
金銭授受疑惑などを巡り、福岡県議会の蔵内勇夫前議長が議員辞職したことに伴う県議補欠選挙(筑後市選挙区、定数1)は4日投開票され、無所属新人で社会福祉法人理事の牛島慶二郎氏(49)=公明推薦=が当選を決めた。去ったとはいえ「県議会のドン」と呼ばれた蔵内氏がどう動くのか注目されたが、最後まで、その影は見えなかった。
「身を引くことが今の私にできる責任の取り方であるとの結論に至った」。9月、蔵内氏は支援者に宛てた手紙で、自身に指摘された金銭授受疑惑を「全く、そのような事実はありません」と否定する一方、混乱を謝罪し、引退を告げた。
自民党筑後支部関係者によると、蔵内氏の辞職後も役員会は開かれず、補選への対応に関する指示もなかった。「急なことで時間がなく、対策が取れなかった」といい、結果的に静観する形になった。
一方、蔵内氏に近い自民系市議は候補者を探し、自らの出馬も検討したが、擁立に至らなかった。県議10期目の途中まで務め、約40年にわたって地域政治の中心にいた蔵内氏。市議は、これまでの支部運営を「蔵内氏のトップダウンだった」と振り返る。仮に候補を立てても、金銭授受疑惑などを巡って自民党県議団への批判が高まる中、厳しい戦いは避けられなかったとみる。市議は「自民党の看板を掲げればマイナスからのスタートになる」と吐露。来春の統一地方選で予定される県議選に向け、逆風下で候補を擁立できるかが課題となる。
今回の補選は「因縁」もあった。当選した牛島氏の父巌氏(故人)も元県議で、2期目を目指した1987年の県議選では蔵内氏との一騎打ちに敗れた。蔵内氏はこの選挙で初当選。約40年を経て、その議席を息子が奪還した。県議会では今後、「ポスト蔵内」を巡る主導権争いも本格化しそうだ。【石田宗久】
