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視覚障害者に「触るハザードマップ」 福岡県が作製手引き公開


 視覚障害がある人たちの避難行動に役立てようと、福岡県は「触るハザードマップ」の作製手引きをまとめた。2025年12月、久留米市であった視覚障害者らによるワークショップを基にしており、当事者が周辺の災害リスクを正しく理解でき、参加者同士のコミュニケーションツールになり得ると期待されている。

 一般的にハザードマップは地図上で洪水や浸水、土砂災害、津波などの自然災害で被害が想定される範囲を段階的に色分けしている。地図情報だけでは視覚障害者に伝わりにくいため、近年は読み上げ機能の拡充が進んでいるが、当事者がどのように避難したらいいのか分かりにくく対応が十分とは言えない。

 そうした課題の解決につなげようと、昨年末、久留米市や社会福祉法人「拓く」、九州大などによる公益事業「くるめ防災プロジェクト」と久留米市視力障害者協会の共催で、触るハザードマップのワークショップを実施。開催に携わった同協会相談役の中野貴晴さん(59)は生まれつき弱視のため色の識別が難しく、「苦手意識があり、ワークショップより前にハザードマップを確認したことがなかった」と話す。だが、防災への意識を変えた経験があった。

 中野さんは、23年7月の豪雨で大きな被害が出た同市田主丸町在住。近くの巨瀬川が氾濫したため地区一帯がつかり、「水が引くまでどこにも出られなかった」と振り返る。その後、他の地域で起きた災害の報道に触れる度に「もし家族がいない時に災害が発生したら、どうやって一人で移動できるか」と考えるようになったという。24年にくるめ防災プロジェクトのメンバーと出会ったことで、ワークショップ開催につながった。

 当日は、視覚障害がある協会会員やガイドヘルパーら計約30人が参加。作製にあたり会員の自宅周辺のハザードマップのほか、100円ショップで購入できる立体シールや木工用接着剤、両面テープなどを準備した。

 会員1人に対して作製補助者2人程度がつき、ハザードマップを確認しながら自宅にはコルク、避難所は星形など、材質や形の異なるシールを貼った。河川や浸水しやすい場所には木工用接着剤を平たく伸ばし、避難経路にライン状のシールを貼るなど工夫を凝らした。中野さんは「なるべく自分主体で作ることを大切にした。会員たちが避難所までの経路を改めて確認できて、防災意識が高まった」と語る。

 ワークショップには、県防災危機管理局の担当者も参加。実施内容を基に今年1月、作製の手順などを手引きとしてまとめた。手引きは県のホームページで公開され、県内市町村の福祉や防災の担当部署、盲人協会や視覚障害者の関係団体に共有された。

 同局の前田幸輝さん(39)は「視覚障害のある人がどのように行動したらいいのか、読み上げ機能のその先を考えることができるなど、対話しながら気づきがあった。障害があるなしに関わらず、作る過程で災害リスクを把握でき、考えてもらう機会になる」と話している。【山崎あずさ】

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