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“グアーガム分解物”の摂取が肌機能を改善することを発見 腸内環境の改善による肌機能調節の可能性



図1

太陽化学株式会社(本社:三重県四日市市、代表取締役社長:山崎 長宏)は、グアーガム分解物の健常成人の肌機能における有効性について検証し、学術誌「Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition」に発表しました。

〇本研究のポイント(図1)
・グアーガム分解物摂取(5g/日)の肌機能への効果をヒトで検証
・グアーガム分解物はバリア機能の低下しやすい乾燥期の頬の皮膚バリア機能(保湿力)を改善することを発見
・グアーガム分解物は頬の皮膚粘弾性(ハリの指標)を改善することを発見
・肌機能改善には腸内環境の改善効果が寄与したと推測される

図1. 本研究から推定されるグアーガム分解物の効果(イメージ)
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/397967/LL_img_397967_1.png
図1


1. 研究の背景について
近年の研究では、腸内細菌叢は腸のみならず全身の健康に関与していることが明らかになってきており、肌についても例外ではありません。この関係は腸-皮膚軸(Gut-Skin Axis)とも呼ばれ、インナービューティーの観点からも注目を集めています。
本研究では腸内細菌叢の改善に有用な水溶性食物繊維として知られる“グアーガム分解物”※1に着目し、その摂取が肌機能の維持・改善に有用であることを発見しました。


2. 研究方法について
グアーガム分解物を5g/日摂取した健常成人35名(Partially Hydrolyzed Guar Gum:PHGG群)とグアーガム分解物を含有しないプラセボ※2食品を摂取した健常成人35名(プラセボ群)について、摂取6週間後と12週間後の肌機能の評価を実施しました。


3. 主な研究結果について
・PHGG群で頬の皮膚水分量※3が有意に増加しました。
・PHGG群はプラセボ群に比べて、皮膚バリア機能(保湿力)の低下しやすい乾燥期における、頬の皮膚バリア機能(経皮水分蒸散量)※4を改善しました。
・PHGG群はプラセボ群に比べて頬の皮膚粘弾性※5が有意に増加しました。
・PHGG群はプラセボ群に比べて頬における乾燥期のメラニン量指数※6が有意に減少していました。
・PHGG群では睡眠と疲労感の改善が認められました。


4. 考察と今後の検討
本研究ではグアーガム分解物の継続的な摂取が肌機能(皮膚バリア機能、肌のハリ)の改善に有用である可能性が示されました。これまでのグアーガム分解物の知見から推定される作用機序としては、腸内細菌叢の改善を通じた短鎖脂肪酸※7の産生増加の影響が考えられます。腸内細菌由来の短鎖脂肪酸は、皮膚バリア機能(保湿力)の改善に有用であるとする報告があるほか(1)、皮膚炎症の抑制に有用であるとする報告もあります(2)。また、本研究の結果でみられた睡眠や疲労感の改善が肌機能の改善に寄与した可能性もあり、複合的な要因が影響したものと予想されます。今回の研究では腸内細菌叢の解析を併せて実施していないため、今後は腸内環境にも踏み込んだ、より詳細な知見を集めていくことを検討しております。


■用語説明
※1 グアーガム分解物
インド・パキスタン地方に生育するグァー豆の種子に含まれる高分子食物繊維グアーガムを分解した水溶性食物繊維です。グァー豆の食物繊維やグアー豆食物繊維とも呼ばれる。善玉菌の餌になりやすく、優れた腸内環境改善作用を有します。
詳細はwebサイトをご確認ください( https://guarfiber.taiyokagaku.com/ )

※2 プラセボ
見た目や味などは試験食品と区別がつかないものの、機能性成分を含まない食品です。「試験食品を摂取した」という行為が精神的に作用し、効果をもたらすことがあり、これをプラセボ効果といいます。この影響を排除するため、試験食品の有効性検証には、プラセボとの比較が一般的とされています。

※3 皮膚水分量
本研究では皮膚水分量の指標として角層水分量をCorneometerで測定しました。角層水分量は乾燥などの外部環境の影響を強く受けます。また、肌のバリア機能(保湿力)が低下すると水分を保つことができず皮膚水分量は低下します。

※4 皮膚バリア機能
皮膚の主要な機能の一つであり、体内の水分喪失を防ぐ(保湿力)、外界からの異物の侵入を防ぐといった機能を指します。本研究では皮膚バリア機能の指標として経皮水分蒸散量(TEWL:Trans-Epidermal Water Loss)をTewameterで測定しました。TEWLは単位時間あたりに皮膚が喪失した水分量のことであり、皮膚バリア機能が低下すると水分喪失が増加することでTEWLが増大します。

※5 皮膚粘弾性
一般に肌のハリや柔軟性、弾力などと表現される指標であり、皮膚粘弾性の低下は老化と関連しているとされています。本研究ではCutometerを用いて測定しました。

※6 メラニン量指数
Chroma Meterを用いた肌色の測定において算出される指標であり、肌の色素沈着状態の評価などに用いられています。メラニン量指数の低下は肌の色が白く、透明感がある状態に近づいていることを示唆する可能性があります。

※7 短鎖脂肪酸
食物繊維やオリゴ糖などを腸内細菌が発酵してつくる酢酸・プロピオン酸・酪酸などの有機酸です。消化管のエネルギー源となり、バリア機能を強化し、消化管の運動を調節するなど、腸内環境の維持に重要な役割を果たします。また、全身のエネルギーとして使われたり、免疫や糖代謝・脂質代謝を調節したりとさまざまな機能を有します。


■参考文献
(1) Trompette A, Pernot J, Perdijk O, et al., Gut-derived short-chain fatty acids modulate skin barrier integrity by promoting keratinocyte metabolism and differentiation. Mucosal Immunol. 2022;15(5):908-926.

(2) Xiao X, Hu X, Yao J, et al., The role of short-chain fatty acids in inflammatory skin diseases. Front Microbiol. 2023;13:1083432.


■発表誌
学術誌名 : 「Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition」
論文タイトル: Dietary Intervention of Prebiotic Partially Hydrolyzed Guar Gum Improves Skin Viscoelasticity, Stratum Corneum Hydration, and Reduction of Trans-Epidermal Water Loss during Winter Conditions: A Randomized, Double-Blind, and Placebo-Controlled Clinical Study in Healthy Humans.
著者 : Mahendra P. Kapoor, Aya Abe, So Morishima, Atsushi Nakajima, Makoto Ozeki, Norio Sato
URL : https://doi.org/10.3164/jcbn.24-69


■太陽化学株式会社概要
商号 : 太陽化学株式会社
代表者 : 代表取締役社長 山崎 長宏
所在地 : 〒512-1111 三重県四日市市山田町800番
設立 : 1948年1月
事業内容: 乳化剤、安定剤、鶏卵加工品、機能性食品素材等の開発、製造。
資本金 : 77億3,062万円
URL : https://www.taiyokagaku.com/

伝統的な天然素材から、最先端技術を応用した新規素材まで様々な食材・工業用途向素材を取り扱うと共に、研究開発型企業として、無限の可能性を秘めた機能性食品素材の創造に取り組んでいます。
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