高速・無人の海洋探査・発見を促進するコンテストで7カ国のチームが決勝戦に進む
ロサンゼルス--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ)-- 人類の重要課題の解決に向けた賞金付きコンテストの考案・管理の世界的リーダーであるXプライズは本日、賞金700万ドルのシェル・オーシャン・ディスカバリーXプライズの最終候補チーム9チームを発表しました。このXプライズは、高速・無人・高解像度の海洋探査のための海洋技術の進歩に向けて、チームが3年間にわたり競う世界的コンテストです。
Xプライズは、最終候補が開発した最先端の海洋マッピング/イメージング技術に、マイルストーン賞の100万ドルを均等に分割して授与します。チームが開発した革新的手法には、人工知能、空中ドローン、水中ロボット・スウォーム、レーザー、自律的な水上船・潜水艇が含まれます。
最終候補9チームは、3月15日にロンドンで開催されるオーシャノロジー・インターナショナルのCatch
the Next Wave(次の波をつかまえる)カンファレンスの閉幕基調講演で正式に発表して、表彰します。演者は、Xプライズのプライズリードで惑星・環境担当シニアディレクターのJyotika
Virmani博士です。
Virmani博士は、次のように述べています。「審査員団はシェル・オーシャン・ディスカバリーXプライズのラウンド1試験で初めて、深海にアクセスするための方法に革命をもたらし、海面下の奥深くに横たわる謎をついに解明できる手法として、革新的で多様な手法の具体的な試作品を見ることができました。ラウンド2に突入しますが、最終候補の技術を実環境の厳しい条件で試験することになります。グランドキャニオンよりも深い水深4000mの海底地形図を素早く作成する能力を実証してくれるものと、私たちは期待しています。」
シェル・オーシャン・ディスカバリーXプライズの最終候補は、専門家7人から成る独立審査員団によって、準決勝に勝ち残った19チームから選ばれました。決勝戦に進むチームは下記の通りです。
ARGGONAUTS(ドイツ・カールスルーエ):グンナー・ブリンク氏が率いるチームは、深海向けと海面向けの2つのスウォームの開発に当たっています。5台以上のインテリジェントな深海ロボットドローンを同数の自律双胴船が伴走・サポートします。この双胴船は、ジオリファレンス、回収、搬送が可能です。
ブルー・デビル・オーシャン・エンジニアリング、デューク大学(米国ノースカロライナ州ダーラム):マーティン・ブルック氏が率いるデューク大学チームは、回収可能なソナー潜航艇を投下できる重量物運搬空中ドローンに取り組んでいます。
CFIS(スイス、アルネクス=シュル=ニヨン):トビー・ジャクソン氏が率いるチームは、レーザーを使って、海底のマッピングとイメージングを行うAUVのフリートを製造中です。
GEBCO-NF Alumni(米国、グローバル):GEBCO・日本財団のプログラム修了生らは12カ国から成るチームを主導し、既存技術と海洋マッピングの経験を合せて、革新的な無人水上船に取り組んでいます。2030年までに包括的な海底地形図を作成することに貢献します。
KUROSHIO(横須賀):中谷武志氏が率いるチームは、日本の大学・研究機関・企業が所有する技術を一体化するという独自の協業的アプローチの下、AUVを中心に取り組んでいます。
パイシス(ポルトガル):Nuno Cruz氏が率いるチームは、INESC
TEC(ポルト)とCINTAL(アルガルベ)が開発したポルトガルの技術を結集し、協業的ロボットを活用したPISCESシステムを開発しています。
チーム・タオ(英国ニューカッスル):デール・ウェイクハム氏が率いるチームは、海面から深海まで高速探査ができる自律的スウォームシステムを開発中です。
テキサスA&Mオーシャン・エンジニアリング(米国テキサス州カレッジステーション):学生が主導するこの大学チームは、業界および実績のあるテキサスA&M大学同窓会と提携し、ドローン船とAUVを使って、遠く離れた海洋環境を探査しています。
バージニアDEEP-X(米国バージニア州):ダン・スティルウェル氏が率いるチームは、協調のとれたチームとして操作できる低コストの小型潜水艇を開発しています。
シェルの探査担当エグゼクティブバイスプレジデントのMarc
Gerrits氏は、次のように述べています。「新しいデジタル技術を使い、最も優秀な人々と協業して、深海データを収集・視覚化・解釈する人類の能力を高めることに、感激しています。これらの最終候補9チームは、チームワークによるオープンイノベーションの強みを実証しています。今日の社会が直面している最大の課題を幾つか解決しようとするなら、革新と協業が基礎になると、私たちは信じています。」
準決勝チームが決勝に進むには、ラウンド1の技術成熟度試験をクリアしなければなりませんでした。この試験は、Xプライズのスタッフと審査員団が各チームの拠点を訪問して実施するというものです。チームは、それぞれの技術ソリューションが高速・無人・高解像度の海底マッピングと探査に必要な運用要件に対応可能であることを示すために、11項目の測定基準に照らしての試験を受けました。地理情報システム(GIS)ソフトウエアとジオデータベース管理の世界的リーダーであるエスリが、同社の受賞歴があるArcGISオンラインプラットフォームを寄付して、オーシャン・ディスカバリーXプライズの参加チームがEsri
ArcGISオンラインを通じて、審査員団に作成した地図を提出できるようにしました。
ラウンド2の最終試験は、2018年10〜11月に実施します。決勝に進むチームは、実際の深海環境でそれぞれの技術を実証する機会を与えられます。深度4000mの海底地図を作成し、10点の画像を撮影して持ち帰ることが要求されます。海洋地図の業界リーダーであるフグロと、オーシャン・ディスカバリーXプライズの別のパートナーが、各チームの地図作成結果を審査する際に必要となるコンテスト用の高解像度ベースライン測深データを提供して、Xプライズを支援します。
2018年春に予備試験として、賞金100万ドルのNOAAボーナス賞を実施します。これにより、本賞に参加することにした準決勝チームすべてに、それぞれの技術を試験する場を提供します。NOAAボーナス賞は、水中の化学信号と生体信号を検出し、その発生源を自律的に追跡できる技術の開発を奨励するものです。本賞の優勝者は、2018年10〜11月に実施するラウンド2試験中に決定します。
シェル・オーシャン・ディスカバリーXプライズは、Xプライズ海洋イニシアチブの一環となるものです。このイニシアチブは、賞金数百万ドルのコンテストを5つ立ち上げ、海洋の重要な課題に対応して、海洋を健全なものにし、その価値の評価と理解を深めることに尽力しています。Xプライズは、ウェンディ・シュミット原油クリーンアップXチャレンジを2011年に、ウェンディ・シュミット・オーシャン・ヘルスXプライズを2015年7月に授与しています。
コンテストの構成、重要な日程、最終候補チームの最新情報については、oceandiscovery.xprize.orgをご覧ください。
Xプライズについて
Xプライズは、第501(c)3条非営利団体であり、世界の最重要課題の解決に向けた革新的コンテストモデルの考案・実施における世界的リーダーです。Xプライズはゲームやクラウドソーシング、報奨的賞理論、指数関数的に発展する技術を独自に組み合わせて定式化し、私たちの世界が直面する大問題の分野に(10%ではなく)10倍のインパクトを与えようとしています。Xプライズの理念では、適切な状況下で行う限り、大問題に対する指数関数的なインパクトとソリューションの推進には、多種多様な観点からの迅速な試行を促すことが、最も効率的で効果的な方法です。現在実施中のコンテストには、賞金3000万ドルのグーグル・ルーナーXプライズ、賞金2000万ドルのNRG
COSIAカーボンXプライズ、賞金1500万ドルのグローバル・ラーニングXプライズ、賞金700万ドルのシェル・オーシャン・ディスカバリーXプライズ、賞金700万ドルのバーバラ・ブッシュ財団アダルト・リテラシーXプライズ、賞金500万ドルのIBMワトソンAI
Xプライズ、賞金175万ドルのウオーター・アバンダンスXプライズ、賞金100万ドルのアヌ&ナヴィーン・ジャイン・ウィメンズ・セーフティーXプライズがあります。詳細についてはwww.xprize.orgをご覧ください。
ロイヤル・ダッチ・シェルについて
シェルは100年以上にわたって、技術のパイオニアとして多数の変革的な「業界初」を達成し、顧客とパートナーが必要するエネルギーを提供してきました。2007年以来、シェルは年間10億ドル以上を研究開発に投じています。2014年のシェルの研究開発費は12億ドルでした。シェルは、技術およびエンジニアリングに従事するスタッフを4万3000人以上抱えています。
シェル傘下の企業は70以上の国・地域に拠点を持ち、その事業は石油・ガスの探査・生産、液化天然ガスの生産・販売と天然ガスの液化、石油製品と化学品の製造・マーケティング・出荷、再生可能エネルギープロジェクトなどを含みます。ロイヤル・ダッチ・シェルはイングランドとウェールズで設立され、ハーグに本拠を構えています。ロンドン、アムステルダム、ニューヨークの証券取引所に上場しています。詳しい情報については、www.shell.comをご覧ください。
米国海洋大気庁(NOAA)について
米国海洋大気庁(NOAA)は、商務省内に設置されている科学的な連邦政府機関です。規制、運営、情報サービスに関する業務を担い、米国のすべての州・地域に拠点があります。NOAAの使命は、深海から太陽の表面に至るまで、地球環境の変化を理解・予測し、沿岸資源と海洋資源の保全と管理を行うことです。詳しい情報については、www.noaa.govをご覧ください。
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