最低賃金の引き上げや人手不足を背景に、パート・アルバイトの時給が上昇する一方、賃金の引き上げだけでは人材の採用・定着が難しいと感じる企業が増えているようだ。
食事補助サービス「チケットレストラン」を展開するエデンレッドジャパンは9月17日、「パートタイマーの待遇に関する実態調査」の結果を発表した。パートタイマーを雇用する企業の人事担当者300人と、現在パートタイマーとして働く300人の計600人を対象に調査したところ、時給を引き上げた企業の82.6%が「時給の引き上げだけで採用・定着に対応していくことに限界を感じる」と回答した。

時給を引き上げた企業の8割超が「時給だけでは限界」
調査によると、この1年間でパートタイマーの時給を引き上げた企業は78.7%に上った。
そのうち、時給を引き上げた企業236社に採用・定着について尋ねると、82.6%が「時給の引き上げだけで採用・定着に対応していくことに限界を感じる」と回答。さらに84.4%が「時給を引き上げるだけでは、他社との差別化が難しくなっている」と答えた。
時給の引き上げが広がるなか、賃金水準だけで他社との違いを打ち出すことに難しさを感じている企業の実態がうかがえる。

時給が上がっても82.0%が「生活にゆとりを感じない」
一方、働く側の受け止め方はどうか。
パートタイマー300人のうち、この1年間で時給が「上がった」と回答した人は59.3%だった。しかし、時給が上がった178人に生活の変化を尋ねたところ、82.0%が「以前より生活にゆとりが生まれたとは感じない」と回答した。
また、パートタイマー全体の70.0%が正社員との待遇差を感じており、65.3%が福利厚生について正社員との格差を感じていることも分かった。
時給が上昇しても生活の改善を実感できない人が多く、賃金以外の待遇にも課題が残っていることが示された。

同じ仕事内容・時給なら、88.7%が「福利厚生の充実した勤務先」を選びたい
福利厚生は、勤務先を選ぶ際の判断材料にもなっている。
仕事内容や時給が同程度の求人が複数あった場合、パートタイマーの88.7%が「福利厚生が充実した勤務先を選びたい」と回答した。
企業側では84.4%が「時給だけでは他社との差別化が難しい」と感じている一方、働く側の約9割は、仕事内容や時給が同程度であれば福利厚生の充実度を重視する意向を示した。
今回の結果は、福利厚生が採用時に勤務先を比較する際の要素の一つになり得ることを示している。ただし、回答は勤務先選びに関する意向であり、実際の応募・入社行動を測定したものではない。

福利厚生への満足度で「大切にされている」実感に35.8ポイント差
福利厚生への満足度は、働き始めた後の勤務先に対する評価とも関連していた。
この1年間で時給が上がったパートタイマー178人を、福利厚生の満足層86人と不満足層92人に分けて比較したところ、「勤務先は従業員を大切にしていると思う」と回答した割合は、満足層が65.1%、不満足層が29.3%で、35.8ポイントの差があった。
「現在の勤務先に満足している」は88.4%対64.1%、「意欲を持って働けている」は72.1%対48.9%、「長く働き続けたい」は82.6%対66.3%となり、いずれも福利厚生満足層の方が高かった。
時給が上がった人の間でも、福利厚生への満足度によって勤務先への評価や継続意向に違いがみられた。ただし、この調査結果は両者の関連を示すものであり、福利厚生の充実がこれらの意識を直接高めたと証明するものではない。


時給と福利厚生を組み合わせた「待遇全体」の設計へ
調査結果について、エデンレッドジャパンの天野総太郎社長は、採用・定着を考えるうえでは支払う賃金額だけでなく、提供する待遇の内容まで含めた検討が重要になっているとの見方を示した。時給と福利厚生を二者択一で捉えるのではなく、両者を組み合わせて従業員の生活を支える待遇を設計していく考えだ。
同社が展開する「チケットレストラン」は、全国の飲食店やコンビニなどを利用できる食事補助サービス。今回の調査では福利厚生全般と勤務先評価の関係が示されたが、食事補助単独の採用・定着効果を検証したものではない。
時給の引き上げが進むなか、企業には賃金水準だけでなく、福利厚生を含めて働く人にどのような待遇を提供するかが問われそうだ。
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000123.000056034.html
