【2025年3月16日 東エルサレム／ガザ地区（パレスチナ）発】
パレスチナのヨルダン川西岸地区とガザ地区への4日間の訪問を終えたユニセフ（国連児童基金）中東・北アフリカ事務所代表のエドゥアルド・ベイグベデルは、以下の声明を発表し、現地の状況は極めて憂慮すべきものである、と警鐘を鳴らしました。
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パレスチナの子どもたちは、あまりにも頻繁にこの容赦ない紛争の犠牲となっています。東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区とガザ地区の240万人のほぼ全ての子どもが、何らかの影響を受けています。大きな恐怖や不安を抱えて暮らしている子もいれば、人道支援と保護の剥奪や、避難、破壊、死といったより実質的な影響に直面している子どももいます。すべての子どもが保護されなければなりません。
ガザ地区への支援の流入が途絶えていることで、およそ100万人の子どもが、生きるために最低限必要なもの無しで暮らす状況が、またもや生じています。
ガザ地区の外、わずか数十キロの場所に、18万回分以上の定期予防接種用ワクチンが留め置かれています。幼少期の接種が欠かせないこのワクチンは、2歳未満の6万人の子どもの予防接種を完了させ、彼らを病気から守るのに十分な量です。またこれとともに新生児集中治療室向けの、命を守る人工呼吸器20台も足止めされています。ユニセフは、急性呼吸窮迫症候群（ARDS）の新生児や未熟児の呼吸を助けるCPAP装置30台をなんとかして届けることができました。しかし、高度な呼吸支援を必要とする乳児には、人工呼吸器が不可欠です。
悲劇的なことに、ガザ地区の医療施設への大きな影響により、約4,000人の新生児が現在、命を守るのに不可欠なケアが受けられていません。人工呼吸器がないために命を落とす子どもが日を追うごとに増えており、ガザ地区北部ではとりわけ脆弱な未熟児にそのケースが多く見られます。
手遅れになる前にこれらの支援物資を、新生児を含む子どもたちに届ける必要があります。そして、不可欠なサービスを提供し続けなければなりません。私は、ガザ地区のハンユニスにあるユニセフが支援する淡水化プラントを訪問しました。この施設は唯一、2024年11月以降も電力の供給を受けていましたが、現在は供給が途絶えています。その処理能力は13％しか使われておらず、何十万人もの人々が飲料水や衛生サービスを奪われています。
東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区では、2023年10月以降、200人以上のパレスチナの子どもと3人のイスラエルの子どもが亡くなっています。過去20年間で、このような短期間に記録されたものとしては最も多い数字です。
ジェニンを含むヨルダン川西岸地区の北部では、3万5,000人以上が家や持ち物を残して、どこか避難先を探すことを余儀なくされています。先ごろ多くの住民が避難したことにより、約1万2,000人の子どもの教育が著しく妨げられています。ヨルダン川西岸地区（東エルサレムを含む）の子どもは、頻繁に道路封鎖や学用品不足に直面しています。
ユニセフはパレスチナの子どもを保護し支援するために、できうる限りのことをし続けています。水道システムを修復し、メンタルヘルスを守るためのセッションを開催し、学習センターを設置するとともに、意思決定者に対してアクセスの確保や暴力の停止を常に働きかけています。しかし、これだけでは十分ではありません。
子どもたちは命を奪われたり、けがを負わされたり、家から追われたりしてはなりません。すべての当事者は国際法における義務を遵守しなければなりません。民間人の必要不可欠なニーズと保護のニーズが満たされ、人道支援が迅速かつ大規模に届けられることが許されなければなりません。すべての人質が速やかに解放され、ガザ地区での停戦は継続され、紛争の永続的な解決に資さなければなりません。
すでに何万人もの子どもが死傷しています。この数をさらに増やすような状況に戻ってはならないのです。
