starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

解体か、存続か?福島の三島由紀夫映画ロケ地 歯切れ悪い行政


 福島県郡山合同庁舎の新設移転に伴い、来夏に「空き家」となる現庁舎(旧郡山市庁舎、郡山市麓山1)の存廃問題が注目されている。戦前期を代表するアールデコ様式で、作家の三島由紀夫(1925~70年)の生涯を描いた日米合作映画のロケ地にもなった建造物。解体を危惧する市民有志は保存を求めるが、所有者である県は方針を示さず、21日に記者会見した椎根健雄市長も地元としての意向を明言しなかった。

 建物は1930(昭和5)年に完成した鉄筋コンクリート2階建て。中央に4階建ての塔を備えた左右対称造りの堂々たる容貌で、郡山市役所として使われた後の69年に県に移管され、県中地方振興局などが入居する。

 外観が東京の旧陸上自衛隊市ケ谷駐屯地の1号館(37年築、元・旧陸軍士官学校)に似ていることから、85年のカンヌ国際映画祭で芸術貢献賞に輝いた「MISHIMA」(ポール・シュレイダー監督)の撮影にも使われた。

 三島が市ケ谷駐屯地で自殺前に陸自隊員に決起を促したシーンでは、「ゴッドファーザー」のフランシス・コッポラ、「スター・ウォーズ」で知られるジョージ・ルーカスの両氏も、作品の製作総指揮者として臨席したという。

 2019年に耐震補強の工事は行われた。しかし、築95年を経て老朽化にはあらがえず、県はJR郡山駅近くに新庁舎を建設中で、来夏には移転する計画。一方で、今年度予算に現庁舎のアスベスト調査費として900万円を計上した。

 解体するのか――。危機感を持った安積国造神社(郡山市)の安藤智重宮司ら有志が「米軍空襲の戦災も免れた、郡山市に残る数少ない近代遺産」として保存を求める会を結成。19日には市役所で記者会見を開き、施設の利活用策の素案を示しながら市民に機運醸成を呼びかけた。

 日大工学部の速水清孝教授(建築史)も「当時の先端的な技術を駆使した建築物。陸軍士官学校も一時は解体の危機に直面したが、部分的ながら『市ケ谷記念館』として残された。昭和戦前期の郡山市を代表するランドマークの保存も不可欠だ」と訴える。

 こうした声に対して行政の歯切れは悪い。県の担当課は「アスベスト調査は建物全体の構造を把握するため。解体か保存か、県が所有し続けるか市に返還するのか、方針は何も決まっていない」。椎根市長も会見で「所有者である県とコミュニケーションを取りながら検討する」と繰り返した。

 自治体には、人口減と高齢化による維持管理費不足のために公営施設の再編を進めざるを得ない事情がある。一方で、保存を求める市民にとっては、移転まで1年を切ってなお役所が方向性を示さないことに疑心も湧く。「空き家状態になってからでは遅い」。安藤さんらは焦りを募らせる。【根本太一】

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2026
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.