大西 茅布『レクイコロス』


モリソン 小林『break on through』


植竹 雄二郎『Self portrait』


牛尾 篤『大漁鯖ン魚』

岡本太郎の遺志を継ぎ、次代のアーティストを顕彰する岡本太郎現代芸術賞、通称 TARO賞。

今年で24回をむかえる本賞には616点の応募があり、24名が入選。最終審査を経て、太郎賞1名、敏子賞1名、特別賞5名が決定し、2月19日(金)受賞者発表と授賞式をとりおこないました。


また、入賞者・入選者の作品を集めた「第24回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展」を2月20日(土)から4月11日(日)まで、川崎市岡本太郎美術館にて開催致します。

次代のアーティストの意欲的な作品をぜひご覧ください。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/247256/LL_img_247256_1.jpg
大西 茅布『レクイコロス』

太郎賞(賞金200万円):大西 茅布『レクイコロス』

【審査評】
5メートル四方の壁面を大小さまざまなキャンバスが埋め尽くし、さらに巨大なイーゼルにも複数の絵が掛けられ、インスタレーションとしても成功している。さまざまな人物の群像が、凄まじい圧力でこちらに迫ってくる。タイトルの「レクイコロス」とは、「レクイエム」と「コロナウイルス」とを合成した造語だという。「人類の悲惨を作品化することに衝動を感じる」という作者は、弱冠17歳。よく見れば、壁面中央あたりに、制服を着た自画像が配置されている。現時点での集大成なのだろうが、底知れない可能性を感じさせる力作。(山下 裕二)

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/247256/LL_img_247256_2.jpg
モリソン 小林『break on through』

敏子賞(賞金100万円):モリソン 小林『break on through』

【審査評】
この展示空間に一歩足を踏み入れる時、無機質なホワイトキューブの空間で有機的なものと出会えるかもしれないというワクワク感が湧き上がった。しかし細部に目を凝らすと、これらの植物造形が鉄で作られていることに気付き驚かされる。フレームを突き破ってニョキニョキと根が伸び、近くの植物の根と繋がり、空間全体に広がる一つのインスタレーションに仕上がっている。それぞれが独立している様でいて、実は全て繋がっている様は、現在の地球規模の環境問題が連鎖していることを喚起させる。丁寧な細部にわたる造形技術、予想を裏切る素材感、そして増殖していく拡張性に魅力を感じ敏子賞とした。(和多利 浩一)

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/247256/LL_img_247256_3.jpg
植竹 雄二郎『Self portrait』

特別賞(賞金10万円):植竹 雄二郎『Self portrait』

【審査評】
「自分とは?」とは、というあまりにもストレートなテーマに、真正面から取り組んだ本格的な彫刻作品。四つの独立した作品には、それぞれ一面、三面、三面、六面の顔貌が成形され、それらがつくりだす空間構成もよく考えられている。また、髪の毛が伸びてメタモルフォーズした表現も効果的である。表情はさまざま。カッと目を見開いていたり、舌を出していたり、頬をふくらませていたり。FRPによる滑らかな質感も見事で、異形の人物像に崇高さを付与している。(山下 裕二)

画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/247256/LL_img_247256_4.jpg
牛尾 篤『大漁鯖ン魚』

特別賞(賞金10万円):牛尾 篤『大漁鯖ン魚』

【審査評】
鯖の縞と着物の縞は元々ゼブラからの発生ではないか。そんな思いを芸術でもアートでも絵画でもない、本人言うところの図画で表現している。人間が苦しむと自然が復活する。「憤怒の図画」が7枚に分かれ、鯖を釣る、食べると描かれている。人間をもて遊ぶような巨大な鯖が画面の中心を占め、自然の大きさと人間の卑小、今日的課題が写し出されているダイナミックな作品である。ちなみに鯖は網で漁るとすぐに傷みやすい。一本釣りが美味であり、貴重なのである。(北條 秀衛)

画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/247256/LL_img_247256_5.jpg
小野 環『再編街』

特別賞(賞金10万円):小野 環『再編街』

【審査評】
一見すると紙製の建築模型のように思われるだろう。細部に注意してもう一度見てみると、テーブルの上や台座の柱に切り取られた書籍も展示されている。それは百科事典、美術全集で、切り取られた書籍自体も十分に魅力的作品に仕上がっている。インターネット普及以前はどの家にも美術全集や百科事典はとても貴重なものとして家のステータスの上部に君臨していた。役目を終えたこれらの書籍は同じように役目を終えた公団住宅、図書館、美術館に再構成され蘇っている。単なるノスタルジーに終わることなく、小野 環による現代アート作品として両素材は新たな役目と存在する時間を得たのである。(和多利 浩一)

画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/247256/LL_img_247256_6.jpg
唐仁原 希『虹のふもとには宝物があるの』

特別賞(賞金10万円):唐仁原 希『虹のふもとには宝物があるの』

【審査評】
ヨーロッパで観た古典、こどもの頃に観た絵本、学生時代に観たマンガ、現代のRPG……。この真紅の空間に立つと、これまで観てきた様々な表現の記憶が順不同で脳裏に立ち上る。「絵画に組み込まれたアイコンは、鑑賞者の持つ記憶に反応し、鑑賞者それぞれに物語を形成させる」。唐仁原の言う通りだ。いきなり作者の術中にハマったらしい。ファンタジックなのに生々しく、漫画的なのに生命力に満ちている。そんな不思議な世界観が作品に強度を与えている。(平野 暁臣)

画像7: https://www.atpress.ne.jp/releases/247256/LL_img_247256_7.jpg
浮遊亭 骨牌『浮遊亭 κοιλια』

特別賞(賞金10万円):浮遊亭 骨牌『浮遊亭 κοιλια』

【審査評】
声が掛かれば方々へと向かい、油圧で部屋ごと空中に昇る茶室。車上にあるから中からの景色も移ろう。借景などし放題だ。内では香が焚かれ、特別に煎じられた茶を嗜むことができる。盆栽だって眺められる。見るほどに細部の工夫が浮かび上がる。だがそれだけではない。実はこの茶室、聖地でもあるのだ。動かないはずの聖地が移動する。いわば「移動する聖地」。しかし茶室とはもともと心境次第で観想のなかを自在に移動する聖地なのではなかったか。(椹木 野衣)


■入選作家・作品名(50音順・敬称略)
・東 浩一郎『廻転する不在』
・AYUMI ADACHI『Line 線』
・袁 方洲『積み上げた影』
・太田 琴乃『エピソード記憶』
・かえるかわる子『土浦の情熱「矢口新聞」』
・加藤 立『鑑賞者』
・金子 朋樹『Undulation/紆濤-オオヤマツミ-』
・黒木 重雄『Distance』
・さとうくみ子『家中ピクニック装置』
・許 寧『For you,for me-Earth,People』
・園部 惠永子『そろそろグングニる。』
・ながさわたかひろ『ウィズコロナの肖像』
・西野 壮平『別府温泉世界地図』
・原田 愛子『餅田餅男の最期』
・藤田 朋一『机上の誉-きじょうのほまれ-』
・みなみ りょうへい『雰囲気の向こう側』
・山崎 良太『挑む戦闘服』


《第24回岡本太郎現代芸術賞 概要》
■主催
公益財団法人岡本太郎記念現代芸術振興財団
川崎市岡本太郎美術館


■審査員(50音順・敬称略)
・椹木 野衣/美術批評家、多摩美術大学教授
・平野 暁臣/空間メディアプロデューサー、岡本太郎記念館館長
・北條 秀衛/川崎市岡本太郎美術館館長
・山下 裕二/美術史家、明治学院大学教授
・和多利 浩一/ワタリウム美術館キュレーター


《第24回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展 概要》
会期 :2021年2月20日(土)~4月11日(日)
会場 :川崎市岡本太郎美術館・企画展示室
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)
休館日 :月曜日、2月24日(水)
観覧料 :一般 700(560)円、
高・大学生、65歳以上 500(400)円
中学生以下は無料 ※( )内は20名以上の団体料金
交通 :小田急線「向ヶ丘遊園駅」南口より徒歩17分

情報提供元:@Press
記事名:「岡本太郎現代芸術賞の授賞式を2月19日に開催!入賞者・入選者の作品を集めた展覧会を川崎市岡本太郎美術館で2月20日~4月11日まで実施