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後継者がいない…「定数割れ」の秋田・美郷町議会 新議長が描く道筋


 秋田県美郷町で9月に実施された町議選は定数14に届かない「定数割れ」となった。県内の自治体選挙(補選を除く)での定数割れは2004年の旧岩城町議選以来21年ぶり。今月6日に選出された高橋邦武新議長(68)がインタビューに応じ、背景には人口減少があるとの見方を示したうえで、なり手不足解消に向けた取り組みに意欲を示した。【聞き手・工藤哲】

 ――先の町議選で定数割れし、全員が無投票当選しましたが、この結果をどう受け止めますか。

 ◆無投票はショックで、大きな危機感を抱いている。町議会のイメージダウンにもつながりかねない。個人的には、選挙がない自治体は住民の政治への関心や意識がなかなか高まらないと考えている。

 この4年間の任期の間に定数や報酬のあり方、町議のなり手不足への対応がますます求められている。議員らを中心に意見を集め、できれば今後2年くらいで方向性を見いだしたい。

 ――なぜ定数割れが起きたと考えますか。

 ◆これまでは地域ごとに代表する町議がいて、その方の後継役として地域ごとに代表として擁立されることが多かった。だが人口減少の影響もあり、後継者そのものが見つからなくなった。

 また、多くの若い方は昼間は本業の仕事で忙しい。町議の報酬は月25万5000円で、多くは農業や自営業をしながらの兼業だ。この報酬には、いわゆる企業の厚生年金のようなものは含まれず、生活するにはなかなか不十分な額かもしれない。町議との両立を認める企業も今はまだまだ少ない。また選挙に出るとなれば家族の理解が欠かせず、これもハードルの一つかもしれない。

 ――さらなる定数削減の可能性は。

 ◆23年9月定例会で定数を16から14に減らす条例改正を可決した。この数が適切かどうかはさまざまな意見がある。現行の14をさらに減らすかは同規模の自治体の状況を参考にしたい。一方で報酬額を上げることも必要かもしれないが、引き上げには町民の理解が必要になる。

 ――町議のなり手を増やすために必要なことは。

 ◆70代が半数以上の7人おり、世代交代が急務だ。若者や女性が立候補したいと思ってもらえるよう、講習会やワークショップの実施もあり得る。山形県庄内町でも取り組んだ女性模擬議会の実施や、議員の仕事を伝える機会を増やす方法などを検討したい。10年先はさらに人口が減ると予想され、若い人がなりやすくしなければさらに状況は厳しくなる。

 ――町議のやりがいは。

 ◆町民の意見を聴き、実際に質問で当局に提言し、それを実現できる醍醐味(だいごみ)がある。町のグルメマップ作成や温水プールの利用料助成など、実際に私が町政に反映させたこともある。

 一方で、「立候補者が出ない」ということは、町民の多くがわざわざ行政側に声を上げる必要をあまり感じず、現状に比較的不満がないことの表れと考えられなくもない。議員の仕事ややりがい、具体的に必要な活動資金や報酬の事情についても一層分かりやすく町民に説明していく必要がある。

議会の平日夕方開催「現実的でない」

 秋田県美郷町の松田知己町長は町議選の結果について「定数割れは残念。議員に幅広い年代がいた方がいいと思うが、決して今回の結果によって町内の活力が落ちているとは思っていない」と述べた。また、議会への影響について「活動が損なわれるかというとそうは思わない。また町議会の予算審議で年齢構成が何らかの影響を及ぼしたと感じたことはない」とした。

 町として、民意を反映するためにご意見箱を庁舎内に設置するなどさまざまな形で努力をしているものの「何にどのくらい町の予算が使われているかについての行政情報の開示はこれまで以上に必要だと思う」と話す。

 報酬の水準の評価については、同じ規模の自治体がどのくらいなのか把握したうえでの判断が必要になるとの見方を示した。

 さらに議会に参加しやすくするために平日の夕方や週末に開く選択肢について「議会の準備や調整を担う町職員の負担や時間外勤務にもつながり、なかなか現実的ではないと思う」と述べた。【工藤哲】

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