
中国江蘇省蘇州市の地下鉄駅構内で7月31日夕方、子供を連れて歩いていた日本人女性が何者かに背後から石のようなもので殴られ、負傷した。命に別条はないという。在中国日本大使館関係者が1日、明らかにした。現地の警察当局が逃げた容疑者の行方を追っている。
中国は戦後80年にあたる今年を「抗日戦争勝利80年」と位置づけている。7月25日には旧日本軍が多数の中国人を殺害した「南京事件」を扱った映画も公開された。対日感情悪化が懸念されており、現地の日本大使館などは在中邦人に注意を呼びかけている。
蘇州市では2024年6月、日本人学校のスクールバスを待っていた日本人母子が刃物で切りつけられ負傷し、襲撃を防ごうとしたバスの案内係の中国人女性が死亡した。蘇州市の中級人民法院(地裁)は1月、被告の中国人男性に死刑判決を言い渡し、既に執行されている。
在中日系企業で構成する「中国日本商会」は1日、「このような事案が再び発生したことは極めて遺憾だ。引き続き日本政府や中国政府に対し邦人の安全確保と事件の背景を含めた詳細情報を明らかにすることを求めていく」とのコメントを発表した。【北京・畠山哲郎】
