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バーミヤンに残る大仏の「穴」 対テロ戦争はタリバンを変えたのか


 一帯に広がる褐色の断崖にその「痕跡」はくっきりと刻まれていた。

 アフガニスタンの首都カブールから、標高3000メートル超えの山あいを車で抜けること約5時間。世界遺産の歴史的な仏教遺跡群で知られる中部バーミヤンに着いた。

 断崖には無数の石窟が並ぶ。その中でも、ひときわ巨大な二つの「穴」が目を引いた。西大仏(高さ55メートル)と東大仏(高さ38メートル)があった場所だ。

破片になった歴史遺産

 2体の大仏は2001年3月、アフガンを支配するイスラム主義組織タリバンに破壊された。今はその近くに大きな破片が残されているだけだ。

 バーミヤンの大仏は、「西遊記」の三蔵法師のモデルとなった7世紀の唐僧・玄奘(げんじょう)が現地を訪ね、著書に「金色に輝いている」と記したことでも知られる。

 だが、イスラム教を極端に解釈するタリバンは、大仏が禁忌である「偶像崇拝」に当たるとして爆破を決行。その「過激思想」を国際社会に印象づけた。

観光誘致に熱心なタリバン

 「外国人は1000アフガニ(約2400円)だ。入場チケットがないとこの先は進めない」

 遺跡に近づくと、銃を携え警備に当たっていたタリバン兵に市内の売店でチケットを買うよう求められた。現在のタリバン暫定政権は遺跡を貴重な収入源と見ており、周辺への観光客誘致に力を入れているようだ。

 遺跡などを管轄する暫定政権のモハジェル・ファラヒ副情報・文化相は取材に対し、国内にはバーミヤンを含む魅力的な史跡が複数あると強調し、「訪問者の滞在を円滑にするために努力している」と明かした。昨年は各地に1万人超の外国人観光客が訪れたという。

修復を訴える声も

 だが、現地では警備や管理が手薄な印象を受けた。遺物の保管庫は施錠されておらず、24年には外国人観光客を標的にしたとみられる銃撃テロも起きた。

 バーミヤン州のグル・ハイダー・シャファーク知事は遺跡を管理する人員の不足を課題に挙げ、「すでに一部の遺跡が危機的な状態にあり、修復が必要だ。大仏はないが、現存するものはすべて歴史的な遺跡のため保護している」と訴えた。

 「アフガンの顔」でもあった大仏が消えてから25年。タリバンが自ら破壊した史跡を観光資源にしようとしている姿からは、やや奇異な印象を受ける。

米国との長い戦争を経て復権したタリバンは、変わったのだろうか。【バーミヤン(アフガニスタン中部)で松本紫帆】

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