
盛岡市の中心市街地にある老舗映画館「盛岡ピカデリー」が10月26日に閉館する。ウェブサイトで発表された。56年続いた映画館を閉じる理由について、同館は「ビルの改修工事」としているが、運営会社の関係者は「背景にはシネコンの台頭と改装工事の困難さ」を挙げる。
「盛岡ピカデリー」は1969年に開業。岩手県庁や盛岡市役所が建ち並ぶ中央通りとかつて映画館が軒を連ねた映画館通りが交わる交差点の角にあり、盛岡を代表する映画館の一つ。ビルの地下1階にあり、176席の単館だ。
同館のウェブサイトでは「ビルの老朽化で大規模改修工事を実施することになり、長期間、映画上映ができない。諸般の事情を考慮し、閉館することとなった」などと説明。同館を運営する南部興行の小暮信人社長は「閉館のきっかけは改修工事だが、動員力があるシネコンの台頭や劇場をリニューアルする余力がないのが背景にある」と明かす。
同館では閉館を前に10月上旬から「ありがとう上映」として、ともに盛岡市内がロケ地となった「男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎」や「終わった人」を上映する予定。小暮さんは「劇場に足を運んでくれた人に『さよなら』ではなく、感謝の思いを伝えて営業を終えたい」と話す。
盛岡市で10月に開催するイベント「もりおか座映画祭2025」の高橋大実行委員長は「幼い頃からの思い出がたくさんある映画館がなくなるのは寂しい」という。「今まで頑張ってこられた支配人さんやスタッフさんの気持ちを考えるとなんとも言えない。同じ系列の映画館は営業を続けるので、みんなで応援していきたい」としている。【佐藤岳幸】
