(図. 1) 老化因子の変化
オランダビユ
(図. 2A) コラーゲンの変化 / (図. 2B) コラーゲン分解酵素の変化
(図. 3A) TCF25の変化
研究成果の一部は2023年9月9日~10日に開催された「日本生薬学会第69回年会」にて発表いたしました。
【研究背景】
~植物由来成分と有効成分の組み合わせに着目~
加齢や紫外線による皮膚の老化は、しわ・シミ・たるみなど見た目の美しさに大きな影響を及ぼすため、老化に対するさまざまなアプローチが求められています。しわ・シミなどの肌悩みに対する有効成分として知られている『ナイアシンアミド』やレチノールに加えて、近年、マメ科植物であるオランダビユの種子から抽出される『バクチオール』が次世代レチノールとして注目されています。ノエビアグループでは、皮膚の老化に対する効果的なアプローチの開発を目指し、植物由来成分と有効成分の組み合わせに着目した研究に取り組みました。
【研究成果】
1. 『バクチオール』が老化誘導で増加する老化因子を抑制することを発見
真皮に存在する皮膚線維芽細胞の老化が進むと、皮膚の構造を維持する機能が低下して、しわが発生しやすくなります。細胞の老化は、老化因子の増加が目印となるため、『バクチオール』の添加により老化因子の変化を調べました。その結果、老化誘導で増加する老化因子が抑制されることが明らかになりました (図. 1) 。従って、『バクチオール』が皮膚線維芽細胞の老化を抑制する効果をもつことが期待できます。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/371563/LL_img_371563_1.jpg
(図. 1) 老化因子の変化
オランダビユ
学名:Psoralea corylifolia
科名:マメ科
属名:オランダビユ属
インドのアーユルヴェーダや中国の伝統医学に利用。
生薬としての名称は補骨脂(ホコツシ)。
強壮や冷えによる腰痛に用いられる。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/371563/LL_img_371563_2.jpg
オランダビユ
2. タンパク質「TCF25」に皮膚線維芽細胞の老化抑制効果を新たに発見
皮膚線維芽細胞の老化抑制に関与する新たなタンパク質の発見を目指し、細胞内の全タンパク質を調べるプロテオーム解析技術を活用した研究に取り組みました。皮膚線維芽細胞から約3,600種のタンパク質を検出した結果、その中でも「TCF25」がコラーゲンを増加させ (図. 2A) 、反対にコラーゲン分解酵素を減少させることが明らかになりました (図. 2B) 。皮膚線維芽細胞は老化するとコラーゲンが減少し、コラーゲン分解酵素が増加します。従って、「TCF25」を増加させることで皮膚線維芽細胞の老化を抑制する効果が期待できます。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/371563/LL_img_371563_3.jpg
(図. 2A) コラーゲンの変化 / (図. 2B) コラーゲン分解酵素の変化
3. 自社栽培『ワレモコウ』が「TCF25」を増加させる効果を発見
自社農場「北海道暑寒別岳パイロットファーム」( https://www.noevir.co.jp/about/farm/index.htm )で栽培した『ワレモコウ』の抽出物を皮膚線維芽細胞に添加した結果、「TCF25」が増加しました (図. 3A) 。また、コラーゲンも増加し (図. 3B) 、反対にコラーゲン分解酵素が減少することが確認されました (図. 3C) 。従って、『ワレモコウ』が皮膚線維芽細胞の老化を抑制する効果をもつことが期待できます。
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/371563/LL_img_371563_4.jpg
(図. 3A) TCF25の変化
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/371563/LL_img_371563_5.jpg
(図. 3B) コラーゲンの変化 / (図. 3C) コラーゲン分解酵素の変化
ワレモコウ
学名:Sanguisorba officinalis
科名:バラ科
属名:ワレモコウ属
耐寒性、耐暑性ともに優れた、強い生命力を持つ植物です。
秋に暗い紅色の花を咲かせます。
乾燥した根茎は生薬として止血や火傷、打撲などに用いられます。
画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/371563/LL_img_371563_6.jpg
ワレモコウ
4. 『バクチオール』『ナイアシンアミド』『ワレモコウ』の組み合わせがコラーゲン分解酵素を相乗的に減少させる効果を発見 (特許出願中)
オランダビユ由来『バクチオール』、しわ・シミに対する有効成分『ナイアシンアミド』、自社栽培『ワレモコウ』を組み合わせて皮膚線維芽細胞に添加しました。その結果、それぞれを単体で添加した場合と比較して、相乗的にコラーゲン分解酵素が減少することが確認されました (図. 4) 。
画像7: https://www.atpress.ne.jp/releases/371563/LL_img_371563_7.jpg
(図. 4) コラーゲン分解酵素の変化
【今後の展開】
『バクチオール』『ナイアシンアミド』『ワレモコウ』を組み合わせることで、皮膚線維芽細胞の老化を抑制し、しわの発生や悪化を効率的に抑える効果が期待できます。この研究成果は今後の基礎化粧品の開発に応用されます。
ノエビアグループは、企業ポリシー「自然を科学する」のもと、創業以来培ってきた独自の植物研究と最先端テクノロジーの融合による高機能化粧品の提供を通して、化粧品がもたらす人々のQOL向上を目指してまいります。
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