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出身地ゆかりの「キエフ」で大関・安青錦と真っ向勝負


 一部のディープなカメラマニアの間では、旧ソビエト連邦製のカメラは人気がありました。特に今年1月にも取り上げた「キエフ」は、コンタックスやハッセルブラッドの模造品の印象が強く、「安物自慢」が好きな人間にはたまらない逸品でした。実は私もその一人。だって安くて立派に使えるんだから、多少の弱点なんか腕でカバーですよ。まだまだ融通の利かないAIに、年季の差を見せつけてやりましょうかね。【中村琢磨】

 今回の被写体はウクライナ出身の安青錦関です。2022年4月に来日して23年9月場所で初土俵、昨年の11月場所後には初土俵から所要14場所の史上最速で大関昇進を果たしました。

 実はこの写真、関脇陥落後の7月場所で、劇的な3度目の優勝で大関に返り咲いた後の撮影ではありません。横綱昇進の最短記録を狙えるかという2度目の優勝後の2月の撮影でした。撮影後は負け越し、休場と続いてしまったので温めていた次第です。

 7月場所で満身創痍(まんしんそうい)の身をかばいながら果敢に攻め、3度目の優勝を勝ち取った姿に目を引かれた方も多いでしょう。そう、これこそが「キエフ」の底力と精神力なのです。私も鋼のようなメンタリティーに憧れてしまいます。「人間引退」を間近にした私が、これからの相撲界を担う安青錦関を、「キエフ」で撮影できたのは何とも光栄でした(大げさだな!)。

 ストロボ同調のシャッタースピードが25分の1以下なのは難点ですが、承知の上で使いましょう。さすがに日中シンクロには不向きですが、問題ありません。ストロボを使わなくても、「趣のある写真」で勝負です。

 安青錦関に「キエフ」を持ってもらったら、「うん、見覚えある。懐かしいなあ!」とのことでした。このカメラが現役のころの世代は親か祖父母でしょうけどね。大切に保管されているのかな。

 そういえば私がウクライナ大使館前で「キエフ」を構えた時も、関係者が興味深そうにこちらを見ていました。私が不審者に見えた可能性は否定できませんが、きっとカメラに気づいて懐かしがったのだと思います。

 手で持った時の重厚感が、フィルムカメラの存在を自己主張していますね。モノクロ映画に登場すると様になりそうです。

撮影機材

KIEV Ⅳ aM、Jupiter-12 35mm F2.8

KIEV Ⅳ a(1958 ~ 80 年製造)の改良版で、80 ~ 87年に製造されました。ストロボのシューが取り付けられ、フィルム巻き戻しクランクが新型に変更されています。

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