図1:適用した低炭素コンクリートの概要 (BB:高炉セメントB種、CfFA(R):高品質フライアッシュ、FA:フライアッシュ)
図2:地下マットスラブの打設
また、どちらの低炭素コンクリートも結合材(注2)中に占める産業副産物の割合が50%以上であることから、低炭素性の実現に加え、資源循環型社会の構築にも貢献しています。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/367054/LL_img_367054_1.jpg
図1:適用した低炭素コンクリートの概要 (BB:高炉セメントB種、CfFA(R):高品質フライアッシュ、FA:フライアッシュ)
1. 低炭素コンクリート開発の背景
2050年カーボンニュートラルの達成が求められる中、当社はセメント材料に由来するCO2排出量の削減を目的とし、コンクリートに使用する材料の一部を産業副産物で置き換えた現場打ち低炭素コンクリート技術を開発しています(注3)。
2. 適用した低炭素コンクリート技術
本工事では以下の2箇所について、それぞれの適用部材に求められる性能・強度などの要求性能を考慮した低炭素コンクリートを採用することで、多くのCO2排出量削減を達成しました。
(1)地下マットスラブ 「CfFA(R)+BBコンクリート」(図2参照)
CfFA(R)(注4)20%と高炉セメントB種80%を組み合わせたコンクリートで、CO2排出量を40%以上削減できます。本工事では約1,270m3/立方メートルを打設し、約150トンのCO2を削減しました。
仙台地域では、セメントの代替材料として利用されることが多い高炉スラグ微粉末が入手しづらいという地域性がありました。そこで、全国的に流通している高炉セメントB種と石巻市に製造拠点があるCfFA(R)を有効利用し、これらを組み合せた場合の物性を確認することにより今回の適用に至っています。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/367054/LL_img_367054_2.jpg
図2:地下マットスラブの打設
(2)CFT柱充填コンクリート 「BBFA(R)高強度コンクリート」
高炉セメントB種80%とフライアッシュ20%を組み合わせたコンクリートで、単位セメント量の多い高強度領域に適用することで、40%以上のCO2排出量削減と建築上部躯体にも適用できる耐久性を確保しています。さらに、高い流動性を持たせることで充填コンクリートにも適しています。本工事では約150m3/立方メートルを打設し、約26トンのCO2を削減しました。
BBFA(R)高強度コンクリートは、当社と生コンプラントが共同で大臣認定を取得しています。
3. 今後の展開
本工事ではLCA(ライフサイクルアセスメント)を実施し、詳細計算により低炭素コンクリートの適用が建築物のライフサイクルの脱炭素化に有効であることを確認しています。さらに国内初となる、建築物のLCAでカーボンフットプリントおよびエコリーフの2種類の環境ラベルを取得しました(注5)。
安藤ハザマは、今後も環境負荷の低減やライフサイクルCO2の削減に向けた取り組みの一環として、コンクリートの低炭素化技術を開発し、適用を推進していきます。
(注1) 杉が吸収するCO2量の計算
参考:林野庁ウェブサイト「森林はどのぐらいの量の二酸化炭素を吸収しているの?」
https://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/ondanka/20141113_topics2_2.html
(注2) 結合材
粉体のうち、水と反応しコンクリートの強度発現に寄与する物質を生成するものの総称。
(注3) 安藤ハザマの保有する低炭素コンクリートの技術メニュー
https://www.ad-hzm.co.jp/solution/energy_saving/detail_01/
(注4) CfFA(R)(Carbon-free Fly Ash、加熱改質フライアッシュ)
石炭火力発電所の副産物であるフライアッシュ(石炭灰)から未燃カーボンを1%以下になるまで除去することでコンクリートのフレッシュ性状や耐久性を高めることが期待できる。
(注5) 安藤ハザマ2023年5月18日リリース資料を参照
国内初、設備や運用も含めた建築物LCAで2種類の環境ラベルを同時取得
https://www.ad-hzm.co.jp/info/2023/20230518.php