
熊本地震の被災地で、救いの手を求め、自ら声を上げられない障害者らを救おうと「熊本地震被災地障害者センター」が発足した。今も行政の支援が届かず、がれきの中で途方に暮れる障害者は多いという。地元の福祉団体だけでなく、熊本県外を含めた支援団体などが現地で活動を始めている。
「家で過ごす障害者のニーズに応える態勢が特にできていない。支援の受け皿を作って各地から来てもらう仕組みをスタートさせるしかなかった」。センターの所長を務める東俊裕さん(73)が発足の経緯を語った。
センターは、熊本県内の障害者団体による「熊本障害フォーラム」を母体に、8月17日にスタートした。障害者の自立支援などに携わるNPO法人「とら太(た)の会」(同県八代市)を事務局に、最初の10日間で身体・知的・精神障害合わせて32件の支援要請があった。
活動に携わる福島貴志さん(63)=熊本市=によると、普段から福祉施設のサービスを受けている障害者は地震後、曲がりなりにも被害状況の把握が進む。
一方、障害者手帳を持ちながらサービスを受けていない人も多く、こうしたケースの多くで支援が届いていない。センターが出動した事案の中には、1人暮らしでがれきやごみに囲まれ、途方に暮れていた高齢の障害者もいたという。
能登やトルコから
全国的な障害者支援団体のネットワークを背景に、熊本県外からセンターへの参加も広がっている。
「声を出せない被災者を支援し、あるいはセンターにつなぎたい」。2024年の能登半島地震の被災地支援に今も携わる、「被災地NGO恊働センター」(神戸市)のスタッフ、増島(ますじま)智子さん(55)は石川県から駆けつけた。
同じく能登でのボランティア活動に参加したエライ・ジェイランさん(34)はトルコ出身。8月8日以降、被災家屋の片づけなどに加わっている。
トルコでは西部を震源とする1999年の地震で1万7000人以上が犠牲になった。ジェイランさんは「道路がこんなにうねっているのは初めて見た。恐ろしかった」と熊本地震の印象を語る。
センターはニーズの掘り起こしに向け、障害者らに「SOS」を呼びかけるチラシ8400枚を作成し、配布を始めている。日常生活や住まい探し、就労相談などさまざまな支援を想定し「可能な限りニーズに対応できるよう努力したい」としている。問い合わせは同センター(070・5475・1100)へ。【西貴晴】
