- 進行中のピボタル第3相試験の18カ月時点の解析に関する1つ目の論文で公表された結果は、発表済みの12カ月時点の解析結果で報告された全般的な有効性および安全性のデータと概ね一貫性を示す
- ピボタル第3相試験はデング熱の十分な症例数を収集できた項目の副次的評価項目すべてを達成
- 2つ目の論文は第2相試験の48カ月時点の最終解析結果で、武田薬品のワクチン候補の長期安全性を示し、免疫応答の持続性を証明。結果はピボタル第3相試験で検討した2回接種スケジュールをさらに裏付け
米マサチューセッツ州ケンブリッジ & 大阪--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)(「武田薬品」)は本日、武田薬品のデング熱ワクチン候補(TAK-003)に関連する2本の論文をランセット誌が掲載したと発表しました。これらの論文は、進行中のピボタル第3相「デング熱に対する4価ワクチン予防接種の有効性試験」(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study、TIDES)の18カ月時点の解析結果と、第2相DEN-204試験の48カ月時点の最終解析結果に関して報告したものです1,2。これらの解析結果は、TAK-003に関して報告済みの安全性、免疫原性、有効性のデータと一貫性がありました3,4,5,6。
ピボタル第3相TIDES試験の18カ月時点の解析結果には、ワクチン有効率(VE)の最新情報と、血清型別、ベースラインにおける血清状態別、疾患重症度別の有効性の副次的評価項目の正式な評価(初回投与から3カ月後に行われた2回目の投与から18カ月後)が含まれていますが、それらは年齢4~16歳の小児・若年層におけるウイルス学的に確認されたデング熱感染(VCD)に対する予防効果を証明するものでした(全体的VEは73.3% [95%信頼区間(CI):66.5%~78.8%])。TIDES試験は、デング熱の十分な症例数を収集できた項目の副次的評価項目すべてを達成しました。TAK-003の忍容性は概ね良好で、本解析で重大な安全性リスクは認められませんでした1。18カ月時点のデータは2019年11月に、第68回米国熱帯医学会(ASTMH)年次集会で発表済みです4。18カ月時点の解析でのVEおよび安全性に関する結果は、発表済みの12カ月時点の解析結果と概ね一貫性があるものでした1,3。
ランセット誌に掲載されたTIDES論文の著者の1人であるフィリピン大学マニラ校のルル・C・ブラボー名誉教授(M.D.、小児感染・熱帯病学)は、次のように述べています。「私が直接目にしているのは、デング熱が地域社会や個人にもたらし得る惨状と、医療システムに与える負担です。安全である上に、デング熱の発生率と重症度のみならず入院率も低減する有効なワクチンに対する大きなニーズが存在します。本ワクチン候補の安全性と有効性に関する完全な評価には長期データが必要ですが、論文掲載された第3相試験の結果はTAK-003がデング熱予防で重要なツールとなり得ることを示しています。」
TIDES試験は継続中であり、安全性と有効性の評価は全体として4年半にわたり実施します。武田薬品は、TIDES試験の24カ月時点の解析結果を年内に発表する計画です。武田薬品のデング熱ワクチン候補は現在、世界で承認を受けているところはありません。
DEN-204試験には1800人の被験者が組み入れられました。48カ月時点のデータ解析では、TAK-003がベースラインの血清状態に関係なく、2~17歳の小児・若年層でデングウイルスの4種すべての血清型に対する抗体反応を誘発し、それらの反応がワクチン接種後4年間にわたり持続することが示されました。本試験では、3つの異なる接種スケジュール(単回の一次接種、単回の一次接種+1年後のブースター接種、2回の一次接種)とプラセボの評価を実施しました。ベースラインで血清反応陽性の被験者では、免疫応答の指標である幾何平均抗体価(GMT)が48カ月目まで各接種スケジュール間で明確な差は認められませんでした。ベースラインで血清反応陰性の被験者では、単回接種を受けた被験者は2回の一次接種または1回の一次接種+1年後のブースター接種を受けた被験者のいずれと比較してもGMTが全般的に4種すべての血清型に対して低いことが示され、進行中のTIDES試験で検討した2回の一次接種というスケジュールの妥当性をさらに裏付ける結果となっています。4年の試験期間を通じて重大な安全性の懸念は認められず、TAK-003の長期安全性プロファイルに関する詳細な知見が得られました。本試験ではVEは評価対象とされませんでしたが、4年の試験期間を通じて、ワクチン接種群ではプラセボ群と比較してVCDのリスクが有意に低いことが示されました(相対リスク:0.35、95%CI:0.19~0.65)2。先に発表したDEN-204試験の中間解析結果では、6カ月時点5および18カ月時点6で忍容性および安全性が評価されるとともに、免疫原性の持続が示されました。
武田薬品のバイスプレジデントでデング熱グローバルプログラムリーダーのデレク・ウォレスは、次のように述べています。「デング熱は世界中で家族や地域社会に脅威を与えており、デング熱感染歴の有無に関係なくすべての人々にとって安全なワクチンへの重大なニーズが依然として存在します。当社は、第2相試験で長期安全性のデータと免疫原性プロファイルが示され、また第3相試験で血清反応が陽性および陰性の両被験者における予防効果に加え、デング熱による入院を予防する効果が示されたことに励まされています。これらのデータは、デング熱に対する世界規模の闘いを支える当社ワクチン候補の潜在力を証明するものです。」
第3相TIDES(DEN-301)試験について
二重盲検ランダム化プラセボ対照第3相TIDES試験は、小児・若年被験者で、4種の血清型のいずれかによって引き起こされ、検査で確認されたあらゆる重症度の症候性デング熱の予防で、TAK-003を2回投与した場合の安全性と有効性を評価する試験です7。TIDES試験は、武田薬品がこれまでに実施した中で最大規模の介入臨床試験で、デング熱流行地域に居住する年齢4~16歳の健康な小児・若年層2万人以上が組み入れられました。被験者はランダム割り付けにより、試験1日目と90日目にTAK-003 0.5 mLまたはプラセボのいずれかを皮下投与されました7。試験は3つのパートで構成されています。主要評価項目の解析では、初回投与から15カ月後までのワクチンの有効性と安全性を評価しました(2回目の投与からは12カ月後)7。本試験のパート2ではさらに6カ月継続し、血清型別、ベースラインにおける血清状態別、疾患重症度別の有効性に関する副次評価項目の評価を行いました7。本試験の最終パートではさらに3年間被験者を追跡調査し、有効性および長期安全性の評価を実施中です7。
本試験が実施されているのは中南米(ブラジル、コロンビア、パナマ、ドミニカ共和国、ニカラグア)とアジア(フィリピン、タイ、スリランカ)のデング熱流行地域にある施設です。これらの地域ではデング熱予防に対する未充足ニーズがあり、重症型デング熱が小児における重篤疾患および死亡の主因となっています7。血清状態別の安全性と有効性の評価を行えるよう、本試験に参加する被験者全員からベースラインにおける血液サンプルを採取しました。武田薬品および専門家から成る独立データモニタリング委員会は、積極的な安全性モニタリングを継続的に行っています。
第2相DEN-204試験について
第2相DEN-204試験はランダム化・二重盲検・プラセボ対照・多施設共同試験として、デング熱流行地域(ドミニカ共和国、パナマ、フィリピン)に居住する健康な被験者1794人で、TAK-003の単回接種ないし2回接種のスケジュールの安全性と免疫原性を評価するようにデザインしたものです。本試験は2019年に完了しています8。被験者の年齢は2~17歳で、4つの群のいずれかにランダム割り付けされました。6カ月後の中間解析の時点まで、2つの群は単回のワクチン接種、1つの群は3カ月の間隔で2回のワクチン接種、1つの群はプラセボ接種というスケジュールの接種を受けました8。中間解析の主要評価項目は、免疫原性に関し治験実施計画書に適合した対象集団(PPS)における4種のデング熱ウイルス血清型(DENV-1~4)に対する中和抗体の幾何平均抗体価(GMT、免疫応答の指標の1つ)としました。同PPSは、治験実施計画書に対する重大な違反がなく、接種前および接種後の有効な血液サンプルが存在し、1、3、6カ月目に免疫原性の評価が実施された被験者の集団としました8。副次的評価項目には安全性解析の対象集団(すなわちTAK-003ないしプラセボの接種を少なくとも1回受けた被験者のすべて)における重篤有害事象およびウイルス学的に確認されたデング熱感染、血清反応陽性率(抗体を発現した被験者の割合)、免疫原性解析の対象集団において自発的および非自発的に報告された有害事象の発現率が含まれています8。
武田薬品のデング熱ワクチン候補(TAK-003)について
武田薬品の4価デング熱ワクチン候補(TAK-003)は、4種のワクチンウイルス型すべての遺伝子「バックボーン」を提供する弱毒生2型デングウイルスをベースとしています9。小児および若年の被験者での第1相/第2相臨床試験のデータは、TAK-003が陽性、陰性のいずれの血清反応の被験者でもデングウイルスの4種の血清型すべてに対し免疫応答を誘導することを示し、また同ワクチンは全般的に安全で良好な忍容性を示しました5,10,11,12。
デング熱について
デング熱は、蚊媒介ウイルス感染症として最も急速に拡大しており、世界保健機関によって2019年の「世界の健康に対する脅威トップ10」の1つに挙げられています13,14。デング熱は主にネッタイシマカ(Aedes aegypti)と、程度は低いもののヒトスジシマカ(Aedes albopictus)が媒介します。4種のウイルス血清型のいずれによっても引き起こされ、いずれの血清型もデング熱または重症型デング熱を引き起こす可能性があります13。個々の血清型の罹患率は地理、国、地域、季節によって異なり、時間経過とともに変化します13,15。ある血清型のウイルスへの感染から回復した場合、その血清型に対してのみ生涯続く免疫を得ますが、後に他の血清型のウイルスに感染した場合、重症化のリスクは高まります13。
デング熱は流行しがちであり、熱帯と亜熱帯地域で流行が観察されており、最近では米国本土と欧州の一部でも流行しています13,16,17。現時点で世界人口の約半分がデング熱の脅威にさらされており、毎年世界全体で3億9000万人が感染し、約2万人が死亡していると推定されています13,18。デング熱はあらゆる年齢層の人々が感染する可能性があり、中南米とアジアの一部の子供たちにとっては重篤疾患を引き起こす主因となっています13。
武田薬品のワクチンに対する取り組みについて
ワクチンは、毎年200~300万人以上の生命を救い、世界の公衆衛生を変革しました19。武田薬品は過去70年間、ワクチンの提供により日本の人々の健康を守ってきました。現在、武田薬品のグローバルワクチンビジネスはデング熱、ジカウイルス感染症、ノロウイルス感染症など、世界で最も困難な感染症の一部を対象に、新機軸を取り入れた対策に取り組んでいます。当社チームはワクチンの開発製造とグローバルアクセスに関する傑出した実績と豊富な知識を生かして、世界で最も緊急性の高い公衆衛生ニーズに対応すべく、ワクチンのパイプラインを前進させています。詳細についてはwww.TakedaVaccines.comをご覧ください。
武田薬品工業株式会社について
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置く価値立脚・研究開発型の世界的なバイオ医薬品のリーディングカンパニーとして、科学の成果を高度に革新的な医薬品へと橋渡しすることで、患者のために健康を改善してより明るい未来をもたらすことに真剣な努力を傾けています。武田薬品はその研究活動をオンコロジー、希少疾患、神経精神疾患、消化器系疾患の4つの治療領域に集中させています。また血漿分画製剤とワクチンにも重点的に研究開発投資を行っています。武田薬品は、新しい治療選択肢を掘り起こし、協業的研究開発の強化された原動力と能力を活用して、強固かつ多様な創薬手法のパイプラインを構築することにより、人々の生活を改善することに貢献する高度に革新的な医薬品の開発に傾注しています。当社の従業員は約80の国で、患者の生活の質の向上と、医療分野におけるパートナーとの協力に傾倒しています。詳細についてはhttps://www.takeda.comをご覧ください。.
References
1 Biswal S, et al. Efficacy of a tetravalent dengue vaccine in health children aged 4-16 years: a randomized, placebo-controlled, phase 3 trial. Lancet. 2020. doi:10.1016/S0140-6736(20)30414-1. [epub ahead of print].
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8 ClinicalTrials.gov. Safety and Immunogenicity of Different Schedules of Takeda's Tetravalent Dengue Vaccine Candidate (TDV) in Healthy Participants. 2020. (健康な被験者における武田薬品の4価デング熱ワクチン候補(TDV)の異なるスケジュールの安全性・免疫原性)
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