「諦めてしまっている人形も修理します」――こんな広告をみて、今日も傷ついた人形を抱えたお客さんが人形店にやってきます。その相談を受けるのは、祖母から店を引き継いだばかりの元OL・澪、押しかけ従業員で人形マニアの富永くん、凄腕だが謎多き職人・師村さん。人形と大事な思い出を修理しようと奮闘する3人が繰り広げるユーモアミステリ『たまさか人形堂物語』(津原泰水著)は、発売当初から日本でも多くの読者に愛されてきました。
2020年には、津原作品をイタリアに紹介しているマッシモ・スマレ翻訳により、リンダウ社から『たまさか人形堂物語』が出版されました。日本の人形文化や作品の面白さが高い評価を受け、すぐにイタリアの大手新聞社コリエーレ・デラ・セラに書評が出ました。そして、2021年9月28日、「偉大なる日本文学」全集(全25巻)のうちの1冊として、コリエーレ・デラ・セラ版『たまさか人形堂物語』(マッシモ・スマレ訳)も発売となりました。
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津原泰水は、90年代の「津原やすみ」名義での少女小説作家としての活躍を経て、〈幽明志怪〉シリーズや〈ルピナス探偵団〉シリーズ、ベストセラーとなった自伝的小説『ブラバン』、本格SF『バレエ・メカニック』や短編集『綺譚集』『11』など、幻想文学からミステリ、ホラー、SFなどエンタメ文学までジャンルを横断し、圧倒的な個性と存在感のある作品を数多く手がけてきました。昨今では、アメリカの文芸誌で短編が紹介されるなど、海外での評価も高まっています。
この機会に、ぜひ『たまさか人形堂物語』日本語版も手に取って、津原泰水の世界をお楽しみください。
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【内容紹介】
リストラされて、祖母の形見の零細人形店「玉阪人形堂」を継ぐことになった元OL・澪は、人形マニアの冨永くん、謎の職人・師村さんに助けられ、なんとかお店を切り盛りしています。雛人形、文楽人形、ぬいぐるみ……人形と大事な思い出を修理してほしいと人形店を訪れるお客さんたちの期待に応えようと、3人の活躍が始まります。
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【内容紹介】
澪が経営する人形店はいっときは閉店の危機に見舞われながらも、無事に乗り越えて、営業を続けることに。澪、富永くん、師村さんが、人形の修復と謎解きに挑む〈たまさか人形堂〉シリーズ第2弾。口紅を塗られたリカちゃん、髪が伸びる市松人形、盲目のコレクターが持ち込んだ小田巻姫の真贋――。人形と人間の不思議な関係が描かれていきます。
■著者紹介
津原泰水(つはら・やすみ)
1964年広島県生まれ。青山学院大学卒。1989年に少女小説家"津原やすみ"としてデビュー。1997年、"津原泰水"名義の長篇ホラーである『妖都』を発表。以降、『ペニス』、『少年トレチア』、〈幽明志怪〉シリーズなどの幻想小説で人気を博す。2006年の自伝的小説『ブラバン』がベストセラーとなり、2009年発表の『バレエ・メカニック』は本格SFとして各種ランキングを席巻した。2011年の短篇集『11』が第2回Twitter文学賞を受賞、収録作の「五色の舟」はSFマガジン「2014オールタイム・ベストSF」国内短篇部門第1位、また同作は近藤ようこにより漫画化され、第18回文化庁メディア芸術祭・マンガ部門大賞を受賞した。他の著書に、『綺譚集』『赤い竪琴』『歌うエスカルゴ』『ヒッキーヒッキーシェイク』、〈ルピナス探偵団〉シリーズなどがある。
■訳者紹介
マッシモ・スマレ(Massimo Soumare')
1968年、イタリア、トリノ生まれの翻訳家、作家、監修者、エッセイスト、日本研究者。日本人の近現代作家の作品を数多くイタリア語に翻訳。作家として、作品が中国、日本、スペイン、スコットランド、アメリカでも翻訳出版された。2016年には、短編2作により、第24回Il prione国際文学賞及びMarguerite Yourcenar国際文学賞のファイナリストに選ばれる。また1編のエッセイにより、2016年Mario Soldatiコンクールのエッセイ・ジャーナリズム評論部門においてもファイナリストに選出された。トリノ市商工会議所日本語通訳・翻訳者、CentrOrienteセンター及びUniversita'Popolare di Torino日本語講師。