SiOを負極に用いた試験用リチウムイオン電池
リチウムイオン電池の構成材料の中でも正極や負極などの電極材料は、電池の性能を左右する非常に大きな要因であり、世界中の企業、大学などの研究機関で活発に研究開発が行われています。現在、主に用いられている負極用材料はチタン酸リチウムなどの酸化物系やグラファイトなどの炭素系の材料が多い状況となっています。しかしながら今後のさらなる負極の高容量化の検討としてグラファイトの数倍以上の理論容量を持ち、資源量の観点からも懸念の少ないケイ素(シリコン)系負極が次世代負極の最有力とされています。
シリコン金属も優れた負極材料候補でありながら、充放電に伴う体積変化、膨潤のせいでサイクル特性が悪く、電池容量が劣化していくことが大きな問題です。一方で一酸化ケイ素(SiO)は、汎用のグラファイト負極(372mAh/g)と比較して、理論容量が2,007mAh/gにも達することで非常に期待されています。しかしながら、SiO負極も充放電に伴う容量の劣化が激しく、未だに実用化は大きく進んでいないのが現状です。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/216792/LL_img_216792_1.jpg
SiOを負極に用いた試験用リチウムイオン電池
GSアライアンス株式会社(Green Science Alliance Co., Ltd.:環境、エネルギー分野の最先端材料を研究開発する化学会社、本社:兵庫県川西市、代表取締役社長:森 良平博士(工学))はリチウムイオン電池、アルミニウム系電池、金属空気電池などの各種の二次電池の研究開発を活発に行っており、活物質を合成、電極塗布用インクの作成、試験用セルの作成、電気化学的測定、分析など全て自社内で行っています。
この度、当社の古西 克次研究員と森 良平博士(工学)は、他社製のSiO粉体を基に、試行錯誤のうえ良好な電気化学特性を示す塗布用インクを作ることに成功しました。このインクを集電体に塗布して電極として用い、対極にリチウム金属を使って試験用リチウムイオン電池を作成し、電解液としては、標準的なカーボネート系の電解液を用いました。
結果、0.1~0.2Cの電流測定条件で約1,700~1,800mAh/gという非常に大きな電池容量を有するリチウムイオン電池を作ることができました。約30回の充放電サイクルでも5%以下の電池容量低下にとどまっており、電池容量の劣化も少なく安定しています。今後はさらに大きい電力下でのサイクル特性の確認、不燃性のイオン液体系電解液、酸化物系固体電解質や他の材料との組みあわせ、さらなる電池容量の向上などの研究開発を続け、実用化を目指します。
■会社概要
商号 : GSアライアンス株式会社
代表者 : 代表取締役社長 森 良平博士(工学)
所在地 : 〒666-0015 兵庫県川西市小花2-22-11
事業内容: 環境、エネルギー分野の最先端材料の研究開発と製造販売
URL : https://www.gsalliance.co.jp/