
トランスジェンダーだと暴露する「アウティング」に当たる投稿をSNSにしたとして、台湾出身の芥川賞作家、李琴峰(りことみ)さんが村松裕美甲府市議(52)に550万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は29日、村松市議に110万円の賠償を命じた。李さんは性別変更は極めて高度なプライバシー情報で、プライバシー権と人格権が侵害されたと訴えていた。
訴状によると、李さんは法律上の性別を女性に変更後、2013年に来日。女性として生活し、性別変更したことは周囲には知られないよう注意してきた。
しかし、24年に入り、村松市議がSNSで李さんについて「身体が男性」などと投稿していることに気づいた。抗議すると削除されたが、村松市議は別の人物のSNSに載った李さんの性別変更前の写真を投稿した。25年6月の提訴後も村松市議が投稿を続けていることから、李さんに関する投稿を将来にわたって禁止することも求めたが、この差し止め請求は棄却した。
李さん側は訴訟で、性別変更が暴露されれば人間関係や社会生活が崩壊する恐れがあり、平穏に生活する人格権を侵害されたと主張。これに対し村松市議側は、著名な作家の李さんについてトランスジェンダーを公表する必要性があったと反論していた。
李さんは21年に「彼岸花が咲く島」で芥川賞を受賞し、その後、SNSなどに性別に関する投稿があふれるようになった。【安達恒太郎】
