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「現代の奴隷制度」 ミャンマー特殊詐欺、関与企業などに米が制裁


 タイ国境に近いミャンマー東部ミャワディが国際的な特殊詐欺組織の拠点となっている問題で、米財務省外国資産管理局(OFAC)が、関与している個人や企業に相次いで経済制裁を科した。多数の外国人らを集めて、強制的に詐欺に加担させている状況を「現代の奴隷制度」と強く批判。東南アジアを拠点にした特殊詐欺の被害に遭う米国人が急増しているとして、警戒を強めている。

対象の武装勢力は

 OFACは5月、少数民族武装勢力「カレン民族軍(KNA)」を「国際犯罪組織」に指定した。トップのソーチットゥ大佐や2人の息子らと共に、米国に保有する資産の凍結や米国人との取引を禁止した。

 9月にはソーチットゥ氏の側近2人や関連企業も制裁リストに加えた。ミャワディの特殊詐欺拠点が集まる町、シュエココの開発を主導した亜太国際控股集団(ヤタイ・インターナショナル・ホールディングス・グループ)や、同社のシェ・ジージャン氏も含まれる。

 ミャワディでは今年に入り、タイで誘拐されて連れてこられた中国人俳優が救出された事件を契機に、犯罪組織による大規模な詐欺拠点が明らかになった。タイや中国政府が対応を強化したこともあり、シュエココなどで投資詐欺やロマンス詐欺などに加担させられていた7000人以上の外国人が解放され、日本人の高校生2人も保護された。

 「国境警備隊(BGF)」とも称されるKNAはこの際、解放に協力した。犯罪組織と密接な関係にありながら、救出に尽力したとアピールすることで批判を避ける狙いがあったと見られている。

「背後に国軍」指摘も

 OFACは9月の発表で「虚偽の口実で世界中から人々を集め、拘束や虐待を加えてオンライン詐欺を強制している」と指摘。偽の仮想通貨投資サイトに被害者を誘導し、金銭をだまし取る手口などを紹介している。

 ミャンマーの人権団体「ジャスティス・フォー・ミャンマー」は2024年5月に公表した報告書で、KNAが犯罪ビジネスによる利益の一部をミャンマー国軍に提供する一方、軍の保護を受けてきたと指摘していた。

 ミャンマーでは21年のクーデター以来、民主派や各地の少数民族武装勢力が国軍に抵抗する内戦状態となっている。国軍と各勢力の関係は流動的だが、KNAが長年にわたり利益を生み出してきた構図が指摘されている。

 また亜太国際控股集団のシェ氏は、ミャンマーとカンボジアの国籍を取得している。国際刑事警察機構(インターポール)の手配書に基づき22年にタイで身柄を拘束され、中国が引き渡しを求めている。

東南アジア発、米で1・5兆円の被害

 OFACはカンボジアでもカジノの運営会社など6社と関係する個人4人に制裁を科した。中には過去に中国でマネーロンダリング(資金洗浄)や違法なオンラインギャンブルを運営したとして有罪判決を受けたり、捜査対象になったりした人物も含まれている。

 OFACは東南アジアを拠点にした特殊詐欺による24年の米国人の被害額は、少なくとも100億ドル(約1兆4800億円)にのぼり、前年から66%増えたと推計している。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)も取り締まりを強化している。今年の議長国のマレーシアで12日まで閣僚級会議が開催され、地域としてマネーロンダリングや国境管理に関する新たな取り組みを始めることを確認し、対策を急ぐ構えだ。【バンコク武内彩】

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