東京--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 東芝は、無線IC向けにオンチップのSwitched-Capacitor型DC/DCコンバータ(以下SC-DC/DC)を開発しました。本SC-DC/DCは、最高95.8%の高い変換効率で0.85V~3.6Vの広い入力電圧レンジから0.1V~1.9Vの広い出力電圧レンジへの電圧変換を実現します。これにより、バッテリの持続時間を延ばせるだけでなく、コイン型リチウム電池(主に3V)やアルカリ電池(主に1.5V)に対応できます。本成果は、米国サンフランシスコで開催中の国際会議ISSCC(International
Solid-State Circuits Conference)2016において、2月2日(現地時間)に発表しました。
近年、無線ICの消費電力を削減するため、LDOレギュレータに代わりDC/DCコンバータをオンチップで搭載する製品が増えています。一般的なインダクタ型DC/DCコンバータでは高価で厚さのある外付けインダクタが必要ですが、SC-DC/DCは、インダクタの代わりにキャパシタを用いることでコスト低減と薄型化が可能となるため、注目を集めています。しかしながら、SC-DC/DCは、電圧変換倍率を連続的に変えることができるインダクタ型DC/DCとは異なり、電圧変換倍率が離散的な値となります。したがって、電圧変換倍率が設計値に制限され、入力電圧レンジが狭いという課題がありました。近年、入力電圧レンジを拡大する技術の提案もなされていますが、変換効率の劣化を伴っていました。
当社は、3つのキャパシタと複数の回路スイッチから構成されるSwitched-Capacitorネットワーク回路を考案しました。これは、昇圧・降圧6種類の電圧変換倍率を可能とする回路構成と、入力電圧に応じてシームレスに電圧変換倍率を切り替える制御アルゴリズムからなります。適切なキャパシタとスイッチの組み合わせを用いることで最高95.8%の変換効率で、0.85V~3.6Vの広い入力電圧に対して0.1V~1.9Vへの昇降圧が可能となりました。また、同時に2つの出力電圧の供給も可能です。
今後は低電力無線ICでの3年以内の製品化を目指し、無線モジュールのコストダウンや薄型化に向けた技術開発に取り組んでいきます。
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