UV照射下での量子ドットシート
量子ドットはガスや水蒸気、光、熱に弱いなどの問題点があり、現在の量子ドットシートは、液状の量子ドットを印刷手法などにより塗布した後に、バリヤフィルムなどで封止する必要がありましたが、この手法により量子ドットシートの製造が簡易化されることになります。また、量子ドットを樹脂に練りこんで複合化した材料をフィルム成型して、このような量子ドットシートを作ったのは世界初です。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/168863/LL_img_168863_1.jpg
UV照射下での量子ドットシート
量子ドット(Quantum Dot)とは、量子化学、量子力学の法則に従う光学特性を持つナノスケールの超微細構造を有する最先端材料です。量子ドットの大きさは通常0.5 - 9nmの直径というものすごく小さい構造体で、1個あたりの原子、分子数は10 - 1,000個といわれており、人工原子とも言われています。ナノ結晶のサイズによってバンドギャップを調節することが可能であるため、粒径に依存した特徴的な発光特性を持ちます。よって粒子径サイズを変化させることにより発光波長が調整可能で、固体の蛍光体と比較してスペクトルの半値幅が狭いという特徴があります。高い量子効率を持ち、幅広い波長を吸収することもできます。
量子ドットの発色は明るく、鮮やかに広範囲の波長の光が発光可能なうえに、高効率、長寿命、高い減衰係数を有するために、以下に示すように様々な用途で応用が期待されています。
1. 太陽電池
2. ディスプレイ
3. 生体イメージング、バイオマーカー、医療画像装置(がん細胞のイメージング、たんぱく質の分析、細胞の追跡など)
4. 量子コンピューター
5. セキュリティタグ、セキュリティインク、偽造防止
6. 量子ドットレーザー
7. トランジスタ
8. フォトニック結晶
9. LED
10. 高密度固体メモリー
11. 熱電材料
12. 人工光合成
GSアライアンス株式会社は既に数種類の量子ドットを合成販売し始めており、今回はペロブスカイト量子ドットを樹脂と混合して発光する複合体を作り、この技術を応用すれば他の量子ドットも複合化することが可能です。また、量子ドットディスプレイの用途を考えて作りましたが、このことはこの量子ドットマスターバッチ複合体を様々なものに成型できる可能性を示したことになります。
今回作った量子ドットシートの量子収率4 - 5%となり、同じ組成の量子ドットマスターバッチ複合体の量子収率は35 - 40%(元のペロブスカイト量子ドットの有機溶剤分散体の量子収率は80 - 90%)なので、低下の原因を探り、量子収率の向上を検討する必要があります。
今後は、他の量子ドットの樹脂マスターバッチ複合体、またディスプレイ以外の用途も考えた量子ドット樹脂複合体成型品も考えていく予定です。
■会社概要
商号 : GSアライアンス株式会社(冨士色素株式会社グループ)
代表者 : 代表取締役社長 森 良平(工学博士)
所在地 : 〒666-0015 兵庫県川西市小花2-22-11
事業内容: 環境、エネルギー分野向けの先端材料の研究開発と製造販売
URL : https://www.gsalliance.co.jp/