
山形県鶴岡市で、身近に迫るクマの実態についてベテランハンターの話を聞く勉強会があった。出羽三山の主峰の月山のふもとで暮らす、県猟友会鶴岡支部副支部長の秋元和夫さん(74)が講師を務め、「利口で学習能力が高い」と指摘した。地元の特産である庄内柿の中には、木の上の実に袋をかぶせることで渋を抜く特殊な技術が施されているものがあり、「クマは袋で覆われて甘くなった柿を食べて味を占めると、他の渋柿には目もくれなくなる」などと解説した。
鶴岡市は2025年、クマの目撃件数が県内市町村で最多の405件(暫定値、県調べ)に上った。勉強会は12日、市民グループ「地域の足検討委員会」が主催し、約30人が集まった。
講師の秋元さんは、カモやキジを撃とうと20歳で狩猟免許を取得した。当時は、周囲でクマもイノシシも見かけなかったという。
それが今では山菜採りの際などにばったり出くわしたり、木から下りてきたクマと何度も遭遇したりするようになった。所属する猟友会が捕獲した頭数は25年4~12月は147頭。05年の合併以降、同時期で最多だった。秋元さんは「まさか人里にまで出没するようになるとは、夢にも思わなかった」と驚いた表情で語った。
人里に出没したクマを銃を使って捕獲する「緊急銃猟」制度が25年9月に始まった。全国55件(9日午前10時現在、環境省調べ)のうち山形県は16件と全国最多だ。
秋元さんは、被害を減らすには「山の低い場所を生息場所にして人家に出てくる若い個体を捕って崩していくことだ」と指摘。人里に慣れた個体の捕獲を住民やハンターの安全を確保しながら着実に進めていく仕組み作りが必要との認識を示した。
集まった市民からは、銃や弾の費用や活動の手当などに関する質問が相次ぎ、関心の高さをうかがわせた。「趣味から始めた狩猟なのに、有害駆除の活動が増えてジレンマに苦しんでいるのでは」との質問に、秋元さんは「趣味との比率が半々になってしまった」と語った。その上で、他県で運用が始まっている警察官によるライフル銃を使用した駆除などに期待を寄せていた。【長南里香】
