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大気圧低温プラズマでナイロン繊維の耐水性・耐薬品性を大幅向上 サンライン、プラズマコンセプト東京と共同開発を実施



図1.ナイロン繊維の水中浸漬時間における水分率の変化(23℃)


図2.ナイロン繊維のギ酸(88%)に対する溶解性


図3.ナイロン繊維の濃硫酸に対する溶解性

東京工業大学発ベンチャー企業 株式会社プラズマコンセプト東京と株式会社サンラインは、大気圧低温プラズマを使ったナイロン繊維の耐水化・耐薬品化加工技術を共同開発いたしました。今後は、耐水化や耐薬品化を要望されている繊維素材分野での用途拡大が期待されます。



画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/155889/LL_img_155889_1.jpg

図1.ナイロン繊維の水中浸漬時間における水分率の変化(23℃)



大気圧低温プラズマによって高い活性力を持つ活性種を生成することで、高速かつ連続処理でナイロン繊維を表面改質し、耐水性や耐薬品性を格段に向上させることに成功しました。釣り糸製造で培った低温プラズマ処理技術を発展させることで、ナイロン繊維を熱劣化させることなく、耐水性や耐薬品性などの表面特性を持つナイロン繊維の製造が可能となりました。(特許第5946119号、第4611409号等)



同技術による耐水性向上処理では6時間水中浸漬後の吸水率を従来の約30%に低減する事に成功しました。耐薬品性向上処理ではナイロンを溶解するギ酸(88%)や濃硫酸に5分間接触させても、繊維が溶解しませんでした。



同技術は、耐水性が要求される屋外資材や、耐薬品性が要求される自動車部材などに、当該処理を施すことで耐久性向上が期待されます。



今後はナイロン繊維以外への表面改質の応用や、移動体の軽量化による省エネルギー素材として注目されている炭素繊維、アラミドなどの比強度、比弾性率の高い高性能繊維の表面改質(特に接着性改善など)への展開が期待されます。



*代表的な特許番号(一部)

特許第5946119号/特許第6089378号/特許第6224139号/特許第4611409号





(1)本成果の意義

ナイロン繊維は、高い耐摩耗性や破断エネルギー、適度な柔軟性を持ち合わせているため、古くから釣り糸や衣料、資材など様々な分野で利用されてきました。しかし、吸水する特製から強度劣化、収縮によって寸法の変化、球晶が形成され白化するなどにより水が介在する用途では耐久性の改善が課題となっていました。また、酸に対して溶解する特性があり、耐薬品性の向上も課題となっていました。本成果では、大気圧低温プラズマを照射することにより、耐水性向上や耐薬品性の処理が可能となりました。





(2)開発の背景

従来は、繊維の結晶化度を制御する方法やコーティングなどの加工技術がありました。繊維の結晶化度を増加すると耐水化や耐薬品化が期待できますが、強度低下や硬質化など物性の変化を伴います。フッ素化合物などの耐水コーティングでは、均一な被覆が難しく、衝撃などの外部要因や繊維自体の伸縮によって剥離するなど、持続的で十分な耐水性を得られませんでした。また、フッ素化合物は原料コストや環境負荷が大きいことも問題となっていました。

そこで、大気圧プラズマを用いた表面改質に着目しました。大気圧プラズマは高い活性力を持つ活性種を生成できるため、表面親水化や接着性向上などの表面改質に利用されています。当社では、大気圧プラズマによる釣り糸製造技術を確立しており、この技術を応用することで繊維表面の分子構造を改質し、水や薬品の吸収を抑制することを期待しました。





(3)成果

釣り糸製造技術で培った大気圧低温プラズマ処理技術を発展させることで、均一で高密度なプラズマにより高速で、ナイロン繊維の物性変化を伴うことなく、さまざまな表面改質を可能にしました。

例えば、耐水化向上処理では吸水性を抑制し、耐薬品性向上処理では酸への溶解を抑制することに成功しました。耐水化向上処理では、6時間水中浸漬後の吸水率を従来の約30%に低減しました。耐薬品向上処理では、ナイロンを溶解するギ酸(88%)や濃硫酸に5分間接触させても、繊維が溶解しませんでした。



図1.ナイロン繊維の水中浸漬時間における水分率の変化(23℃)

https://www.atpress.ne.jp/releases/155889/img_155889_1.jpg

図2.ナイロン繊維のギ酸(88%)に対する溶解性

https://www.atpress.ne.jp/releases/155889/img_155889_2.png

図3.ナイロン繊維の濃硫酸に対する溶解性

https://www.atpress.ne.jp/releases/155889/img_155889_3.png





(4)展望

釣り糸への応用(吸水による劣化・白化・収縮などの対策)のほか、ナイロン繊維以外のポリビニルアルコールやポリアセタール等への表面改質への応用や、移動体の軽量化による省エネルギー素材として注目されている炭素繊維、アラミドなどの比強度、比弾性率の高い高性能繊維の表面改質(特に接着性改善など)への展開が期待されます。





【会社概要】

会社名 : 株式会社サンライン

代表者 : 代表取締役 中野 郁夫

所在地 : 山口県岩国市玖珂町1600-21

設立 : 1977年(昭和52年)8月8日

事業内容: レジャー用及び水産 業務用釣り糸の製造・加工・販売

産業資材用途 モノフィラメントの製造・加工・販売

各種釣具の仕入・販売

URL : http://sunline.co.jp/

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