
2023年に東京・八重洲のビル建設現場で鉄骨が崩落して作業員5人が死傷した事故で、警視庁捜査1課は18日、鉄骨を支える仮設支柱の強度計算を誤ったとして、工事を担当したゼネコン大手「大林組」(東京都港区)の社員2人を業務上過失致死傷容疑で書類送検した。2人は外部業者から安全性への懸念を示されていたが、思い込みにより誤りに気付かず、計画を変更しなかったとみられる。
書類送検されたのは、現場の作業主任として鉄骨の強度計算をした男性(34)=埼玉県川口市=と、その上司だった男性(50)=東京都千代田区。
事故は23年9月19日午前9時ごろ、東京都中央区八重洲1の7階建てビル建設現場で発生。7階部分で鉄骨のはりを設置中に「支保工(しほこう)」と呼ばれる仮設支柱(長さ約20メートル)が折れ曲がり、鉄骨が崩落した。鉄骨の上にいた作業員5人が20メートル下の3階部分に落下し、下請け会社の社員だった原裕一郎さん(当時33歳)=埼玉県朝霞市=と、花田大和さん(当時43歳)=千葉県市川市=が亡くなったほか20~40代の3人も重傷を負った。
書類送検容疑は、支保工で支えるべき鉄骨の重量を誤って小さく算出し、強度が足りない支保工を用いたことで事故を起こし5人を死傷させたとしている。作業主任は「鉄骨の重さについて認識の甘さがあった」、上司は「作業主任の言動から計算の誤りに気づかなかった」と供述しているという。
警視庁によると、今回の現場では鉄骨のはり5本(1本当たり長さ14~18メートル、計58トン)を支える支保工を用いる予定だった。しかし作業主任は、はり2本分(計32トン)を支えられればよいと考え、本来必要な強度がない支保工を用いることにしたという。
支保工は別業者からリースしたもので、この業者は作業主任に「注文された支保工では強度不足では」と連絡していた。だが、作業主任と上司は相談のうえ、当初の試算の誤りに気付かないまま発注内容を変えなかった。
工事では既に鉄骨の納期遅れがあり、通常は別業者に依頼する強度計算を作業主任が担った。その結果、使う支保工の数も2本から1本に変更されたという。作業主任はそれまで強度計算の経験はなかったが、さらなる工期の遅れを懸念したとみられる。【朝比奈由佳、松本ゆう雅、林帆南】
