
来日中のフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官が15日、東京都内で記者会見し、パレスチナ自治区ガザ地区の和平交渉について「停戦実現に向けた米国やトルコ、カタール、エジプトの力強い姿勢には勇気づけられた。停戦がこのまま維持され、ウクライナやスーダン、ミャンマーなど他の紛争でも教訓が生かされることを願う」と述べた。
ガザ地区では、10日にイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦が発効。米国やアラブ諸国の仲介による停戦合意に基づき、人質の解放などが進められている。
グランディ氏は、現在の世界の難民や強制的な移住を余儀なくされている人の数が、日本の総人口(約1億2000万人)に匹敵し、過去最悪のレベルに達していると説明。一方で、米国をはじめ各国で対外援助削減の動きが進んでおり、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も「壊滅的な影響を受けている」と明かした。
UNHCRによると、例年は50億ドル(約7570億円)程度だったUNHCRへの拠出金も、今年は35億ドル(約5300億円)程度にとどまる見込みという。2024年9月時点の拠出額はトップの米国が20億ドルだったが、25年同月時点では8・1億ドルに減少。フランスも1億ドルから4510万ドルに減った。
グランディ氏は「各国で厳しい予算上の制約があることは理解するが、難民への支援は地域の安定化につながる」と述べ、支援継続の重要性を強調した。【古川幸奈】
