
一般社団法人「黒沼ユリ子のヴァイオリンの家・日本メキシコ友好の家」が運営する施設「ヴァイオリンの家」(千葉県御宿町)が、3月末で閉館することになった。法人理事長で世界的バイオリニストの黒沼ユリ子さん(85)と姉で事務局の俊子さん(89)の高齢が理由で、一般向け開館は29日が最後になる。
黒沼さんは「日本とメキシコの文化的な距離が少しでも近くなるように開館しましたが、年には勝てません」と理由を説明した。俊子さんは取材に「この年齢まで皆さまのお役に立てたなら幸せです」と答えた。
東京都出身の黒沼さんはプラハ音楽芸術アカデミーを卒業後、50年近くメキシコを拠点に世界各地で演奏してきた。2014年に住居を日本に戻す際、メキシコと関係が深い御宿町を移住先に選んだ。「ヴァイオリンの家」は16年9月末、JR御宿駅から海岸に向かうヤシ並木の「ロペス通り」沿いに黒沼さんが整備してオープンした。
鮮やかな青い外壁が特徴の3階建てで、メキシコとの交流や平和を願う黒沼さんや俊子さん、ボランティアたちの活動拠点となってきた。中にはメキシコ関連の書籍や民芸品、世界中から集めたバイオリンを弾く人形1000体以上を展示し、ホールではミニコンサートや戦争体験者の講演などを開催。能登地震の救援バザールも開いた。
御宿町は1609年、メキシコに向かう途中の帆船が沖合で座礁した際、300人余の乗組員を地元の海女らが救助した歴史が伝わる。町内には記念塔があり、1978年には当時のメキシコ大統領が来町し、「ロペス通り」の名前の由来となった。
その通り沿いの「家」は町とメキシコの交流を象徴する施設の一つとなり、これまで土日祝日の午前11時~午後4時に開館していた。今後、一般社団法人は解散手続きに入り、電話は月末で撤去するという。メールや手紙で申し込む個別の予約訪問は今後も対応する。
問い合わせは、ヴァイオリンの家「〒299―5106、千葉県御宿町須賀478―2」、メール(casa.violin.930@gmail.com)。メールは4月以降も使用可。【高橋秀郎】
