『本当はすごい日記の効果』書影
著者:すずきそうこ
本書では、日記を30年以上書き続けた日記カウンセラーのすずきそうこが、自殺を考えるほどの悩みを日記で解決してきた自身の体験を基に、新年度におけるメンタルの不調を未然に防ぐための日記の効果的な活用法を解説しています。
<書籍情報>
https://www.amazon.co.jp/dp/B08R957HSG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_.ED6FbPQ5HQAH
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/252300/LL_img_252300_1.jpg
『本当はすごい日記の効果』書影
■本書を紹介する背景と社会的問題点
昨年の自殺者(中でも女性や若い世代の自殺者)数が、外出自粛が厳しかった時期よりも、日常生活が徐々に再開されていった時期に大幅に増えた、という統計があります(厚生労働省「自殺の統計」より)。このことから分かるように、良いことも悪いことも、大きな変化であればどちらもストレスの原因となり得ます。
新年度を迎えると、新たな人間関係が生まれたり、引っ越しがあったりと、自分ではコントロールや対策をしにくい環境の変化が、特に大きくなります。その意味では、寒暖差に適応しようとして自律神経のバランスを崩しやすい上に、大きな環境の変化が重なる春こそ、感情の揺れ幅も大きくなりがちなので、メンタルケアが重要です。
ことに自殺を考えるほどに悩まれている方は、自分が抱えている問題や苦しみについて声高に語ることがないので、周囲から見過ごされがちです。
この状況下において、心の健康を取り戻すために「まずは一人で取り組める」日記という手法がもっと認知されれば、メンタルストレスの緩和と自殺の防止に繋がります。
■本書の概要
この本ではストレスの原因となる「思い込み」の発生のメカニズムがノンフィクション形式で綴られると同時に、日記によるセルフカウンセリング手法が伝えられています。
著者は、「頑張っているのに人生が上手く行かない大きな原因は、思い込みにより視野が狭くなっていることにある」といいます。そして、普段気付かない思い込みを外すのには、「感情の揺れが起きたときに日記を書くことが最も効果的である」と述べています。その観点からすると、感情が揺れる機会が多い新年度は日記の効果を実感しやすいので、日記の継続に繋がります。「日記を書き続けると、ネガティブに解釈してきた出来事ほど後で大きな恩恵となって帰ってくる」と著者は言います。それは「思い込み」が外れる過程で視点が変わり、それに伴い感情も変化するからです。具体的には、過去の被害者意識や加害者意識が消え、ポジティブな精神状態を取り戻します。
■一番読まれている章ランキング
第1位:「第5章 心から願ったものは、一度失っても最善の形で戻ってくる」
第2位:「第3章 ただ日記を書くだけでは人生は上手くいかない!」
第3位:「第4章 日記の書き方を変えた途端、人生が上手く行き始めた!」
本書の特徴は、著者が日記を書き始めてから現在まで、すべてノンフィクションで描かれている点にあります。
本書に寄せられた感想から分かったことは、「著者が日記を書き続けた結果手にしたもの」を表した第5章を読むだけで、読者の中にあった「思い込み」が外れ、自身が置かれている困難な状況の中にも希望を見いだし、精神が前向きになるという効果です。
また、第3章で述べられている「誤った日記の書き方では、物事が上手く行かないことに対するストレス状態をむしろ加速させる」という落とし穴については、一般的に知られていません。実際のところ、日記に日々の出来事を書いたり、ただ思考や感情を書いたりするだけでは、いつもの思考パターンや感情のパターンが繰り返されるので、「思い込み」が強化される可能性もある、と述べています。このように、落とし穴にはまり自殺まで考えた著者の体験が書かれている第3章を読むことで、ただ日記を書けばメンタルケアになるという訳ではないことが事前に分かります。
著者は、第4章の中で、日記を使って自分を癒やして前に進むためには、『ネガティブな思い込みを外す』と『ポジティブな感情で心を満たす』の両面から取り組むことをアドバイスしています。
この本では、一見ネガティブな出来事で感情が揺れたときこそ「思い込み」を発見する手がかりになるので、「ネガティブは宝である」という意外な見方を示されているため、ネガティブな体験に対して前向きになることが出来ます。また、「思い込みを効果的に解消するためのステップ」がわかりやすく紹介され、実践しやすくなっています。他にも、新年度の環境が変化するときに出やすい「不安や怖れ、怒り、焦りなどの感情をどう扱うと良いのか」についても述べられています。
このように、人に相談できずに一人で悩みを抱え込んでしまいがちな方に向けて、「心の不調が手遅れになる前に、自分で自分を癒やす方法」に関する工夫が、この本には詰まっています。そのため、この本の第3章から第5章を読むこともメンタルケアに繋がっています。
■参照:本当はすごい日記の効果: ~書き方次第で人生が変わる~ | すずきそうこ | 哲学・思想 | Kindleストア | Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/B08R957HSG/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_.ED6FbPQ5HQAH
◆著者プロフィール
すずきそうこ。日記カウンセラー。
子どもの頃より原因不明の難治性の病気を多数抱え、対人関係と仕事関係で挫折を味わう。
複数のカウンセリング手法やコーチング技術を学び、それらの知識に30年以上書き続けた日記とを組み合わせることで、どん底から回復。日記を書いているだけで、自己肯定感の向上や対人関係の改善、運も味方にする方法を伝えるカウンセラー兼コーチとして活動中。