
参院選鹿児島選挙区(改選数1)で、立憲民主の推薦を受けた無所属新人、尾辻朋実氏(44)が、自民元職の園田修光(しゅうこう)氏(68)らを破り初当選を確実にした。尾辻氏は、元参院議長で今期限りで引退となる自民の重鎮、秀久氏(84)の三女。与党の大物の子女が野党の立場で挑む異例の選挙戦だったが、衰退する地方の声をくみ取り、党派を超えた支持を得た。
立憲は今年1月、自民県連の公募選考に漏れた尾辻氏に対する推薦を決定。当初は立憲支持層や連合関係者の間に困惑が広がった。しかし「今の地方に思想とか政党とか言っている余裕はない」という尾辻氏の訴えは徐々に浸透し、共産も候補擁立を取りやめ事実上の野党一本化が実現した。尾辻氏は父と同じ「虫の目」を政治信条に掲げ、「娘」であることも前面に出して秀久氏の支持者を中心に自民支持層も取り込んだ。
一方、園田氏は社会保障の充実を訴え「国政の即戦力」とアピール。石破茂首相ら幹部が続々と応援に入り巻き返しを図ったが、支持の広がりを欠いた。鹿児島市の会場で、園田氏は沈痛な表情で頭を下げた。【取違剛、山下智恵】