大谷哲也「ボウル」
日本陶磁振興会(デザイン・描画=日根野作三)「色絵皿」
滋賀県立信楽窯業試験場(デザイン=日根野作三)「灯籠」
滋賀県立信楽窯業試験場(デザイン=熊倉順吉)「ガーデン・オブジェ」
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大谷哲也「ボウル」
■展覧会概要
世界的なコロナ禍を転機に、暮らし方への関心が高まりつつあります。日常に癒しやくつろぎを求めようとする意識の変化にともない、生活空間のなかで、いま手仕事の温かさと土の魅力を活かした普段づかいの〈うつわ〉のデザインが注目を集めています。
〈デザイン〉という言葉が広く知られる契機は、1957年にはじまるグッドデザイン商品選定制度にありました。同時に国際競争力の強化を目指したデザイン振興施策が相次いで打ち出され、日本独特の美意識を活かした〈ジャパン・スタイル〉が探求されています。
こうした動向のなか、クラフトデザイン運動の指導者として国内の陶産地で活躍したのが日根野作三(1907-1984)でした。現在の信楽窯業技術試験場を拠点に展開した日根野のデザイン指導を通して、産地の次なる時代のモノづくりに活路を見出してゆきます。
日根野や熊倉順吉(1920-1985)の指導により、産地が一体となり火鉢低迷の苦境を乗り越えたあの頃。本展では、朝の連続ドラマでも記憶に新しい活気に満ちた当時を振り返りつつ、いま信楽で話題の作家たちを紹介。新時代を予感させる〈うつわ〉を提案します。
■基本情報
会期 :2022(令和4)年3月5日(土)~6月9日(木)
会場 :滋賀県立陶芸の森陶芸館
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日 :月曜日(祝日の3/21、5/2は開館し、翌日に振替休館)
観覧料 :一般600円(480円)、高大生450円(360円)、中学生以下無料
※( )内は20人以上の団体料金/ネット割引券利用で10%off
主催 :滋賀県立陶芸の森 滋賀県工業技術総合センター信楽窯業技術試験場
後援 :滋賀県教育委員会 甲賀市 NHK大津放送局
協力 :公益財団法人日本陶磁器意匠センター
■内容紹介
◆Section1 戦後クラフトデザインのあけぼの〈1945-1960〉
終戦後の混乱期、物資不足と物価高騰で人々の生活が困窮を極める一方、陶産地では需要の激増で粗製乱造が常態化。そうした局面を打開すべく結成された〈農村工業振興会〉と後に事業を継承した〈日本陶磁振興会〉では、陶磁器産業の再生を目指した。方向性の違いにより同会は僅か数年で解散するが、ここでの日根野作三や柳宗理らの量産品の品質向上に向けた活動は、後に展開してゆくクラフトデザイン運動の先駆けとなる。
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日本陶磁振興会(デザイン・描画=日根野作三)「色絵皿」
◆Section2 陶磁デザイナー・日根野作三との出会い
1958年に信楽窯業試験場長に就任した平野敏三は、手工芸品の海外進出を目指した日本手工芸品対米輸出推進計画(略称=マル手)を見据え、産地の伝統を活かしたデザイン開発に着手する。商工省陶磁器試験所出身の日根野作三と気鋭の作家として頭角を現していた熊倉順吉を嘱託に招聘。日根野は熊倉とともに、手仕事ならではのデザインが人間味豊かな暮らしに必要であることを説き、産地の特性を活かした指導で新局面を切り拓いてゆく。
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滋賀県立信楽窯業試験場(デザイン=日根野作三)「灯籠」
◆Section3 産地の挑戦-試験場とクラフトデザイン運動
グッドデザイン商品選定の開始を契機に、デザインは最新の動向として産地に受容されてゆく。北欧デザインに精通した藤森健次をはじめ、評論家やバイヤーまた料理研究家など多彩な人々が信楽に集い、幅広い交流のなかでクラフトデザインが探求された。産地では、新しい生活様式に対応すべく、火鉢に代わる大物製品の開発に注力している。熊倉が取り組み、東京(丸善)で発表されたガーデン・ファニチャーはその集大成といえよう。
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滋賀県立信楽窯業試験場(デザイン=熊倉順吉)「ガーデン・オブジェ」
◆Section4 出会いと交流のなかで-育まれた新たな息吹
日根野と出会い彼のデザイン論に触発され、信楽では若い作家を中心に、輸出陶磁器デザインコンクールなど対外的な活動が活発化、産地に新たな息吹が育まれてゆく。彼らは〈青陶会〉や〈七陶会〉を結成、展覧会や講評会を開き、行政の支援で市場調査にも取り組むなど、実践的な活動を通して、産地のデザインの在り方を模索しはじめる。彼らは後に伝統工芸や美術工芸、クラフトそして陶の造形など、それぞれの道を歩みはじめてゆく。
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鈴木茂至「一輪生」
◆Section5 ニューノーマル時代の〈やきもの〉と暮らし
新型コロナウイルスの感染拡大により、私たちの社会は大きく変わりつつある。家庭での時間をいかに豊かに過ごしてゆくのか。それは生活文化の根幹を担うクラフトデザインの課題ともいえよう。世界中の人々がかつてない生活を強いられているいま、いかに信楽の若いクラフト作家は現代の〈ジャパン・スタイル〉を表現しているのか。改めて日根野が熊倉とともにクラフトデザインを通して目指した、人間味豊かな暮らしの意味が問われている。
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大谷哲也「ボウル」
■関連イベント
(1)ギャラリートーク ※参加費無料 申込不要・入場券要
〔講師〕 担当学芸員
〔日時〕 3月20日(日)・4月24日(日)・5月22日(日)各日とも13:30~(1時間程)
〔会場〕 滋賀県立陶芸の森 陶芸館展示室
(2)地元企業協賛企画 信楽高原 山田牧場 POP UP SHOP オープン!
信楽で「牛に願いを ミルクに夢を」をモットーに、乳製品の生産を手掛ける山田牧場が、本展会期中
の週末に自慢の生乳を使用した商品を陶芸館前で販売します。
〔開催日〕 会期中の土曜日・日曜日・祝日
〔取扱商品〕 牛乳・ヨーグルト・チーズケーキ・チーズ・カレーなど
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山田牧場SHOP