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新米が古米より安い「逆転現象」 米騒動から一転、産地の懸念


 全国有数のコメどころ、山形県鶴岡市の産直のコメ売り場で、新米が古米より安い価格で販売される「逆転現象」が起きている。コメ不足が叫ばれた「令和の米騒動」の影響による価格高騰から一転、コメ余りを背景にした異例の事態だ。新米の売れ行きは好調だが、関係者や生産農家からは経営への打撃を心配する声が上がる。

古米3100円、新米は……

 「これ新米? 安い!」。8月31日午後、同市西荒屋の農産物直売所「産直あぐり」に並んだ2026年産の「ひとめぼれ」の低価格に気付いた来店客が、新米を次々に手に取り驚いていた。中には30キロも購入する人もいた。5キロ入りの値段は最安で税抜き「2450円」。すぐ近くに並ぶ同じ生産者の25年産「コシヒカリ」は5キロ「3100円」の値が付いている。品種は違うが、新米の方が古米より安い。

 産直あぐりの叶野由佳社長(51)は「乱高下する市場価格に左右される農家はきつい」と心配する。わずかに期待を寄せるのは、コメが手に取りやすい価格になったことで消費者が国産米に回帰し、コメ離れの解消や自給率向上につながっていくことだという。

「体力のある農家しか…」

 同市の農業、菅原和行さん(64)は、新米が古米より安くなった事態を「そんなの記憶にない」と憤る。既に25年産の「ひとめぼれ」の在庫はないが、新米5キロの出荷価格は、コメ不足が叫ばれた昨年同時期の4200円に比べ約4割安。農林水産省が発表した主食用米の7月末時点での民間在庫量が過去最大に膨らむなどの先安感などをにらみ、産直あぐりにコメを出荷している生産者14人で話し合って安い価格に設定せざるを得なかった。

 「米袋や燃料などが昨年よりさらに高騰している中、コメばかりが値下がり、農家の収入減は明らか。農家が振り回されるこんな状況じゃ安定生産なんてほど遠く、体力ある農家しか生き残れなくなる」と懸念する。【長南里香】

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