「ソフトウェア品質シンポジウム2016(SQiP2016)」Award受賞者
「ソフトウェア品質シンポジウム2016(SQiP2016)」会場の様子
「第46回 信頼性・保全性シンポジウム(46R&MS)」各報文賞の受賞者
「第46回 信頼性・保全性シンポジウム(46R&MS)」会場の様子
(1) 受賞者
1)SQiP Best Paper Effective Award
「ISVアプリケーションの受入テストにおける探索的テストの導入効果」
森 一郎 氏 NECパーソナルコンピュータ株式会社
荒木 伸昌 氏 NECパーソナルコンピュータ株式会社
東 正浩 氏 NECパーソナルコンピュータ株式会社
[受賞理由]
既存のテストに加え探索的テストを実施した効果を事例を通じて報告している。テストプロセスの定義やテスト項目を勘案して検証している点で他の組織にも参考になる。
2)SQiP Best Report Effective Award
「妥当性確認におけるユーザ観点のシナリオテスト適用の実施事例」
森中 秀明 氏 アンリツネットワークス株式会社
関水 宗樹 氏 アンリツネットワークス株式会社
[受賞理由]
ユーザの運用ライフサイクルに沿ったユースケースを抽出し、運用ライフサイクルを整理している点、それを妥当性確認テストで活用している点で優れている。また、その効果を事例を通じて報告している点で他の組織にも参考になる。
3)SQiP Best Paper Future Award
「GSNを活用した技術者能力計測手法の提案」
梅田 浩貴 氏 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
神戸 大輔 氏 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
植田 泰士 氏 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
竹村 俊介 氏 有人宇宙システム株式会社
佐々木 方規 氏 株式会社ベリサーブ
[受賞理由]
評価が難しいIV&V技術者の思考過程を可視化している点、GSNによりIV&V技術者の能力要件を定義し能力値の計測方法と計測事例を具体的に示している点で優れている。対象を他の技術者にも応用できるため、他の組織にも参考になる。
4)SQiP Best Report Future Award
「品質保証部門におけるテストプロセス改善モデル初期導入に関する取り組み」
高野 愛美 氏 株式会社日立製作所
河野 哲也 氏 株式会社日立製作所
[受賞理由]
TPI NEXT導入時のアプローチを紹介し、新たに導入を試みた結果を具体的な取り組みを報告している。プロセスや用語の定義、導入現場とのギャップの解消方法をはじめ他の組織にも参考になる。
5)SQiP Best Presentation Award
「不具合リスク発想のための観点の抽出方法とその効果」
余宮 尚志 氏 株式会社東芝
小島 昌一 氏 東芝ソフトウェア・コンサルティング株式会社
[受賞理由]
リスクに気づくための支援方法としてソフトウェアFMEAに取り組んでいる点、支援効果の改善のために分野別に粘り強く取組んでいる点で優れている。実際の開発から故障モードを集めやすくするために書き方や形式に着目している点で他の組織にも参考になる。
(2) 賞の種類と紹介
● SQiP Best Paper(論文)/Report(報告) Effective Award
実践的で、現場の品質向上にすぐに役立つ優秀なもの(審査委員会で選定)
● SQiP Best Paper(論文)/Report(報告) Future Award
将来役に立つ可能性を秘めている優秀なもの(審査委員会で選定)
● SQiP Best Presentation Award
もっとも分かりやすく、効果的な発表(聴講者の投票で選定)
(3) 選定方法
一般発表(経験論文/経験発表)25件について、本シンポジウム委員会(委員長:森崎 修司 氏(名古屋大学))及び論文小委員会(委員長:大杉 直樹 氏(株式会社NTTデータ))の査読により「SQiP Best Paper/Report Effective Award」「SQiP Best Paper/Report Future Award」4件を選定、「SQiP Best Presentation Award」は聴講者の投票で1件を選定し、決定しました。
■ソフトウェア品質シンポジウムとは
ソフトウェアの品質に関する国内最大級の参加者を誇るシンポジウムで、35年にわたる歴史があり、日科技連がソフトウェア品質向上と発展を希求し、立場の壁を超えてフラットに意見交換、情報交換ができる場、自己成長、人材育成の場としても定評があり、毎年9月に開催。今年は3日間で延べ2,000名を超えるご参加者のもと盛大に開催された。
■ソフトウェア品質シンポジウム
Web: http://www.juse.jp/sqip/symposium/
■ソフトウェア品質シンポジウム2016・速報版
Web: http://www.juse.jp/sqip/symposium/report/
2.第46回 信頼性・保全性シンポジウム(46R&MS)各報文賞の受賞者決定について
日科技連は、2016年7月14日(木)~15日(金)に「第46回 信頼性・保全性シンポジウム(46R&MS)」を開催し、ものづくり日本を支える研究者・技術者による研究・経験・実践論文が発表報告され、全参加者からの投票結果をもとに、本シンポジウム報文小委員会による厳選なる審査と組織委員会の最終審議により、優れた発表報文に対して「推奨報文賞(3件)」「奨励報文賞(1件)」の各賞受賞者が決定しました。
(1) 受賞者(推奨報文賞:3件、奨励報文賞:1件)
1)推奨報文賞(1)
「電子機器への環境リスク:電子機器の寿命に及ぼす腐食性物質の影響」
斎藤 彰 氏 株式会社村田製作所
[受賞理由]
電子部品は、超高密度実装化が進み、腐食性物質による劣化の影響を受けやすく、これらの問題を「電子機器への環境リスク」と呼び、腐食性物質による電子部品への影響を、故障解析面からの対策を含めて包括的にまとめ、新しい課題として、pm2.5などの環境リスクからの影響に対する懸念をデータに基づいて提言、さらに業界に対して新たなリスクの提示という観点で新規性、事例を交えたわかりやすい発表報告である。
2)推奨報文賞(2)
「妥当性確認におけるユーザ観点のシナリオテスト適用の実施事例」
松井 慶輔 氏 ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社
[受賞理由]
HALT(ホルト)評価法は、試験内容や実際の効果、有効性は殆ど開示されていないが、多数の試験実績から得られた有効性及び、その有効性を更に高める方法について情報開示し、これからHALTを活用しようと検討している設計者・評価者にとって大いに指針になる。また、従来のHALT評価では、実際より過大なストレスで検出した不具合に対し、対策要否を判断する困難さが常に付きまとうが、「機能性評価」の考え方を取り入れ、ストレス印加中の「機能の安定性」の変化を比較・観察する事で、耐久性の違いを明確に判断できる事を示し、短期間での製品開発が求められる中、このような新しい評価手法を積極的に取り入れ、新製品の信頼性確保に大きな成果を上げた。
3)推奨報文賞(3)
「エレクトロマイグレーションによるはんだ接続部の断線現象」
田辺 一彦 氏 NECプラットフォームズ株式会社
[受賞理由]
エレクトロマイグレーションは、どのような金属配線でも発生するが、LSI配線の耐エレクトロマイグレーションは、配線が細く、固体に封止され温度上昇も少ないため電流密度約100kA/cm2で発生する。以前から半田のエレクトロマイグレーションに関して研究報告はあるが、『半田』接合部のエレクトロマイグレーションが発生する現象を確認し、得られた知見(温度、電流密度等による影響)について結晶解析、精密温度計測等を駆使して、且つ実践的な要素も含んだ総合的に現象を考察した報告は少なく、今後、半田接合の寿命律速になる可能性のある重要な報告であり、発表報文として優れている。
4)奨励報文賞
「架橋構造解析による熱硬化性樹脂の高信頼性硬化研究」
岡本 泰志 氏 株式会社デンソー
[受賞理由]
エポキシ樹脂の硬化条件による架橋構造と機能の相関確認を検討し、Spring-8による小角X線散乱(SAXS法)やパルスNMR、動的光散乱の解析し、高温(150℃)でのエポキシ樹脂硬化では、ゲル化点以降に硬化反応が停止し、架橋が疎で不均一な部分が多く形成された結果からガラス転移点(Tg)が低下することを示し、低温(100℃)での硬化では、ゲル化点後も硬化反応が進行するため、均一で密な架橋構造が多く形成されることにより、ガラス転移点(Tg)が低下することなく、高い信頼性を得られることも確認している。エポキシ樹脂の均一で密な架橋構造を形成する硬化メカニズムの解明は、今後の産業界にとって高い信頼性を確保するための有益な知見であり、学術的にも優れた内容である。
(2) 賞の種類と選考結果
1)推奨報文賞
理論・方法などに従来試みられなかった新しい知見を有する内容、あるいは信頼性業務の遂行上裨益をもたらす内容を有する、優れた発表に与えられるものであり、2016年度は3件を選考しました。
2)奨励報文賞
一般投票では陽のあたりにくい専門分野や理論的な研究について、今後の信頼性・保全性の研究や発展を期待して奨励報文制度も設けています。2016年度は、1件を選考しました。
3)特別賞
特別賞は2004年度に新設された賞で、その内容が学術的または労力的見地から表彰に値する発表、または啓蒙的であって参加者にとって有益と判断された発表を対象にしています。2016年度は、残念ながら該当者なしとの結果となりました。
■信頼性・保全性シンポジウムとは
1971年に開始した当シンポジウムは、いろいろな分野の信頼性・保全性・安全性に携わるエンジニア、マネージャー、研究者が集い、ものづくり日本を支える「産・学」から最新かつ実践的な技術・経験・研究成果が発信され、これらを共有し、意見交換・討議などを行うとともに、基調講演、特別講演、招待講演、特別企画セッション、展示コーナーなどを通じて多彩な人的交流と情報交換の場を提供することを主眼としたシンポジウムとして毎年7月に開催。
■信頼性・保全性シンポジウム(R&MS)
Web: http://www.juse.or.jp/src/seminar/detail/page/rms
■信頼性・保全性シンポジウム:開催レポート
Web: http://www.juse.or.jp/src/seminar/voice/133/53