ドクターネット ロゴ
Japanとドクターネットとの間で共同プロジェクト(以下「本共同プロジェクト」)に関わる契約を締結いたしましたのでお知らせいたします。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/207304/LL_img_207304_1.png
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■本共同プロジェクトについて
〇背景
中華人民共和国湖北省武漢市において、2019年12月に新型肺炎の発生が複数報告されて以来、世界各地で患者発生報告が続いております。日本国内においても、2月中旬以降、各地で感染経路が特定できない感染事例が報告され、感染者数の大幅な増加が懸念されております。
ドクターネットの遠隔画像診断支援サービス(以下「ドクターネットサービス」)は、全国約900の医療機関にご利用いただいており、症例数は1日6,000症例に及びます。昨今の状況を受け、一部の契約医療機関から、2月中旬以降、新型肺炎疑いの症例に係るドクターネットサービスのご依頼を頂戴しております。さらに、2月25日に政府が発表した「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」では、今後、患者数が大幅に増加した場合は一般医療機関でも患者を受け入れることが盛り込まれており、同様のご依頼をいただく医療機関数の大幅な増加が見込まれております。
そのような状況に対応するべく、ドクターネットは、中国の医用画像AIエンジン開発会社であるInfervision及び同社のアジア太平洋支社であるInfervision.Japanと共同で、新型肺炎に係る画像診断の品質向上を目的とした取組みを開始致しました。Infervisionは、中国において、2019年12月から武漢同済医院など複数の医療機関と連携し、新型肺炎に係る画像診断において、AIエンジンの実験的な活用に取り組んでいます。
〇取組概要(1):新型肺炎画像の診断支援エンジン実用化に向けた取組み
新型肺炎の確定診断にはPCR検査が必要ですが、検査には現時点では最短でも6時間ほどかかることや検査機器数に限りがあることから、検査可能数が限定的であるという課題があります。そのため、新型肺炎の患者数が急増する武漢市では、胸部CT画像診断によるスクリーニングが行われております。その際に、武漢同済医院など複数の医療機関において、放射線科医の画像診断を効率化するソフトウェアとして実験的に利用されているのが、InfervisionのAIエンジン(以下「本AIエンジン」)です。
本AIエンジンは、Infervisionがもともと開発していた胸部CT画像診断支援エンジンが基となっております。このAIエンジンに、2019年12月以降、武漢同済病院など複数の医療機関の、数千症例の新型肺炎症例を学習させ、すりガラス状陰影や湿潤影などの肺炎の画像診断機能が試験的に追加されました。そして、武漢同済病院でテスト導入をした後、新しいAIエンジンとしてバージョンアップされております。
ただし、現時点では開発されてから日が浅いAIエンジンであり、中国における医療機器の行政管理を行う国家薬品監督管理局からの正式な承認を受けるためには、まだ時間がかかる見込みです。また、日本における実用化に向けても検証・薬事申請が必要です。そこで、ドクターネットは、Infervision.Japanと協力し、本AIエンジンの実用化に向けた検証スピードを加速するため、本AIエンジンの検証をドクターネットサービスに関連して行うことを決定致しました。
具体的には、医療機関よりドクターネットにご依頼いただく症例のうち、新型肺炎疑いのものについては、放射線診断専門医が画像診断レポートを作成した後、ドクターネット査読センターによる本AIエンジンのテスト検証を行います。仮に、放射線診断専門医の診断と、本AIエンジンによる結果に差異があった場合は、ドクターネット品質保証室の常勤放射線診断専門医により検証を行い、診断を行った放射線診断専門医にもフィードバックを行うことと致します。
〇取組概要(2):日本における新型肺炎の画像診断知見向上に向けた取組み
ドクターネットサービスには約700名の放射線診断専門医が登録しているところ、この人数は日本の放射線診断専門医約6,000名のうちの10%強に相当します。一方で、日本国内では新型肺炎の症例数が現時点では限定的であるため、新型肺炎の画像診断経験のある放射線診断専門医の数はまだ多くないのが現状です。
このような状況に対応するため、ドクターネットは、ドクターネットの契約放射線診断専門医専用サイトにおいて、Infervisionが作成した中国における新型肺炎症例集を、Infervisionから特別に公開許可を頂いたうえで公開することを決定致しました。
ドクターネットとしては、中国における新型肺炎の画像診断知見を、ドクターネット契約放射線診断専門医に共有することで、今後ドクターネットで増加が想定される新型肺炎疑い画像の画像診断精度向上に寄与できればと考えております。また、ドクターネット契約放射線診断専門医の多くは、ドクターネットサービス以外でも画像診断を行っておられますので、ドクターネットサービス以外での新型肺炎画像診断に関しても、その精度向上の一助になることを期待しております。
■ドクターネットの遠隔画像診断支援サービスについて
日本は他の先進国と比較して、対人口比での医用画像撮影装置数は突出して多い状況ですが、対人口比での放射線診断専門医数は最低水準です。そのため、大半の医療機関では常勤の放射線診断専門医の確保が困難な状況にある一方、放射線診断専門医の過剰労働という問題が存在しております。この点、医用画像のデジタル化が普及したことに伴い、希少な放射線診断専門医と医療機関を遠隔でつなぐマッチングサービスとして誕生したのが遠隔画像診断支援サービスであり、約20年前から普及・浸透しているものです。
遠隔画像診断サービスは、放射線診断専門医の人手不足・過剰労働という上述の問題解決、ひいては画像診断の質と安全の担保に寄与しており、その結果、現在では10年前の2倍以上にあたる年間約550万症例が遠隔診断されている状況です。
【株式会社JMDCについて】
医療ビッグデータ業界のパイオニアとして2002年に設立。独自の匿名化処理技術とデータ分析集計技術を有しています。3億3,000万件以上のレセプトデータと1,700万件以上の健診データ(2018年3月時点)の分析に基づく保険者向け保健事業支援、医薬品の安全性評価や医療経済分析などの情報サービスを展開しています。また、健康度の単一指標(健康年齢)や健康増進を目的としたWebサービス(PepUp)など、医療データと解析力で健康社会の実現に取り組んでいます。
【株式会社ドクターネットについて】
ドクターネットは、日本の遠隔画像診断支援業界においてシェアNo.1のリーディングカンパニーとして、「いつでもどこでも、高品質な画像診断を」の企業理念のもと、2020年1月に創業25年目を迎えました。現在、ドクターネット遠隔画像診断支援サービスは、年間約180万症例・一日約6,000症例に対して、遠隔で画像診断支援を行っており、日本国内の放射線診断専門医の10%強に相当する約700名が登録する日本最大の放射線診断専門医プラットフォームです。
今後は、医用画像診断のさらなる発展に貢献するため、遠隔画像診断支援サービスと人工知能エンジンを融合させたプラットフォームであるAI-RADを開発してまいります。
【Infervision (Beijing) Co., Ltd.について】
Infervision (Beijing) Co., Ltd.(北京推想科技有限公司)は、2015年創業の中国北京市のスタートアップ企業で、初期のGoogleにも支援したセコイア・キャピタルからも投資を受けています。
Infervisionは2018年に、中国の大病院から収集した数十万枚の肺のCT画像を使い、CTスキャンにおいて肺に異常がある可能性を検知支援するソフトウェアを開発しました。中国では既に300を超える医療機関に導入されており、2020年2月末時点で既に、欧州の医療機器認証制度であるCEマークを取得しています。さらには、2019年12月以降、数千枚の新型肺炎の画像を使い、新型肺炎用のツールを開発し、既に中国の34の病院、32,000症例以上の診断支援に使われております。