
ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は15日公開の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで、トランプ米大統領の意向を受けて停止したロシアの製油所への攻撃を再開すると明かした。「制限は解除された。もう終わりだ」と述べた。トランプ氏は11月の中間選挙を前に軽油価格の高止まりに神経をとがらせており、製油所への攻撃に不満を示している。攻撃再開でウクライナとの亀裂が一層深まる恐れがある。
トランプ氏は11日に自身のソーシャルメディアで、ロシアとウクライナが互いにエネルギー関連施設への攻撃を即時停止することで「合意した」と一方的に主張した。これを受けて、ゼレンスキー氏はウクライナ軍によるエネルギー関連施設への攻撃を「3日間停止した」という。一方で、ロシアは攻撃を続けていた。
FTによると、ウクライナ当局者は、軍が14日夜から15日朝にかけてモスクワ南東リャザン州にある製油所を攻撃したと明かした。リャザン州の知事も15日、ウクライナのドローン攻撃によって製油所で火災が発生したと説明しているという。
パトリオット使い果たしたか
ゼレンスキー氏はインタビューで、ロシアがエネルギー施設への攻撃を停止しなくても、ウクライナ側が停止に応じることができる「最低限の条件」として、米国による防空システム「パトリオット」の迎撃ミサイルの供与を挙げた。米CNNは15日、ウクライナがパトリオットの迎撃ミサイルを使い果たしたと報じている。
「警報受けられなくなった」主張
ゼレンスキー氏は、ロシアの弾道ミサイル攻撃に対する早期の警戒警報が米国から受けられなくなったとも語った。米スペースX社が提供する衛星通信サービス「スターリンク」の通信速度も低下し、前線の作戦や中距離での攻撃に支障が出たという。
ウクライナ軍の担当者は「エネルギー施設への攻撃をやめなければ、情報提供を遮断する」と米国のカウンターパートに通告されたという。ゼレンスキー氏はスターリンクの不具合も「意図的なもの」と指摘した。その後、ゼレンスキー氏は15日、FTにスターリンクの通信速度は通常通りになったと説明したという。【ブリュッセル鈴木一生】
