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5歳から12歳の自閉スペクトラム症のお子さんを対象に、新規糞便微生物移植法(新規FMT法)の臨床研究を開始



図1. 新規FMT法と従来のFMT法との違い(概念図)


図2. 内視鏡を使わずに投与が可能


図3. 「新規FMT法」のASDに対する有効性をSRS2で評価

一般財団法人腸内フローラ移植臨床研究会に所属する研究代表医師・田中 善等の医師は、5歳から12歳の自閉スペクトラム症のお子さんを対象として、従来法で一般に用いられる抗菌薬を使用せず、また従来法よりも少量の投与量(細菌数)をもって実施する「水素ナノバブル水(NanoGAS(R))を用いる新規糞便微生物移植法」(新規FMT法)の臨床研究を開始いたします。詳細は、jRCT(臨床研究等提出・公開システム)にて公開しています。 https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCTs031230041


■背景
1. 自閉スペクトラム症(ASD)とその治療法
ASDとは、対人関係が苦手、こだわりが強い、感覚が過敏などの特徴がある発達障害のひとつです。
ASDの発症数は年々増加しています。厚生労働省は、2019年に発達障害としての統計データを発表しています。それによると、発達障害として診断された人が、2017年で23.3万人となっており、その数は5年間で倍増しています。最近の信州大学・研究グループによる全国の診療データベースを用いた解析(2021年)によると、国内における、5歳児でのASDの累積発生率(2009年-2014年)は、約2.75%(36人に1人)と高い発生率となっています。
一方、米国・CDC(疾病対策予防センター)の報告書(2021年12月)では、8歳児でのASDの有病率(2018年)は、44人に1人(2.3%)となっており、10年間でその数は倍増しています。
このように、ASDの発症率が年々増加しているにもかかわらず、ASDに対して、即効性のある効果的な治療法は未だ開発されていません。
最近、ASDの新しい治療法として、糞便微生物移植(FMT)(腸内細菌移植ともいわれる)による治療法が注目されています。

アリゾナ大学の研究グループは、FMTがASDの治療法として有効であることを示し、今や同様の方法によって「2歳以上のASD児」を対象とした治験も行われています。この方法は、FMT施行前の抗菌薬の連続投与、大量のポリエチレングリコールを用いる腸管洗浄、さらにFMT施行中に胃酸分泌抑制薬の連続投与を必要とするものであり、ASD児にとって負担の大きいものになっています。

我々は、シンバイオシス社と共同で、抗菌薬や腸管洗浄剤や胃酸分泌抑制薬を用いず、さらに投与量(細菌数)もアリゾナ大学での投与量の1000分の1でFMTを施行できる、新しいFMT法を開発してきました。
本臨床研究は、この新しい方法をASDのお子さん(5歳~12歳)に対して適応し、その有効性と安全性を明らかにするものです。

2. 糞便微生物移植(FMT)の現状
FMTとは、健常人の糞便から調製した糞便微生物溶液を患者さんの腸内に移植する治療法です。
FMTによる治療法が注目を集めるようになったのは、オランダのアムステルダム医療センターのチームによる、難治性の再発性クロストリジウム・ディフィシル感染症(recurrent Clostridium difficile infection;rCDI)に対する無作為化比較試験(randomized controlled trial;RCT)において、画期的な治療成績が報告されたことが切っ掛けとなっています。その後、様々な疾患に対するFMTの効果が報告されてきました。
昨年末に、米国・FDA(アメリカ食品医薬品局)は、フェリング社が開発した「糞便微生物製剤・Rebyota」をrCDIの治療薬として承認しました。
これが引き金となって、世界におけるFMTの研究開発が大きく加速され、新しい治療薬が開発されるものと期待されています。


3. 新規FMT法の概要
我々が開発した新規FMT法と既存のFMT法との違いを、図1.に概念図として示しました。新規FMT法は、既存法で用いている抗菌薬投与や腸管洗浄剤や胃酸分泌抑制薬を行うことなく、FMTを施行することができるものです。したがって、従来法では抗菌薬による有害事象を避けることはできませんが、新規FMT法は抗菌薬を必要としないため、それに基因する有害事象を避けることができます。
また、研究代表医師の田中等は、本新規FMT法を、がんや炎症性腸疾患・アレルギー疾患などに適応し、この方法が抗菌薬などの事前投与を必要とせず、さらに投与量も従来法の1000分の1の投与量をもって実施することが可能であり、加えてこの方法によって、重篤な有害事象も認められなかったことを報告しています。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/353544/LL_img_353544_1.jpg
図1. 新規FMT法と従来のFMT法との違い(概念図)

さらに、本新規FMT法では、FMT施行において、最も有害事象が少ないとされる、直径7mmの細くて柔らかいゴム状チューブによう直腸投与を行うため、お子さんの負担が少ない方法となっています。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/353544/LL_img_353544_2.jpg
図2. 内視鏡を使わずに投与が可能

4. ASDに対する新規FMT法の治療成績
我々は、倫理審査委員会の承認を受け、新規FMT法を、5歳から12歳のASDのお子さん(14名)の治療に適応しました。
お子さんのご両親からの同意を得て、これらの結果を解析した結果、図2.に示しましたように、新規FMT法が小児のお子さんのASD症状を軽減することが分かりました。
ASDの治療効果は、その評価法の一つであるSRS-2 (対人応答性尺度)を用いて評価しました。ASD重症度の変化量を解析した結果、移植後8週において、14症例のうち、重度の6症例を含めた10症例(71%)にASD症状の軽減が認められました。
また、この治療中に1症例において疲れ・便秘の有害事象が認められましたが、それらは軽微で一時的なものでした。

以上のように、14症例での治療成績の解析結果は、新規FMT法がASD児に対して効果的な治療法になる可能性を示唆するものでした。

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/353544/LL_img_353544_3.jpg
図3. 「新規FMT法」のASDに対する有効性をSRS2で評価

■募集内容について
<臨床研究への参加者募集>
下記サイトの「臨床研究お問い合わせフォーム」より、臨床研究事務局とのオンライン面談の予約ができます(お問合せのみも可能です)。
臨床研究事務局へのお問い合わせサイト: https://fmt.sym-biosis.co.jp/news/notice/9282/

<参加していただける患者さん募集>
臨床研究が開始されたので、ご参加いただける患者さんを募集いたします。
【参加条件】
・小児神経専門医により、ASDの診断をされた5歳から12歳までのお子さん。(要診断証明書、性別は不問)
・研究責任医師が、胃腸の症状を除けば、一般的に良好な身体的健康状態であると判断したお子さん。
・本研究への参加について、文書、あるいは必要に応じてイラストや口頭で説明することにより同意が得られるお子さん。
・本研究への参加について文書による同意が代諾者から得られるお子さん。

【臨床研究に関するお問い合わせ】
上記をご一読の上、お問い合わせフォームからご連絡ください。
お問い合わせフォーム: https://forms.gle/yVuF5rBrjKLjJ1jq5


■参加予定施設
<医療法人仁善会 田中クリニック>
所在地:大阪府生野区生野西2-3-8 電気館ビル1階
電話 :06-6711-3770
理事長:田中 善

<ルークス芦屋クリニック>
所在地:兵庫県芦屋市大原町8-2
電話 :0797-23-6033
院長 :城谷 昌彦

<医療法人喜和会 喜多村クリニック>
所在地:福岡県大野城市錦町4-3-8
電話 :092-581-6640
院長 :喜多村 邦弘

<医療法人悠亜会 かわい内科クリニック>
所在地:大阪市城東区東中浜3-7-14
電話 :06-6962-3133
理事長:川井 勇一

<医療法人ふたまた会 ナチュラルアートクリニック>
所在地:東京都千代田区六番町6-5 アンドロイドビル2F
電話 :03-6256-8448
院長 :御川 安仁

<医療法人 はるなクリニック>
所在地:大阪府大阪市淀川区西三国1丁目3-13-202
電話 :06-4807-5130
副院長:春名 令子


■財団概要
商号 : 一般財団法人腸内フローラ移植臨床研究会
代表理事 : 医療法人仁善会 田中クリニック 代表理事 田中 善
所在地 : 大阪市都島区
設立 : 2017年11月
事業内容 : ホームページにてご確認ください
https://fmt-japan.org/aboutus
ホームページ: https://fmt-japan.org/news_index/notice
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