図表A 第16回「格付ロジック改定によるRM格付変動の影響」/格付分布
図表B 第16回「格付ロジック改定によるRM格付変動の影響」/全体遷移状況
図表C 第16回「格付ロジック改定によるRM格付変動の影響」/業種別遷移状況
図表D 第16回「格付ロジック改定によるRM格付変動の影響」/参考データ-1
今回の調査結果格付変動の内訳としては、格上げは113,572件、格下げは49,708件と、格上げ企業数が格下げ企業数を上回る結果となりました。経済活動の正常化が進む中で、収益改善が期待できる企業を中心に信用力の改善が進んでおり、全ての業種で格上げ傾向となっています。
一方で、今後「ゼロゼロ融資」の返済が本格化することから資金繰りが悪化する企業の増加が懸念されます。特に、宿泊業や飲食店では、インバウンド需要の回復により事業環境の改善が期待できるものの、人手不足から十分に営業稼働できず、返済原資となる収益を確保できない可能性もあり、資金不足に陥るリスクを抱えています。この二業種では、他業種と同様に「格付ロジック改定」によりD格から高格付への格上げが進んだものの、全体に占める低格付の割合が他業種よりも比較的多い状況が続いています。
今回の「格付ロジック改定」では、日本の景気局面の変化及び倒産動向を捉えつつ、定量・商流分析の強化に取り組み、与信審査・企業分析のプロであるアナリストの分析を盛り込むだけでなく、AI技術を利用した倒産分析結果を活用し、各分析指標の判定に反映しています。
社会情勢の急速な変動や、企業を取り巻く経済環境も複雑性を増している昨今において、これらを反映し、倒産予兆を捉えることで、RM格付の精度向上を実現しています。
■RM格付とは
リスモンでは、企業の信用力をA、B、C、D、E、Fの6段階に格付けしています。この格付は、倒産実績に裏付けられた独自指標(RM格付)で、A格の企業は倒産確率が低く倒産しにくい企業、F格の企業は倒産確率が高く倒産に近い企業といえます。
500万社超の膨大な企業群を対象に格付けし、統計的に格付ごとの倒産確率を算出して提供しています。定期的な企業データ、倒産データの更新・蓄積に留まらず、毎日の特種情報の収集分析により格付補正を続けているのもRM格付の大きな特長です。
与信管理の現場は「早い者勝ち」です。RM格付を利用することで、取引先の「今」の信用力を把握し、適時に対策を施すことができます。
[調査結果]
(1) 格付変動は163,280件、格下げ企業を格上げ企業が上回る。
2023年6月18日に実施された「格付ロジック改定」により、RM格付の分布は、A~C格232,558件(構成比17.9%)、D格160,069件(同12.3%)、E~F格909,998件(同69.9%)となっています。(図表A)
格付遷移状況について、2023年5月と6月の格付を比較したところ、格付変動が生じた企業は163,280件(構成比12.5%)となりました。変動幅としては1ランクの変動が137,097件、2ランク以上の変動が26,183件、格付変動無しが1,139,345件(同87.5%)となっています。
格付変動企業のうち、格上げは113,572件、格下げは49,708件となっております。「格付ロジック改定」により格付評価の適正化を図ったほか、6月18日メンテナンスにて決算情報を更新した結果、格上げ企業数が格下げ企業数を上回る内容となりました。
格付別の格上げ割合としては、「C格からA~B格への格上げ」(格付別格上げ割合21.8%)が最も多く、次いで「D格からA~C格への格上げ」(同20.0%)となっています。(図表B)
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/363861/LL_img_363861_1.png
図表A 第16回「格付ロジック改定によるRM格付変動の影響」/格付分布
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/363861/LL_img_363861_2.png
図表B 第16回「格付ロジック改定によるRM格付変動の影響」/全体遷移状況
(2) 全ての業種で格上げ傾向にあるものの、宿泊業・飲食店では警戒が続く
業種ごとの格付遷移状況を調査したところ、全ての業種において、高格付企業が増加し、D格企業が減少する変動となっています。物価高や海外経済の影響を受けつつも、日本国内の景気は緩やかに回復しています。日銀短観6月調査においても、大企業の業況判断DI(「良い」-「悪い」社数割合)が、製造業・非製造業ともに前回調査から改善しており、製造業に関しては7期ぶりの改善となりました。今回の「格付ロジック改定」では、企業の規模や業種に応じた収益構造を分析し、各評価指標に反映しております。経済活動の正常化が進む中で、収益改善が期待できる企業を中心に信用力の改善が進んでいます。(図表C)
一方で、今後8月までに中小企業に対する新型コロナウイルス支援策である「ゼロゼロ融資」の返済が本格化することから、資金繰りが悪化する企業の増加が懸念されます。特に、宿泊業(中分類業種コード 75)や飲食店(同コード 76)では、インバウンド需要の回復により事業環境の改善が期待できるものの、人手不足から十分に営業稼働できず、返済原資となる収益を確保できない可能性もあり、資金不足に陥るリスクを抱えています。宿泊業や飲食店では、他業種と同様に「格付ロジック改定」によりD格から高格付への格上げが進んだものの、全体に占める低格付の割合が他業種よりも比較的多い状況が続いています。(図表D)
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/363861/LL_img_363861_3.png
図表C 第16回「格付ロジック改定によるRM格付変動の影響」/業種別遷移状況
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/363861/LL_img_363861_4.png
図表D 第16回「格付ロジック改定によるRM格付変動の影響」/参考データ-1
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/363861/LL_img_363861_5.png
図表D 第16回「格付ロジック改定によるRM格付変動の影響」/参考データ-2
画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/363861/LL_img_363861_6.png
図表D 第16回「格付ロジック改定によるRM格付変動の影響」/参考データ-3
[総評]
今回の「格付ロジック改定」では、日本の景気局面の変化及び倒産動向を捉えつつ、定量・商流分析の強化に取り組んでいます。分析結果をRM格付ロジックに反映するうえでは、与信審査・企業分析のプロであるアナリストの分析を盛り込むだけでなく、AIによる分析の活用にも取り組んでいます。社会情勢が急速に変動し、企業を取り巻く経済環境も複雑性を増している昨今において、AIを活用し、アナリストの分析だけでは網羅できなかった倒産予兆を捉えることで、RM格付ロジックの精度向上を実現しております。
今後も定期的な格付ロジック改定を実施し、時勢に合った分析手法を取り入れることで、より高い倒産判別精度を目指し、安全な取引の拡大による経済への貢献に努めてまいります
※ 本編はダイジェスト版です。詳細な内容は、以下掲載サイトよりご覧いただけます。
https://www.riskmonster.co.jp/study/research/
[実施概要]
・調査名称 :第16回「格付ロジック改定によるRM格付変動の影響」調査
・調査方法 :RM格付の遷移状況調査
・遷移調査時点:2023年6月18日(日)
・調査対象企業:2023年6月18日時点でRM格付がA~F格である1,302,625社
■リスモンの概要(東京証券取引所スタンダード市場上場 証券コード:3768)
2000年9月設立。同年12月よりインターネットを活用した与信管理業務のアウトソーシングサービス、ASPクラウドサービス事業を開始しました。以来、法人会員向けビジネスを要として、教育関連事業(定額制の社員研修サービス「サイバックスUniv.」)やビジネスポータルサイト事業(グループウェアサービス等)、BPOサービス事業、海外事業(利墨(上海)商務信息咨詢有限公司)にサービス分野を拡大し、包括的な戦略で事業を展開しております。
リスモングループ法人会員数は、2023年3月末時点で13,822(内、与信管理サービス等7,240、ビジネスポータルサイト等3,115、教育事業等3,022、その他445)となっております。
ホームページ: https://www.riskmonster.co.jp/