
ペダルをこがずにモーターの動力だけで走れるペダル付き電動バイク(通称モペット)を巡る交通違反が静岡県内で増えている。インターネット通販で気軽に買える一方、購入者が複雑なルールを理解して手続きする必要があり、確認漏れや勘違いが多発。正確な情報を利用者に確実に届ける広報が一層必要となりそうだ。【藤渕志保】
「免許が必要と知らなかった」
10月2日、静岡市に住むベトナム国籍の20代の男性が道路交通法違反(無免許運転)と自動車損害賠償保障法違反の疑いで書類送検された。男性は7月中旬に無免許、無保険状態でモペットを運転したとされる。静岡地検は10月28日に不起訴処分としたが、送検前の静岡南署の調べに対して男性は「免許が必要と知らなかった」などと釈明。ネットで購入し、英語の取扱説明書にあった免許などの記述は見落としたという。
モペットは昨年11月施行の改正道路交通法で、モーターを使わずペダルだけで走行する場合も「一般原動機付自転車」または「自動車」の運転にあたる運用に厳格化された。電動アシスト自転車と見分けにくいが、いわゆる原付バイクに分類される。
そのため車両区分に応じた運転免許、自賠責保険への加入、ヘルメットの着用義務がある。軽自動車税の課税対象で、ナンバープレートの取得と表示、保安基準に適合したブレーキランプやバックミラーなどの装備も必要だ。違反すると拘禁刑または罰金などの罰則が科されるか、違反点数が加算される。
違反走行増加もルール周知に限界
県内では違反走行が増加している。県警によると今年1~9月末までのモペット運転手の検挙は14件で、うち11件は無免許運転容疑で書類送検された。モペットを含むペダル付き電動バイクの検挙数は、2024年は年間で5件、23、22年は1件ずつだった。
販売者や通販サイト運営事業者向けに安全対策ガイドラインが発表され、購入者への分かりやすく確実な情報提供を求めている。それでも通販サイトでは、免許などに関する重要事項がページの下部や離れた所に記載される場合もあり、慎重に確かめる必要がある。
警察庁や自治体は詳細なルールを公表しており、県警はホームページに日本語、英語、中国語、ベトナム語のリーフレットを掲載中だ。だが、利用者が検索してたどり着く必要があり、周知方法に限界がある。また、対面販売できる街の店では取り扱いが回避され、通販利用が加速する傾向もあるようだ。
静岡市にあるバイク販売店の店員は、モペットの問い合わせは時々あるが、入荷予定はないとした。比較的新しい乗り物でルールが変わりやすく、安全対策や手続きの説明が煩雑だと話す。
また、販売店はメンテナンスや修理を受け付けることが多いが、専用部品などで特殊なスキルが求められる種類もあり「ニーズはあっても現状では対応できない」。ルールの周知に関しては「取扱説明書を隅々まで読む人は少ない。通販サイトに多言語説明のリンクを付けたり重要事項を目立たせたり、さらに工夫しないと届かないだろう」と話した。
