
4日に閉幕する愛知・名古屋アジア大会。日本選手団の輝かしい活躍以上に目立ったのは、頻発する運営トラブルだった。大規模スポーツイベントに詳しい専門家の目には、今大会はどのように映ったのか。
環太平洋大・真田久教授(スポーツ人類学)
失った信頼、取り戻すために
トラブルが目立った大会だった。輸送と宿泊の問題が一番大きい。輸送トラブルで選手の練習時間が削られた例もあった。選手にとっては自分の力が発揮できなくなる恐れがあり、死活問題だ。きちんと反省しなければならない。
選手村を作らず分散宿泊にした点が要因として大きい。初めての取り組みでノウハウが蓄積されていなかった。だからこそ、特に注意しなければならなかったが、見通しの想定が甘かった。こうした問題は大会後、きちんと第三者機関を作り、客観的に検証する必要がある。
今回の大会を教訓として生かせば、地方でも国際大会が開催可能だと示せる。また検証結果を世界にも公表することで、失った信頼を取り戻せるのではないか。
大会のレガシー(遺産)も大切となる。開催地の人たちがどのような恩恵を受けたのか、愛知県と名古屋市はきちんと示さなければならない。今回生まれた各国選手との交流を、今後も続けられるかどうかが重要だ。【聞き手・川瀬慎一朗】
真田久(さなだ・ひさし)
1955年生まれ。筑波大大学院体育研究科修了。筑波大体育専門学群長などを経て2026年から環太平洋大副学長。専門はスポーツ人類学。特に嘉納治五郎やオリンピック史を研究。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会参与も務めた。
