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紅茶の消費量に関連する遺伝子領域を日本人集団において発見



紅茶消費量と遺伝子タイプ

株式会社ジーンクエスト(本社:東京都港区、代表取締役:高橋 祥子)および、国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科 健康栄養機能学社会連携講座(東京都文京区、加藤 久典特任教授)による共同研究により、日本人を対象にしたゲノム解析から紅茶消費量に関連するゲノム領域を初めて発見し、その成果が専門誌「Nutrients」にて2020年10月18日に公開されました。



画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/232271/LL_img_232271_1.png

紅茶消費量と遺伝子タイプ



◆研究結果の概要

紅茶は、世界で最も消費される飲料の一つです。紅茶には、糖尿病に効果があるカフェインや老化、酸化ストレス、高血圧に効果のあるテアフラビンなど、我々の健康に有益な化合物が多数含まれています。近年の疫学研究では、一日3杯の紅茶を飲むことで虚血性脳卒中の発病が抑制されることが報告されています。

また一塩基多型(SNP)※1は、遺伝的な体質に影響することが知られています。近年の研究により、食習慣の個人差にもSNPが影響していることが明らかになっています。実際に我々の過去の研究においても、コーヒー消費量、魚の消費量および甘味嗜好性に関わるゲノム領域を報告しております。

これまでのゲノムワイド関連解析(GWAS)※2では、カフェイン含有飲料として、主にコーヒーについて研究されてきましたが、紅茶の消費量に関連するゲノム領域を調べた研究はありませんでした。



そこで本研究では、日本人約1万2千人のゲノム情報とWebアンケート情報を用いてGWASを行いました。まず、沖縄を除く本州の日本人集団においてGWAS解析を行い、その結果ヒト12番染色体上の12q24領域に存在する11のSNPsと12q15領域に存在する1つのSNPが紅茶の消費量に関連する候補SNPsとして抽出されました。この中で、12q24領域上の3つのSNPs(rs2074356、rs144504271、rs12231737)は沖縄地方の集団においても、本州集団と沖縄集団を合わせたメタ解析においても紅茶の消費量に関連していました。最も強い関連が確認されたSNP(rs2074356)に着目すると、1アレルあたり年間約15杯の紅茶消費量が増加していました。

12q24領域のSNPsは日本を含む東アジア人に特有のものであり、また、様々な食習慣と関わることが知られています。そこで、12q24領域と紅茶消費量の関連性を同領域との関連が既に知られている飲酒量、飲酒頻度、コーヒー消費量もしくは甘味嗜好性を考慮した追加調整を実施しました。その結果、12q24領域と紅茶消費量の関連性は、飲酒量、コーヒー消費量および甘味嗜好性による追加調整では変化しませんでしたが、飲酒頻度により追加調整すると、その関連性はわずかに減弱化したものの、その変化は比較的小さいものでした。

さらに、12q24領域と紅茶消費量の関連を男性と女性、および年齢の高い群と低い群に分けてそれぞれ解析した結果、その関連は性別や年齢の影響を受けていないことが分かりました。



本研究は、日本人集団において12q24領域の遺伝子多型が紅茶消費量に関連するということを示し、さらにその関連に飲酒頻度が一部介在する可能性が示唆されました。本研究は、紅茶消費量に関連するゲノム領域を発見した初めての研究です。本研究成果は、個々の遺伝的体質に応じた栄養アドバイスである「パーソナルゲノム栄養」への応用が期待されます。



当社では今後も、共同研究によって生み出される成果を活かして、より信頼できる遺伝子解析サービスを提供し、遺伝子事業の発展に貢献できるよう取り組んでまいります。



※1 スニップと発音され、DNA上の一箇所の違いを意味しています。“Single Nucleotide Polymorphism”の略であり、一塩基多型と訳されます。ゲノム中には300万から1000万のSNPが存在していると考えられています。重要な遺伝子領域が作りだすタンパク質を変化させる可能性があり、生活習慣病などはSNPsが複雑に関係していることが解明されつつあります。



※2 ゲノムワイド関連解析(GWAS解析)は、ゲノム全体をほぼカバーする50万個以上のSNPの遺伝子型を決定し、主にSNPの頻度と、疾患をはじめとした形質との関連を統計的に調べる方法です。





◆研究表題:A Genome-Wide Association Study Identifies the Association between the 12q24 Locus and Black Tea Consumption in Japanese Populations

DOI: 10.3390/nu12103182

URL: https://www.mdpi.com/861504





◆利益相反

責任著者の加藤久典は株式会社ジーンクエストの倫理審査委員会委員を務めています。





■企業情報

社名 : 株式会社ジーンクエスト

所在地 : 東京都港区芝五丁目29番11号 G-BASE田町

設立 : 2013年6月20日

資本金 : 110,000千円(資本準備金含む)

代表者 : 代表取締役 高橋 祥子

事業内容: 個人向け遺伝子解析事業

URL : https://genequest.jp/





■ジーンクエストリサーチについて

「ジーンクエストリサーチ」は、国内外の企業、研究者等と連携し、主に遺伝子解析キットを通じて蓄積されたゲノムデータを活用し、遺伝子多型と体質、疾患に関する幅広い研究に取り組んでおります。研究活用に関して同意が得られたユーザーのデータを匿名化し、倫理審査委員会により情報の取扱い、提携先における利用目的等の承認を受けた上で、研究活用します。今後も、共同研究パートナー企業、研究者とともに、サービスと研究のシナジーを創出し、新たな価値の創出を目指し実現してまいります。当社では、共同研究の研究者、パートナー企業様を広く募集しております。

ジーンクエストリサーチURL: https://genequest.jp/forbiz/

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