
中国の習近平国家主席は16日、カナダのカーニー首相と、北京市内で会談した。中国外務省によると、両者は両国関係の安定を図り、エネルギーや貿易など実務協力を進めることで合意した。カナダ首相の訪中は2017年12月以来、約8年ぶり。トランプ米政権をにらみ、両国は関係改善を本格化している。
中国外務省の発表などによると、習氏は「健全で安定した関係の発展は両国の共通利益にかなう」と指摘。カーニー氏は、両国の協調が「太平洋両岸の人々に安定と安全、繁栄をもたらす」と応じた。
台湾問題を巡り、カーニー氏は「一つの中国政策」を堅持する立場を表明した。高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁で日中関係が悪化した後、習指導部は日本の孤立を狙う外交戦を展開している。
カーニー氏は14日から中国を訪問。カナダ政府の発表によると、今回の首相訪中で、カナダ政府は24年に中国製電気自動車(EV)へ課した追加関税を引き下げ、中国側は菜種などカナダ産食品への関税を引き下げることで合意した。
カナダは18年に中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)副会長を米国の要請に基づき拘束。その直後に中国当局がカナダ人2人を拘束して両国関係は長く冷え込んでいた。
25年3月に首相に就任したカーニー氏は対中関係の立て直しに動いているが、その背景には米国とのあつれきがある。
トランプ政権の関税圧力を受けるカナダは貿易の多角化のために中国との経済協力を必要としている。中国としてもカナダを引き寄せ、西側先進国の連携にくさびを打つ好機とみているようだ。【北京・河津啓介】
