
「タオルで顔を隠されて、女の子のように見せられた」
「やりたくないことを、全てやらされた」
親や親族らが子どもの性的映像を撮影し、金銭目的でネットを通じて世界中にライブ配信する――。こうした「オンライン上での子どもへの性虐待・性搾取」(OSAEC)がフィリピンで広がっている。6月中旬、支援団体に保護されたばかりの14歳と11歳の兄弟が取材に応じ、被害の実態を打ち明けた。
2人は約4年前、母親のパートナーから裸になるよう命じられ、スマホのカメラを向けられた。画面越しには、見知らぬ外国人の男性がいた。
配信はその後、何度も繰り返し行われた。通信が終わるたび、子どもたちには100ペソ(約300円)ほどの小遣いが渡された。
「恥ずかしかった。でも、やらないわけにはいかなかった」
撮影が発覚したのは最近のことだ。母親らは警察による捜査を受けており、2人は取材の2週間前、長兄(16)とともに、地元NGO「プレダ基金」に保護されたばかりだった。
長兄は性被害を受けなかったが、今も「弟たちに申し訳ない」と語り、守れなかった自分を責めている。3人は「僕たちに起きたことが本当だと、たくさんの人に伝えてください」と訴えた。
プレダ基金の保護施設はマニラから車で約3時間の深い森の中にある。性虐待を受けた子どもたち60人以上を保護しており、心のケアを行っている。半世紀前から続けている「感情解放セラピー」もリハビリの一つだ。
平日の夕暮れ前。女子寮の一室に10歳前後の少女8人が集まった。大半は実父や継父から性虐待を受け、母親にも見捨てられた子たちだという。
床にはマットレスが敷かれ、壁一面には防音と安全のためにグレーの卵パックが張り付けられている。音楽が流れ始めると、少女たちは一斉に泣き叫び、壁や床に拳や頭を繰り返し打ち付けた。
「お母さんのせいで、私泣いてるよ!」「死んでほしい、死んで!」「私も愛してほしかった!」
見守っていた女性職員は「虐待されている間、子どもたちは恐怖から本当の気持ちを表現できなかった。怒りや悲しみを言葉や涙にすることが、回復への第一歩なんです」と話す。
プレダ基金ではこうしたメンタルケアを通じ、子どもたちが法廷で証言できるよう支えている。創設者のシェイ・カレン神父(83)は「正義の実現こそが、子どもたちの回復にもつながる」と語る。
現在も約15件の裁判を抱えているという。【オロンガポで国本愛】
