによれば、本株式交換においては、ココカラファインの普通株式1株に対して、マツモトキヨシの普通株式が1.70株交付されることになっています。本件プレスリリースによれば、当該株式交換比率は、「第三者算定機関による算定・分析結果及び法務アドバイザーの助言を参考に、両社それぞれが相手方に対して実施したデュー・ディリジェンスの結果等を踏まえて、両社の財務の状況、将来の見通し、株価動向等の要因を総合的に勘案し、両社間で複数回に亘り慎重に交渉・協議を重ねた結果」、妥当であるとの判断に至ったとのことですが、具体的にどのような交渉を経て、どのような理由から妥当と判断したのか、その過程の説明を含む実質的な内容が開示されていません。また、上記のとおり、そもそも、両社の資本関係からしても、ココカラファインはマツモトキヨシと対等に交渉を行うことができる体制が担保されているとは言い難い状況です。
以上からすると、当該株式交換比率の決定プロセスには重大な問題があった可能性を排除出来ず、また、当該株式交換比率からすると、マツモトキヨシは市場株価にプレミアムを付さない形で、ココカラファインを買収することが企図されていると思料致します。ココカラファインの一少数株主である私共としては、マツモトキヨシはココカラファインの市場株価に適正な経営権支配プレミアムを付した価格による完全子会社化をすべきと考え、現在の株式交換比率による株式交換について反対し、株式交換比率の再考を両社取締役会が真摯に検討することを求めます。
本経営統合は来る6月29日開催予定の定時株主総会にて特別決議(議決権行使株主の2/3以上の賛成)が必要な組織再編となります。私共としては、アセットオーナーに対する受託者責任を全うし、ココカラファインの価値が不当に低い評価となっている本経営統合の株式交換比率が実質的に変わらない場合については、本経営統合に反対を致します。
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清水雄也
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