ランダム化サブスタディーのPROSPECT ABSORBは、BVSによる高リスクプラークの治療が安全であり、GDMT単独と比較して良好な長期的臨床成績を伴うことを示した
米マサチューセッツ州ベッドフォード--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 冠動脈疾患マッピング向け血管内イメージング技術のパイオニア企業でNipro CompanyのInfraredx(インフラレデックス)は、心臓血管研究財団の第32回年次科学シンポジウムであるTCTコネクトで最新演題の臨床試験として報告されたPROSPECT II研究およびPROSPECT ABSORB研究の良好な結果を発表しました。PROSPECT II研究により、近赤外分光法(NIRS)イメージングと血管内超音波(IVUS)が、将来の冠動脈イベントの原因となる冠動脈プラークを識別する能力が実証されました。米国心臓病学会誌(JACC)に同時掲載されたランダム化サブスタディーのPROSPECT ABSORBは、生体吸収性血管スキャフォールド(BVS)による高リスクの不安定プラークの治療が安全であり、ガイドライン順守薬物治療(GDMT)単独と比較して、良好な長期的臨床成績を十分に伴うものであることを示しました。
幾つかの剖検研究から、脂質コアプラーク(LCP)がほとんどの冠動脈死の根本原因であることが判明しており、破裂した脂質コアが最も重大な冠動脈有害事象(MACE)を生体内で引き起こすと考えられています。2019年9月27日にランセット誌に掲載された最近の前向き「脂質に富むプラーク(LRP)」研究により、NIRSで検出された未処置LCPと将来のイベントとの間に相関関係があることが分かりました。PROSPECT II研究は、NIRSで検出された非閉塞性LCPが、将来の非責任病変関連イベントを引き起こす傾向があることをさらに実証することが目的です。
この研究者主導の多施設前向き研究では、スウェーデン、デンマーク、ノルウェーの16施設で898人の患者を組み入れました。最近になって心筋梗塞(MI)を患った患者は、血流を制限する責任病変すべてに対する介入を成功させて後に組み入れました。InfraredxのNIRS+IVUSイメージングシステムを使用して、3つの冠状動脈すべてを対象にイメージングを行いました。本システムはNIRSを利用してLCPを検出し、ケモグラムと呼ばれる色分けマップを自動表示します。ケモグラムにより、LCPの存在を黄色で、不存在を赤色で分かりやく表示できます。PROSPECT IIでは、未治療の非責任病変をIVUSで識別し、脂質含有量をNIRSで評価しました。
計3629カ所の未治療非責任病変について特性付けを行いました。研究結果から、中央値で3.7年の追跡期間中に患者の14.4%で心臓有害事象が発現し、ベースラインでの平均直径狭窄率が46.9%の未治療非責任病変からの発現率は8.0%であることが示されました。高LCPの存在は、患者レベルの非責任イベントおよび病変固有イベントの独立的な予測因子でした。データからは、患者レベルおよび病変レベルのリスクの確率について、それぞれ2.3倍および7.8倍高くなることが示されました。研究論文の著者らは、NIRSで検出された脂質に富むプラークにより、血管造影的に軽度で血流を制限しないが、将来の冠動脈イベントの原因になる病変を識別できたと、結論付けました。
本研究のDavid Erlinge共同議長(スウェーデンのルンド大学、MD、PhD)は、次のように述べています。「重要な発見は、将来の心イベントのほとんどの原因となる病変が、今日広く使用されている方法である血管造影法やプレッシャーワイヤーによっては識別されないプラークによって引き起こされたという点です。代わりに、脂質に富んでプラーク負荷が高い病変がNIRS+IVUSで検出されると、これらは将来の有害転帰のリスクが最も高いプラークだったのです。」
PROSPECT ABSORBサブスタディーでは、182人の患者をBVSおよびGDMT(93人)またはGDMT単独(89人)にランダム割り付けしました。この研究では、BVSにより、部位決定したIVUSプラーク負荷が65%以上で血管造影的に非閉塞性の高リスク病変の血管内腔を安全に拡張できるかどうかを評価しました。血管造影法による25カ月のフォローアップが完了し、臨床的フォローアップの中央値は4.1年でした。研究結果から、フォローアップ最小内腔面積(MLA)はBVS治療病変で6.9±2.6mm2、GDMT単独治療病変で3.0±1.0mm2となっており、3.9mm2の差があることが判明しました。フォローアップ中央値4.1年間におけるランダム化病変関連MACEは、BVS治療を受けた患者の4.3%で、GDMT単独治療を受けた患者の10.7%で発現しました。研究論文の著者らは、プラーク負荷が大きく血管造影的に軽度の病変のPCIではMLAを安全に拡張でき、GDMT単独と比較して長期的臨床成績が良好であったと結論付けました。
グレッグ・W・ストーン医師(ニューヨークのマウントサイナイ病院のアイカーン医科大学Zena and Michael A. Wiener Cardiovascular Instituteに在籍、PROSPECT IIおよびPROSPECT ABSORBの共同議長)は、次のように述べています。「この研究は血流を制限しない不安定プラークの介入治療として初のランダム化試験ですが、スキャフォールドないしステントによる予防的プラーク安定化で血管造影的に軽度の高リスクプラークをより安定した病変へと安全に転換できることを示しています。これらの病変は現時点で治療されていないため、不安定プラークのPCIがこれらの高リスク患者の臨床成績を改善できるかどうかを判断するための大規模な試験を実施してしかるべきです。」
Nipro CompanyのInfraredxの社長兼最高経営責任者(CEO)を務めるNozomu Fujitaは、次のように述べています。「NIRS+IVUSイメージングが将来の有害事象のリスクがある患者とプラークを安全に検出できることを検証する研究が既に蓄積されていますが、これらの最新研究の良好な結果はこれらを積み増すものです。当社は今後も、心血管疾患との闘いを継続するために利用できる最高のツールを提供していきます。」
米国食品医薬品局(FDA)は2019年4月、画期的なLRP研究の結果に基づいて、InfraredxのMakotoTM血管内イメージングシステムとそれに付随するDualproTM IVUS+NIRSカテーテルの使用の適応を拡大し、MACEのリスクが高い患者と冠動脈プラークの識別ができるようにしました。
スウェーデンのウプサラ大学病院のウプサラ臨床研究センターが本研究の臨床業務、データ管理、臨床事象分類を担当し、ニューヨークの心臓血管研究財団がコアラボ分析、生物統計、データ分析を担当しました。
本研究は、アボット バスキュラー、Nipro Companyのインフラレックス、現在はノバルティス傘下のメディシンズ・カンパニーによってサポートされました。
Nipro CompanyのInfraredxについて
Nipro CompanyのInfraredxは、心臓発作を予測し、最終的に予防するために求められる最も精密なイメージングツールを心臓医に提供することで、冠動脈疾患の診断と管理を前進させています。Infraredxはこの重要な研究分野を発展させ、画期的な臨床試験を実施し、心臓疾患を把握・治療するための方法の変革に取り組んでいます。MakotoTM Imaging System やOKAY II Y-Connectorの詳細情報については、www.infraredx.comをご覧ください。InfraredxのTwitterとLinkedInで当社の情報を入手できます。
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