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中学生1820人の3割近くが「親から暴力」 京大などが調査


 京都大などが近畿の中学生1820人から回答を得た調査で、3割近くが親から何らかの暴力を経験しているとのデータが示された。親の暴力があった生徒の方が、ない生徒よりも非行の割合が高くなり、親の暴力は経済的に余裕がない家庭の方が生じやすい傾向も統計で浮かび上がった。青少年の非行防止を考える上で有用なエビデンスとなりそうだ。

 産学連携の「SMBC京大スタジオ」プロジェクトの一環で、「国際自己申告非行調査(ISRD)第4次調査」として実施。メンバーの岡邊(おかべ)健・京大大学院教育学研究科教授(犯罪社会学)が発表した。

 調査は2024年12月~25年1月、近畿で人口50万人以上の2市の公立中学校5校で1~3年生の学級を訪れ、タブレット端末を配布して回答してもらった。

 過去に親から受けた暴力(罰だった場合も含む)の問いで「たたかれたり、平手打ちされたり、突き飛ばされたりしたことがある」は27・4%、「物でたたかれたり、強く殴られたり、蹴られたり、ひどく痛めつけられたりしたことがある」は14・2%あった。男女で有意差はなかった。

 万引きや落書き、薬物使用など14種類を提示した非行について、過去1年間で1種類に関わったとの回答は4・8%(男子6・9%、女子2・5%)。2種類以上も1・4%(男子2・2%、女子0・5%)あった。共に男子の方が多かった。

 家庭の経済状況に余裕があるかの設問では、あるが83・6%、ないが14・2%。さらに、これらの回答を組み合わせて分析した。

 親からの暴力を受けた生徒でみると、非行1種類は6・6%、2種類以上が3・3%。受けなかった生徒では非行1種類が2・2%、2種類以上が0・6%で、親の暴力の有無で有意差があった。

 親からの暴力を受けた生徒について経済的余裕の有無でみると、余裕なしは41・8%、余裕ありは26・3%と有意差があった。

 親の暴力・経済的余裕の有無と、非行の関係も4区分で比較。非行1種類は「有・無」で7・5%、「有・有」で6・4%、「無・無」が3・4%、「無・有」で2・0%。非行2種類以上は「有・無」で4・7%、「有・有」で3・0%、「無・無」で0・7%、「無・有」で0・6%。いずれも「暴力あり・余裕なし」が最多、「暴力なし・余裕あり」が最少だった。

「親の暴力の背景に経済的厳しさ」

 岡邊教授は「しつけ名目も含まれるが、親から子への暴力が想定以上に広範囲に及んでいる可能性と、厳しい家庭環境が中学生の非行に関係している可能性が示された」と総括。「親の暴力の背景に経済的な厳しさがあることもうかがえる。困難を抱える家庭に対し、経済面も含めた社会支援を充実していくことが青少年の非行抑止につながると考えるべきだ」とも指摘する。

 岡邊教授によると、少年非行は被害が通報されない傾向があり、警察統計などには実態が反映されにくいという。実態把握のため開発された「自己申告法」による世界最大規模の青少年調査がISRDで、今回の4次調査には約40カ国が参加。SMBC京大スタジオによる日本の調査は3月に青少年問題学会でオンライン発表された。

 今回の調査は対象が無作為抽出ではないため、結果の一般化には慎重さが求められる。一方、家庭の社会経済的状況の指標とされる蔵書数の設問もあり、その回答をみると、全国の傾向と大差はないという。岡邊教授は数年以内に予定されるISRD第5次調査では無作為抽出の調査を目指している。【太田裕之】

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